阿南有希Anan Yuuki

作品写真:un-expected
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un-expected

銅、鍛金、溶接Copper, forging, weldingH350 × W380 × D380mm 未満 × 9点

「偶然発生する曲面、稜線、模様」
金属造形において偶然性のあるかたちを発生させるために一定規則の銅板(三角形、四角形、五角形、およびそれらに鍛金で山をつけたもの、複数の山をつけたもの、平らなままのもの)を用意し、その辺と辺を溶接して立体に起こすという技法を考案した。そしてその発生した立体に色やムラに表情の偶然性の高い色上げを施した。

阿南有希

薄い銅板からとてつもない時間をかけて鍛金された9つの美しいフォルムは、一見無作為に置かれた偶発的な有機形態に見えるが、よく観察すると三、四、五角形を基本とした個々の特徴的なフォルムの成り立ちと、行と列を意識した規律ある配置に作者の造形表現の意図が明確に見えてくる。そのことが作品のディスプレイに見事な調和と緊張感を与えている。また銅の鍛金による作品の表面に、黒の硫化色と赤の還元色を美しく対比させた着色表現は他に類を見ないものである。

工芸工業デザイン学科教授 鈴木洋

田中陽Tanaka Akira

作品写真:Wooden Globe Chair

Wooden Globe Chair

木(メープル、ビーチ)、布、ウレタン、成型合板、指物Wood (maple, beech), cloth, urethane, plywood, woodworking jointsH1150 × W1026 × D910mm

「木材」という素材で、椅子としての使用に耐えうるだけの強度をもった球体をつくる。薄くスライスした木材を型にはめて曲げる技術、「成型合板」を用いてパーツをつくり、球状に組み立てることで、それを実現させることができるのではないか。合成樹脂などの人工的な素材が主流となった現代だからこそ、一見して非効率的な木材という素材にこだわっていくことに意義を感じる。

田中陽

この作品はエーロ・アールニオ作ボールチェアーをイメージして制作したと本人は語る。実物は樹脂製であるが、これは木材を組み合わせて球体に成形させ組み立てられており、和太鼓を連想させる。形はやや重いが、機能面で外界と隔絶し包み込まれる心地よさが評価された。

工芸工業デザイン学科教授 十時啓悦

相澤由依Aizawa Yui

作品写真:あかり
作品写真:あかり
作品写真:あかり

あかりakari

磁土、鋳込み成形Clay, casting moldingΦ160 × 190mm Φ150 × 260mm Φ110 × 250mm Φ120 × 180mm Φ120 × 290mm Φ120 × 150mm Φ170 × 200mm

生活に必要不可欠な『あかり』
必要な物ならば
綺麗な形で

綺麗な模様で
好きな形、
好きな模様
自分の生活に合わせた場所に合わせた数を

相澤由依

透過性に優れた磁器による照明器具である。
形は鋳込み成形で制作され、ロウを使って文様を描き、水で拭き削るという技法を使っている。
筆致の柔らかさを生かした彫りの文様を光を透過させることによって、うまく表現した。作者の素材に対する誠実な研究と、楚々とした優しさが感じられる作品である。

工芸工業デザイン学科教授 西川聡

小田さとみOda Satomi

作品写真:envelope
作品写真:envelope
作品写真:envelope

envelope

ガラス、フェージング、エナメル絵つけ、カット、サンドブラストGlass, fusing, glass enameling, glass cutting, sandblastH6 × W160 × D120mm H30 × W200 × D100mm H7 × W60 × D100mm × 4点 H7 × W90 × D205mm H5 × W70 × D50mm × 3点

封筒に入っているモノや、紙の色、折れ、筆跡、封の仕方、切手の貼り方ー。そこには、人間らしさがある。そして、それは遠く離れた人の存在を身近に感じさせる。

封筒の不思議な魅力に心を惹かれ制作しました。

小田さとみ

本来、封筒とは、ハガキとは違い手紙などの内容物が見えないように工夫されたものである。
それを半透明な板ガラスを使用し、中身をうっすらと見せることで、手紙や、お年玉、拾った葉っぱにまつわる様々な思い出や記憶が蘇る。
封筒は大切な気持ちを込めて、相手に伝える道具であると改めて気づかされる。
そこには様式を通して、送り送られる間柄の「礼儀」や「思いやり」が存在する。
人の生活の中で様々な分野がデジタル化された今、封筒は人とのつながりを育む大切な「文化」の一つであることを再認識したい。

