小室えみ香Komuro Emika

作品写真:あるかたち
作品写真:あるかたち

あるかたちForm of it

ローチ|銀、銅、真鍮、赤銅、四分一、箔、金メッキ、ステンレスBrooch|Silver, copper, brass, alloy of copper and gold, foil, gold plating, stainlessH642 × W1072mm

在るのに無い。無いのに在る。

物質的にはそこに無いけれど、確かに在る感覚。
それは、私がジュエリーという小さな存在に対して感じる、
濃密な魅力とエネルギーに通じています。
無いものを採集するようにドローイングを描き、
21点のブローチを制作しました。

小室えみ香

‘無いものを採集するように...。’にという作者の意図により、ドローイングを通し具現化された21点のブローチは彼女自身に内在する多彩な感覚を顕在させるための装置である。
‘かたち無きもの’をジュエリーに表現する手法は特に新しいものではないが、コンセプトからファイナル・プレゼンスに至るまでの秀逸した造形プロセス、多様な七宝技法の習熟、ドローイングからの展開を想起させるディスプレイ等、総合的に高い評価を受けた。

工芸工業デザイン学科教授 鈴木洋

関口雄二Sekiguchi Yuji

作品写真:RIPPLE series
作品写真:RIPPLE series
作品写真:RIPPLE series

RIPPLE series

ウォルナット、ファブリックWalnut, fabricH1050 × W1185 × D1125mm H415 × W730 × D730mm

組み合わせることで新しい提案が生まれます。木による家具制作に伸縮する布を組み合わせ、構造面・強度面のどちらも両立できるものを追求しました。

布を張る部分を本体と別パーツとして張り替え可能な構造とし、メッシュ状の伸縮する布を重ねることで座として保つ強度を獲得しました。

布を重ねた際に特徴的なモアレができることを見つけ、この特徴的な模様が水紋に見えることから、RIPPLE(さざ波)と名付けました。

関口雄二

ナイロン系のネット状の丈夫な布を4枚重ね、その張力に耐える構造を木材で試行錯誤しながら研究している。
安楽椅子として実際座ることができ、視覚的にも4重のネットの交錯するパターンが美しく、造形的にも楽しめる作品である。

工芸工業デザイン学科教授 十時啓悦

石巻茉那美Ishimaki Manami

作品写真:はっぴぃあにまる

はっぴぃあにまるHappyanimal

半磁土、張り込み成形、下絵付けPorcelain clay, molding, underglaze paintingH100 × W200mm ×9点

私のなかのかわいいとしあわせをぎゅっとつめこんだ器

石巻茉那美

作者は、気が落ち込んだ時しばしば動物園に行くらしい。そこにいるユーモラスな動物たちを描いたり、空想の会話を楽しむ事で、幸せな気持ちになるのだろう。
この作品は、下絵付けというオーソドックスな技法を用い色鮮やかな独自の表現を試みた。
食器は、単に機能性や料理のための脇役ではない。食事をする時、この器を囲んでそこに会話が生まれる。器に描かれた面々をみて、笑いが生まれ、顔がほころぶ楽しく幸せな気持ちにさせてくれる。作者は、そんな器を作りたかったのだろう。

工芸工業デザイン学科教授 西川聡

五十嵐桃子Ikarashi Momoko

作品写真:白景
作品写真:白景
作品写真:白景

白景white scenery

ガラス|フュージング、サギング、サンドブラストGlass|Fusing, sagging, sandblastH150 × W1100 × D500mm

1mmにも満たない薄いガラスが熱によって変形すること。
のび、ちぎれ、穴が開くこと。
その作為的には作れない自然に生まれた表情が美しいと思いました。
実験や失敗を繰り返しながらガラスという素材と戦う中で生まれたかたちです。

五十嵐桃子

「白景」は細かなガラスの粉を板の上に振りかけ、電気炉の熱(750℃)で溶かして一枚の非常に薄い(1mm以下)ガラスの板を作ることから始まります。その板を楕円状に穴の空いた断熱板の上に置き、再び熱をかけていきます。
ガラスは600℃以上になると軟化して板は楕円に沿って徐々に沈み始めます。
この作品はこの過程において、何度となく時間や温度の調整を行い極薄のガラスが重力に対してどのように影響されるのかを観察し、ガラスが展開する表情を見つけ、捉えた作品です。構造的な課題は残すものの、極限の薄さが作るガラスの表情は脆さではなく、「しん」とした静寂な空気感の中に何か強い意志を思い起こさせます。

