浅沼恵美Asanuma Megumi

作品写真:鯡ノ群来譚 −手描きアニメーションの新たな表現媒体の研究・制作−
作品写真:鯡ノ群来譚 −手描きアニメーションの新たな表現媒体の研究・制作−
作品写真:鯡ノ群来譚 −手描きアニメーションの新たな表現媒体の研究・制作−

鯡ノ群来譚 −手描きアニメーションの新たな表現媒体の研究・制作−Nishin No KukiTan −A study and production of the new expression medium of hand-drawn animation−

立体模型、手描きアニメーション、インタラクション|木材、アクリル、リア透過フィルム、農業用ポリエチレンフィルム、和紙、プロジェクター|8分25秒Model, hand-drawn animation, interaction|Wood, acrylic board, rear transparent film, agricultural polyethylene film, wash, projector|8min 25secH1000 × W1000 × D1300mm、H5 × W270 × D400mm ×4点、H2 × W185 × D275mm ×5点

従来の液晶画面や平面への投影とは違ったアニメーション表現ができるかへの挑戦として、手描きアニメーションの新たな表現媒体を模索する研究及び作品制作に取り組んだ。高祖母の実家である北海道余市町の国指定史跡『旧余市福原漁場』を調査し舞台とすることで自身のルーツを探ると共に、史実に創作を織り交ぜた物語で忘れ去られつつある郷土の輝かしかった時代、伝統を模型とアニメーションで多面的に表現する。手描きアニメーションをアナログ媒体に落とし込むことで液晶画面で観る平面的な映像作品として完結しない立体作品に仕上げた。

浅沼恵美

郷土史を語り継ぐ方法はこれまでにも様々な模索がなされてきたが、本作品はその新たな在り方を提案したものである。制作には作者が得意とするアニメーションに加え、レーザー加工、映像プロジェクション、ジオラマ等の各種技術を意欲的に駆使し、膨大な工程をこなした。それ故に審査では統合力不足との指摘もあったが、美大生らしい技を感じさせる情報密度と、アニメーションコンテンツの新たな応用性を提示した点は評価に値する。

デザイン情報学科准教授 高山穣

上田佳奈Ueda Kana

作品写真:稲荷折紙神籤 おみくじで伝える神社の由緒とマナー
作品写真:稲荷折紙神籤 おみくじで伝える神社の由緒とマナー
作品写真:稲荷折紙神籤 おみくじで伝える神社の由緒とマナー
作品写真:稲荷折紙神籤 おみくじで伝える神社の由緒とマナー

稲荷折紙神籤 おみくじで伝える神社の由緒とマナーOrigami × Omikuji of the Inari-jinja Shrine

本|紙Book|PaperH210 × W230mm

神籤|紙Omikuji|PaperH150 × W150mm ×25点

近年訪日観光客の増加に伴い、人気観光地である稲荷神社に訪れる人が増えている。しかし訪れた人々の動向を観察したところ、参拝をせずに素通りしてしまう観光客が多く見受けられたことから神社本来の役割を十分に伝えきれていないのではないかと思い至った。そこで異なる文化の人々にも神社の作法や魅力が伝わるように、日本の伝統文化である「折り紙」とグラフィックデザインを組み合わせた“折紙神籤” を考案した。
元旦や旅行の思い出として手に取るおみくじをデザインすることで、より多くの人々が気軽に情報を取り入れられる仕掛け作りを目標としている。今回の制作では稲荷神社をベースに折紙神籤をデザインし、それらを書籍と展示を通して紹介する。

上田佳奈

知ってるようで知らない稲荷神社だ。イナリの名前の由来、社や鳥居が朱塗りのわけ、ご利益はなんで、お稲荷さんとキツネの関係とは…。独自に制作したおみくじには伏見稲荷大社を筆頭に全国に約3万社あるという稲荷神社の歴史やマナーについて、日本語、ハングル、英語の記載がある。日本人も海外からの渡航者も、稲荷神社にとっては異邦人だとの見極めが潔い。すぐにも現実化されそうな気配を評価している。

