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齋藤奈津美 Saito Natsumi コンクリートの中の鳥の巣~庶民的やすらぎの場のデザイン研究~A nest between concrete buildings.(The design study of the people’s confort zone)レポート 紙 29.7×21.0cm Report Paper

世界でも有数の都市、東京に暮らす人々の憩いの場のひとつである立ち飲み屋に焦点をあて、庶民の安らぎの場で見られる空間演出について調査・分析し報告書にまとめました。人々の疲れを癒すこの空間はまるで鳥の巣のようであり、中で過ごす人々は鳥のヒナのごとく、巣ごもり、さえずっているのです。

[齋藤奈津美]

長引く不況や複雑化する人間関係でストレスに溢れる今日、〝東京砂漠〟に棲む都会人たちは如何にして自らの生命力を維持・育んでいるのだろうか‥‥彼らの活きる拠り所や安らぎの場を探索しながら、近年増え続けている「立ち飲み屋」にフォーカスしそれを〝鳥の巣〟と見立て山手線沿線にある19 軒を実体験リサーチ。地域性との関連を含め詳細に分析・纏め上げた報告書は、まさに足で稼いだ臨場感溢れる調査研究として高い評価を得た。

[デザイン情報学科教授 井口博美]

 

高山優子 Takayama Yuko ラッシュアワーの教科書 Textbook of rush hour 本 紙、無線綴じ21.0×14.8×1.2cm Book Paper, perfect binding

ラッシュアワーとは、通勤・通学者で交通機関が混雑する時間帯のことです。私たちはラッシュアワーが当たり前に存在する現代社会に生きています。
“東京のラッシュアワー”をテーマとし、それをポジティブに捉え、うまく付き合っていくことを目的とした「ラッシュアワーの教科書」を作りました。
これから新しい生活のために上京する人たち、そして、毎日の電車通勤に疲れてしまった人に読んでもらいたいです。

[高山優子]

大学入学のために上京してショックだった通勤電車をテーマに、一人称の手記でなく、客観的な記述による書籍とした。そうしたコラムの例は、日本在住外国人がわが国で驚くのは「通勤電車」、それも「降りる人がドアをすり抜ける前の乗車」のマナー。社会への批評眼をもちながら、東京のラッシュアワーと付き合うユーモアに満ちた処方箋を提供している。
イラストレーターを起用し、公刊できる水準の魅力的な編集物に仕上げた力技は高く評価できる。

[デザイン情報学科教授 森山明子]

 

滑 慶祐 Namera Keisuke Light Reflection Art インスタレーション プロジェクター 5min 200.0×200.0×500.0cm Installation art Projector

卒業研究 / 制作において、私は鏡のマテリアルを持つオブジェクトを利用した光の反射の面白さ、美しさをテーマにした作品を制作した。
鏡に光を当てると、反射現象が起こる。さらに、この鏡が単なる平面ではなく球状に面がカーブしている場合、真上から光を当てると光が地面に拡散しながら反射する。私はこの現象に着目し、プロジェクタ投影型のインスタレーションを制作した。
シンプルであり複雑な光の反射を、ぜひ堪能していただきたい。

[滑 慶祐]

最近建物などの立体物に映像を投影する「ビデオマッピング」が注目を集めている。しかし、滑くんの作品は映像を立体化したり物体に動的なテクスチャーを与えようとするこれらの試みとは発想が違う。映写スクリーン上にアルミの円錐をグリッド状に配置し、これをターゲットとする幾何学的なパターンをビデオ投影して円錐からの反射パターンをつくり出す。スクリーンそのものに主張させる新しい映像・彫刻的表現として評価したい。

[デザイン情報学准教授 今泉 洋]

 

羽生祥子 Hanyu Sachiko 文様としての文字 Character as pattern 模型 紙、缶、ペットボトル  2.1×7.5×2.1cm、10.0×11.6×2.0cm、10.0×5.0×5.0cm 他×6点 Model Paper, cans, plastic bottles 本 リング製本 21.0×14.8cm  Book Spiral-bound book

お菓子や缶ジュース、ビール…様々なものに飾りとして書かれている外国語の文字のことを“ プロダクト・ポエトリー”と言います。私たちは文字というと、書けなければ、読めなければ…と考えがちです。しかし文字はそれだけではなく、その文字と密接に関係する文化を象徴する文様としての側面もあるのです。このプロダクトポエトリーとはいわば、その側面を利用した異国情緒を醸し出す文様です。文字は決して読むため書くためだけにあるわけではないのです。

[羽生祥子]

*作品写真 (上段)ポカリスエット×家電記号
(下段左から)カロリーメイト×編み目記号/黒ラベル×ホボ・サイン/ロッテガム×地図記号/サントリーウーロン茶×未知の国の読めない文字

本研究はむしろ副題の〝プロダクト・ポエトリー〟という新造語が研究内容を象徴的に表している。誰もが何気なく見過ごしている健康食品や菓子飲料の有名パッケージの詳細な文字組み部分を生活者側視点から捉え、文字としてほとんど機能していない(事実上は文様的)ならば他に差替えても不都合はないのではないかという問題提起を作品化。そのユニークな着眼点が奥行きのある批評性を有し、また編み物記号等の代替モチーフによる文字組みの緻密で秀逸な作品が高く評価された。

[デザイン情報学科教授 井口博美]

 

■過去の卒業優秀作品についてはこちらをご覧ください。