工芸工業デザイン学科教授 大村俊二

寺木千絵Teraki Chie

作品写真:どろり~んぬ
作品写真:どろり~んぬ
作品写真:どろり~んぬ
作品写真:どろり~んぬ

どろり~んぬDororĩnnu

布、発泡ウレタン、グリッター、ラメ、ビーズ、他|シルクスクリーン捺染、ジャガード織り、オパール加工Cloth, polyurethane, glitter, beads, other|Hand screen printing, jacquard, opal finishingH6500 × W1500mm ×2点 H1000 × W900mm ×1点 H6500 × W1100mm ×3点

どろ~ん。
どろろ~~~ん。
どろり~~~~んぬ。

美しくてキレイなものもいいけれど、
でもそれだけじゃ何かものたりない。
人を惹きつけるものには毒がある。
一見ポップに見えるけれども、よく見てみると…。
そんなドロっとした不思議世界の住人たち。
どこかコンプレックスを抱いているようにもみえるその姿は、
自分自身の姿に重なるのかもしれない。

寺木千絵

顕微鏡を覗いたら見えそうな世界、モチーフの美味しそうな食べ物達が、ハエやゴキブリと一緒になって、布の中で楽しげにうごめいている。この奇妙な光景を、表面的で希薄な人間関係として、ユニークに擬人化したのであろうか。ドロっとしたテキスタイルとして、素材や技法においても多種多様な表現と工夫をしながら、遺伝子組換え操作等、安全性を疑うような事件が多発する現代社会を映し出し、新しさを感じる作品となった。

工芸工業デザイン学科准教授 鈴木純子

徳田亮介Tokuda Ryosuke

作品写真:JAM -未来の若者文化を象徴するモビリティ-
作品写真:JAM -未来の若者文化を象徴するモビリティ-
作品写真:JAM -未来の若者文化を象徴するモビリティ-

JAM -未来の若者文化を象徴するモビリティ-JAM -Automobile which symbolizes the future youth culture.-

PLA樹脂、ABS樹脂、アクリル、ラッカーPLA resin, ABS resin, acrylic material, lacquerH440 × W910 × D420mm

かつて一人で何かを成し遂げることに喜びを覚えていた若者達が、現代のインターネットの普及等により、「人を楽しませる喜び」という文化を築いた。
そして2025年、さらなるインターネットの進化、技術の進歩により「Jointly Amuse Culture」が生まれる。それは「人を楽しませることを楽しむ」「全員が主役のような体験をする」「楽しさを可視化し、無限に伝染していく」という文化。このモビリティはそんな未来の若者達を様々なデザインと技術で表現し、さらなる文化の進化を支援する。

徳田亮介

10年後の若い世代に焦点を絞り、彼らの活動の中核にある「シェア」する価値観と、構える事なく楽しむダイナミックな「身体性」が主題である。技術は進展しどのシートでも操縦が可能となり、運転する楽しさを3人で「シェア」するパッケージングや、新たな骨格を示唆するスケルトン造形が独創的である。従来の延長ではない概念で、運転する楽しさに一石を投じた新しい姿は優れたデザインである。

工芸工業デザイン学科教授 稲田真一

橋本大和Hashimoto Yamato

作品写真:nobre
作品写真:nobre
作品写真:nobre

nobre

3Dプリンター、ABS樹脂、布3D printer, ABS resin, clothH460 × W230 × D830mm

近年、自転車通勤を推奨する企業が増加しスーツを着てロードバイクに乗る人々が増えております。
今回私は、ラグジュアリーコミューティングバイクというカテゴリを作り、高級車の部類となるスーツで乗る為のロードバイクを提案します。
フレーム中央にある特徴的な袋にはビジネスバッグ1つ分のスペースを設けており、ショルダータイプの鞄でなくても荷物を積む事が可能です。また、従来のロードバイクでは剥き出しだった機能部品をすべてフレームに埋め込み、造形を滑らかに繋げる事で、デリケートなスーツを汚したり傷つけたりすることを防ぐフレームデザインへと仕上げていきました。
この自転車に自慢のスーツを着て乗る事で、アーバンシーンで軽快でありつつ、綺羅びやかな自転車通勤が可能となるでしょう。

橋本大和

環境や健康に対する人々の意識の高まりから、自転車で通勤するビジネスマンが増加傾向にある。スポーツタイプの自転車を通勤として利用しているのが現状。この提案は、中央部分のビジネスバック収納スペースや、スーツが絡まらないスポークレスな後輪など、ビジネスマンのファッションや携行品などから、通勤用自転車の全体的な構成と各部品を見直し、新たなデザインとして完成度高くまとまっている点を評価した。