工芸工業デザイン学科教授 大村俊二

滝沢朋恵Takizawa Tomoe

作品写真:ざわめき
作品写真:ざわめき
作品写真:ざわめき

ざわめきnoise

綿、ナイロン、ポリエステル各糸、平織りCotton, nylon, polyester, plain weaveH2280 × W4000mm

群衆のざわめきの音と存在感を布に織り上げた。
駅や繁華街の人ごみで、会話が混ざり、聞き取れる許容範囲を越えた音の像へ、畏怖の念を抱いたことが、制作のきっかけとなった。
黒色の光を吸収する綿の織り地に対し、化学繊維を使用することで、ちらちらと光を照り返し群衆の会話を表現した。
また、オリジナルの技法での半立体的な糸でざわめきの強い存在感を強調した。

滝沢朋恵

都会の雑踏の中から聞こえてくる会話が、多重の層となり得体の知れない像をイメージしたというこの作品は、まず足を止めじっと眺めていたくなる。暫くしてその前を行ったり来たりしたくなる。自然と鑑賞者の足が動く。沈黙を装った自然素材(木綿)でフラットに織られた静かな背景から、化学繊維のループ状の糸がちらちら飛び出す微妙な光にひかれて行く。技術的にも異なる繊維素材の光沢感を使い分け、基本的な織り技法を上手くアレンジしている作品となった。

工芸工業デザイン学科准教授 鈴木純子

田治健太郎Taji Kentaro

作品写真:RFV
作品写真:RFV
作品写真:RFV

RFV(rapid .re .ghting vehicle)

ABS樹脂、塩化ビニル、エースライト、PP板、LEDABS resin, vinyl chloride, acelite, polypropylene board, LEDH313 × W640 × D316mm

ここ30年間に関東圏では震度 6以上の地震が来る確率は高いとされている。大災害時における瓦礫や土砂等による不整地の発生により、都市部での消火活動は従来のモビリティでは困難を極める。そこで私の提案する「 RFV」はどんな悪路でも走破し、瓦礫を越えて現場に到着。迅速に火災を消火し、循環するシステムを用いて確実に繰り返し消火活動を行える。「RFV」があることで、こうした被害を少しでも抑える事が可能となる。

田治健太郎

災害時の初期消火を担う小型モビリティーの提案である。苛酷な環境化で、高い機動性を発揮するために考察された車両パッケージはシンプル、明快であり、過去にない程に高まっている地震や異常気象などへの危機意識に対して説得力のある提案となっている。消防車両としての特殊性を極めている一方で、多様な用途への応用も可能であり、展開性を備えた優れたデザインである。

工芸工業デザイン学科教授 稲田真一

安田紘基Yasuda Hiroki

作品写真:Extensibility Architecture —伸展的建築—

Extensibility Architecture —伸展的建築—

研究・概念的デザイン|ピアノ線、バルサ、プラ板、ケント紙、他Research & conceptual design|Piano wire, balsa, plastic board, kent paper, otherH1400 × W3000 × D1200mm

情報化社会の建築状況に対峙して、空間の分節をわたしたちが行う「生活行為」単位に基づくものとし、「身体的・物理的経験」の情報の構築によって新しい認識や価値をもった”環境 "の創造を目指した研究です。また、空間経験の構築を、既存の空間認識を示しつつ(今回は空間認識を xyz軸の人体サイズのグリッド状として表現)脱却するコンセプチュアルな手法をとることで新規性を高める概念的な研究にしています。

安田紘基

本コースは、基本的には具体的デザインを目指すが、この作品は現代の烈しい情報化社会においてアナログを原点とする新概念デザインを試みたものである。それは身体およびその行為を立体モデュール化する研究から始め、生活全体へと繋げ、さらに単位化したグリッドに当て嵌め、建築としての構築物に発展させた。その物理的実験に立脚した新しい空間づくりの提案は、確かな造形視感に基づくものであり、また今後への期待を大きく示唆するものである。

工芸工業デザイン学科教授 寺原芳彦