デザイン情報学科教授 森山明子

大谷紬Otani Tsumugi

作品写真:キャラクターでわかる 野菜の今
作品写真:キャラクターでわかる 野菜の今
作品写真:キャラクターでわかる 野菜の今
作品写真:キャラクターでわかる 野菜の今
作品写真:キャラクターでわかる 野菜の今

キャラクターでわかる 野菜の今Data of Vegetables

本|紙Book|PaperH210 × W148mm

貴方は現在の野菜を取り巻くデータをどの位知っているだろうか?野菜全体の自給率は80%だが、野菜それぞれを見ると野菜によっては0%もあれば100%もある。そういった個々のデータを擬人化に落とし込み、中学生に親しみやすい野菜のデータの紹介方法、新しいインフォグラフィックの表現方法を探った。キャラクターをきっかけにして野菜へ新しいイメージを抱いてもらえると幸いである。

大谷紬

日本人の野菜不足が指摘されて久しい。食糧自給率が4割水準に落ち込んだのも人々を不安にさせている。そこで、中学生向けに野菜の今を知ることのできる書籍を制作する。野菜と果物ごとのキャラクターはすべてデータに基づくもので、よくあるイラストでもゆるキャラでもなく、インフォグラフィックスなのだ。本に盛り込まれた説明も種々の調査に基づいている。『ポケモン大全』に並ぶような人気を博する方法はないものだろうか。

デザイン情報学科教授 森山明子

大佛茉由Osaragi Mayu

作品写真:焔露 −温かみのあるインタラクション−
作品写真:焔露 −温かみのあるインタラクション−
作品写真:焔露 −温かみのあるインタラクション−

焔露 −温かみのあるインタラクション−Homuro -Interaction design of feeling warm-

インタラクション|加湿器、PCファン、プラスティック、プロジェクター、木材Interaction|Humidifier, PC fan, plastic, projector, woodH268 × W500 × D420mm

私は「炎」と「言葉」をテーマに人々のホンネを可視化し、炎で燃やして浄化をさせるインタラクションデザインを作成した。人は夜寝る前、ネガティブになりがちだ。そんな時、今の10代~30代はTwitterなどのSNSに思わずつぶやいてしまう。古来、人は火を起こして暖をとったり、囲って仲間たちとコミュニケーションをとったりしていた。SNSに現れるホンネを「お焚き上げ」し、スッキリとした気持ちで明日を迎えてもらうのが目的である。

大佛茉由

ろうそくの炎を見つめていると心が落ち着くことや、神社の行事の一つである「お焚き上げ」をヒントに、Twitterでつぶやいた言葉を自作の投影装置(水蒸気スクリーン)に投影し、浄火させるような動きを付けたインスタレーション作品。プログラミングで制御するモーショングラフィックとインターネット上の言葉(つぶやき)にリアルタイムに反応するアプリケーションの研究を積み重ね、一貫したテーマ・コンセプトで快適でかつ安全に動作する完成度の高い作品として具現化している点が高い評価を受けた。

デザイン情報学科教授 白石学

オルネラ ソル オルメショOrnella Sol Ormello

作品写真:Awakeing -Man is the measure of all things
作品写真:Awakeing -Man is the measure of all things
作品写真:Awakeing -Man is the measure of all things
作品写真:Awakeing -Man is the measure of all things

Awakeing -Man is the measure of all things

インスタレーション、写真|インクジェットプリント、AR(拡張現実)アプリケーションInstallation art, photo|Digital photography, AR mobile applicationH1800 × W9000 × D2000mm、H728 × W1030mm ×9点

ルネサンスの絵画の光や構図の要素を取り入れた写真作品と、現代技術を合わせたミクストメディアインスタレーション。

これらのポートレイトは、かつて肖像画が社会において貴重な役割を持ち、この世の成功と地位の描写として価値があった頃の、非常にユニークな形式の古典芸術の影響を受けている。