工芸工業デザイン学科准教授 田中桂太

馬場祐希Baba Yuki

作品写真:bear gear
作品写真:bear gear
作品写真:bear gear
作品写真:bear gear
作品写真:bear gear

bear gear

熱可塑性エラストマー、アクリル系粘着剤Thermoplastic elastomers, acrylic pressure sensitive adhesiveL2000 × W42 × T2mm

bear gearは、はだしで走りまわる楽しさや軽快さを感じるための自由なフットウェアです。

地面がどうなっているか
触れるように感じてみる。

ゆっくりと流れるアウトドアでの時間を
より感覚的に過ごすためにbear gearは生まれました。

足のかたちの美しさ、はだしの解放感や気持ちよさ。
人の足に備わっている、機能美を最大限に活かすことのできるプロダクトを考えました。

馬場祐希

素足の感覚になれるフットウェアの提案です。キネシオロジーテープの素材を想定した生地に、エラストマーでコーティングしたテープは、手で自由なカタチやサイズにカットができます。提案者はプロトタイプを身につけ、渓流の滑る岩場を歩き、陸上では悪路を走り抜け、また樹に登るなどの検証を行い、安全性と耐久性、そして快適性を示してくれました。これまでの概念を変えるこのフットウェアは、地球自然の息づかいを感じさせてくれる、まさに素足のプロダクトです。

工芸工業デザイン学科教授 中原俊三郎

足立明穗Adachi Akiho

作品写真:Back Street Galleries
作品写真:Back Street Galleries
作品写真:Back Street Galleries
作品写真:Back Street Galleries

Back Street Galleries

模型、プレゼンテーション|紙、スチレンペーパー、シナ合板、他Model, presentation|Paper, styrene paper, linden plywood, otherH1200 × W1500 × D1350mm

この集合住宅の最大の特徴は「路地」のような空間で全体が構成されていることだ。
「路地」のもつ迷路のような楽しさや、ここには何があるのだろうという好奇心を持って行動できることに着目し設計を行った。
ここにはクリエイターたちが住み、自分の仕事を発表する場であるギャラリーと住宅が共存していて、自分の仕事をとおして地域の人々を繋ぐ場を構築することができる。
「路地」を通して集合住宅全体がイベント空間のような賑わいをみせ、住人と地域の人々を結ぶコミュニティーが成り立つ。

足立明穗

「路地」に住まう。住空間においてプライベートをいかに開くかという問題は永遠に繰り返される課題であるが、作者はパブリックとしての幅2450の路地が連続してプライベート空間へとつながる集合住宅を計画した。この手法によるパブリックとプライベートが網の目のように交錯する空間は様々な偶発性を誘引し、都市の中で新たな出来事を生み出すきっかけとなるだろう。

工芸工業デザイン学科教授 伊藤真一

池田美祐Ikeda Miyu

作品写真:BITE DESK
作品写真:BITE DESK
作品写真:BITE DESK

BITE DESK

ガラス繊維、樹脂、鉄Glass fiber, resin, ironH740 × W1038 × D600mm

BITE CHAIR

ラス繊維、樹脂、鉄Glass fiber, resin, ironH767 × W429 × D487mm

BITE CHAIRは座面が脚に噛み付いている形状が特徴のワーキングチェアです。
座面と脚の接合部分を一点に集中させたキャンティレバー構造により、柔らかな座り心地を生み出し座面を金属パイプで挟み込むことにより華奢な見た目とは相反する実用強度を実現しています。
また、この構造を用いることで3つのパーツにノックダウンすることが可能になりました。
同一の造形言語を用いてデザインされたBITE DESKは、天板に現れたスリットにより電子機器などのケーブルマネージメントを容易にします。

池田美祐

構造の研究と造形性を探求した上でその限界に挑んだ緊張感のある椅子である。挟み込むというテーマのもと、数えきれないほどの試作を繰り返し、構造強度優先で進められる家具デザインの工程に疑問を持ち、造形性を犠牲にすることなく必要強度を持たせる事に成功した事は高く評価したい。デザインを進めてスタッキング機能が加わればさらに製品としての完成度が上がることだろう。可能性を秘めた作品として、さらなる発展・展開に期待したい。

工芸工業デザイン学科准教授 山中一宏