ARは過去と現在を繋ぐ架け橋として働き、観客をデバイスを通じて古典芸術が技術と作用して命を吹き返すもう一つの現実へ誘います。

オルネラ ソル オルメショ

西洋の肖像画における光の表現や構図を研究し、現代人のポートレート写真に活かす撮影に取り組み、AR(拡張現実)としても鑑賞できる作品。スマホやタブレットPCを通して写真を鑑賞すると、写真の中の人物が動き出し、光の方向が変化する。膨大な絵画的写真表現の研究成果を一群の作品として昇華させ完成度の高い作品として評価された。また、その高い完成度を損ねることなく、ARで写真に動きをつけインタラクティブな写真の鑑賞方法を提示している点も高い評価を受けた。

デザイン情報学科教授 白石学

髙橋秋智Takahashi Akitomo

作品写真:ことばと眼球 −写真表現における情報レイヤー階層の研究−
作品写真:ことばと眼球 −写真表現における情報レイヤー階層の研究−

ことばと眼球 −写真表現における情報レイヤー階層の研究−
からだのコトバ(写真集、論考のタイトル)Semiosis and Eyeball -Study of information Layer hierarchy in photographic expression-
The language of the body's

写真|印画紙、インクジェットプリントPhoto|Paper, ink jet printingH420 × W594mm ×24点

写真集|印画紙、インクジェットプリント、打抜綴Photo|Paper, ink jet printingH257 × W364mm

論文|印画紙、インクジェットプリント、打抜綴Thesis|Paper, ink jet printing, stab stitchH210 × W148mm

聾唖者は視覚では識別できない存在であり、写真は音声のない記録媒体の性質を持つ。
この二つに引力のようなものを感じた私は聾唖者を被写体にすることを決めた。
そして写真における手話はどのようなはたらきをするのかを分析し、
構造主義のロラン・バルトを援用した論考を記した。
彼ら聾唖者たちの存在はプンクトゥム《punctum》として我々に投げかける。

髙橋秋智

髙橋君との4年間で気づかされたことがある。美大であってもコミュニケーションは音声中心であるという事実だ。視覚情報だけで一体どれだけ理解しあえただろうか。実は同じ問題が写真にも存在する。世界から音を省略して何が伝わるのか。しかし音のない彼には、初めからその懐疑は存在しない。手話はそれを知る努力をしない者には謎であるが、彼らにとっては意思疎通の要路である。その価値のギャップを鋭く突いてくる作品である。

デザイン情報学科教授 佐藤淳一

渡邊真樹Watanabe Maki

作品写真:133人の“映画館の日”
作品写真:133人の“映画館の日”
作品写真:133人の“映画館の日”
作品写真:133人の“映画館の日”

133人の“映画館の日”"THE MOVIE THEATER DAY" of 133 people

レポート、パッケージデザイン|本、パッケージ|紙Report, package design|Book, package|PaperH257 × W364mm、H110 × W70 × D70mm ×81点

東京都内81ヶ所の映画館に訪れた133人を対象として、行動観察調査(尾行)を行った。テレビやスマートフォンなど、映画の楽しみ方の選択肢に手軽さが加わった現代において、わざわざお金と時間をかけて映画館に足を運ぶことは、その日の一大イベントとなる。その一部始終を観察して導き出された大きな2つの行動パターンを、新たなブレイクタイムとして再定義したうえで、展示会の来場者へ向けて、観察記録をコーヒーと共に持ち帰るという体験を提供した。

渡邊真樹

ただ映画を視聴するだけなら、いつでもどこでもできる便利な世の中において、“なぜ今、映画館なのか?”という漠然とした問いかけとその回答をUXデザイン的観点から見事にリンクさせた力作的研究。いかに「映画館に行って、映画を観る」という行為が、“特別なイベント”に変貌させる魔法になりうるか…そのヒントが133通りある。心の豊かさを求める「日常をブレイク(破壊)し、非日常化(タイム創造)する」光線が多彩に見える…。

デザイン情報学科教授 井口博美