戸川木蘭Togawa Mokuran

作品写真:芽吹く
作品写真:芽吹く
作品写真:芽吹く
作品写真:芽吹く

芽吹くmebuku

SilverH240 × W260 × D200mm、H270 × W200 × D150mm、H300 × W190 × D160mm、H300 × W370 × D90mm

伸びやかに咲いていく生命の強さと、あっけなく枯れてしまう儚さの対比が、植物の持つ美しさだと感じている。
その対比が最も大きく現れるのが、線(ライン)の変化だ。
みずみずしい花のラインと枯れている花のライン。相対する要素を一つの形に組み合わせることで、新たな生命を芽吹かせたい。

戸川木蘭

戸川の造形は彼女の得意とする線描画に由来する。繊細な線が織りなす有機的かつ複雑な表現媒体を通し醸し出される独特な画風と世界観、それをこの一年間ペンの代わりに金属の細い線材を用いて立体造形表現に発展・展開させてきた。卒業制作においては彼女のモチーフに対する深い観察眼と修練によって得た繊細な線材加工技術が見事に合致したところに、シルバーの持つ品の良さが加わり突き抜けた表現に達した。あえてオリジナルの線描画を平行展示しなかったところに彼女の自信のほどが伺える。

工芸工業デザイン学科教授 鈴木洋

松田怜子Matsuda Reiko

作品写真:IKOI
作品写真:IKOI
作品写真:IKOI
作品写真:IKOI

IKOI

メープル材、布、クッション、ベニヤ合板、ビス|成形合板、段積み、欠き込みMaple, fabric, cushion, plywood, screw|Plywood, stacking, kakikomiH380 × W800 × D800mm、H280 × W560 × D560mm ×2点

IKOIチェアーは、フォルム自体が構造体として機能する。内と外に二本の湾曲した材を配し、片持ち構造にすることで、材同士が重なった部分に強度が生まれる。それにより、薄い材でも人の体重を支えることができるのである。
この椅子は、菊の花をモチーフにしている。ショッピングモールやミュージアムなどの休憩スペース(広場)に複数個設置することによって、お花畑のような「憩い(IKOI)」の空間が生まれて欲しいと思い制作した。

松田怜子

森林資源の有効活用として古くから成型合板という技術があり曲線、曲面を作り出す方法である。この作品は数種類のパーツの組み合わせで幅広くデザインできる可能性を感じさせる。形態に汎用性があり、特に安全面を要求される公的空間に適応できそうなフォルムが評価された。

工芸工業デザイン学科教授 十時啓悦

上田芳樹Ueda Yoshiki

作品写真:木手土瓶
作品写真:木手土瓶
作品写真:木手土瓶

木手土瓶teapot with wooden handle

陶土、突板|ろくろ成形Potter's clay, sliced veneer|Shaping using potter's wheelH180 × W180 × D160mm ×6点

土に触れ仕事をする日々を通して
うつわをつくるおもしろさ、うつわを使う楽しさを知りました。

誰かに長く愛され使われ続けるうつわ

そんな土瓶を自分なりに追い求めていったこたえの1つです。

上田芳樹

どこか懐かしさも感じるが、現代の日用品として生活にとけ込むような魅力がある。形はろくろで成形し、持ち手は成形合板で作られている。高い技術力が必要とされる作品であるが、作者は愚直にまっすぐに取り組んだ。
年々増加しているペットボトルの消費量に比べ急須でお茶を入れる事が減っていると感じる。適切な道具で丁寧に入れたお茶は、本当に美味しいのだが…。
この作品は、そんな当たり前で、ありふれた光景の大切さを私たちに思い起こさせてくれる。

工芸工業デザイン学科教授 西川聡

田代かなえTashiro Kanae

作品写真:紋
作品写真:紋
作品写真:紋

Mon

板ガラス|フュージング、スランピングPlate glass|Welding, slumpH60 × W620 × D440mm

ガラスに浮かび上がる模様

それは波紋のように

心の中にじわじわと広がってゆく

ガラスの本来持つ色、輝き

それらを活かしたテクスチャーを生み出したい

そんな気持ちから始まった

田代かなえ

作品の色がうすい緑に見えるのは、普段は窓ガラスとして使用されている板ガラスを素材としているからである。板ガラスを細かく粒状に砕き、粒度を大中小と分けて、細かい方から型の中に詰め、電気炉の中で温度を徐々に上げていく。ガラスが完全に溶けてしまう前の温度を何度となく実験を繰り返して、ガラスが粒の状態でくっつく温度帯を突き止めていく。
この様にして、エッジのきいた波紋様は生み出され、作者が求めた「キラキラ感」は光の乱反射の効果を最大限に捉えて表現されている。

工芸工業デザイン学科教授 大村俊二

向井詩織Mukai Shiori

作品写真:美しさって、、、
作品写真:美しさって、、、
作品写真:美しさって、、、
作品写真:美しさって、、、

美しさって、、、Beauty is...

綿、季節の花|叩き染めCotton, seasonal flower|Hit-DyeH110 × W9760 × D1220mm

美しさって何だ。

日々の制作には犠牲がつきまとう。
美しいものを創るため、美しい命を頂いてきた。
それでも、やめることはない。

毎日花を摘み取っては布に叩き写し、制作を続けた。
毎日、美をまのあたりにしながら、過ごした。

美しいを創りたい。これからも。

向井詩織

布の上に、花の色素を叩き写し取る原始的な手法で、美しさとは何かを問いかける作品。美しく咲き誇る花を取る行為は、残酷にも思います。美しさの裏には、犠牲があり残酷なのかもしれません。叩いた時は、本物の花びらがそこにあるかのように、鮮明な色で写し出されます。しかし時間の経過とともに色は、褪せて行きます。あえて媒染せず、自然に委ねました。タイトル「美しさって、、、」を、一見、誰にでも出来そうな行為だけで制作されているからこそ、こんなに美しいのかと、驚かされる力作です。

工芸工業デザイン学科准教授 鈴木純子

佐藤太亮Satoh Osuke

作品写真:YOU-TOPIA
作品写真:YOU-TOPIA
作品写真:YOU-TOPIA
作品写真:YOU-TOPIA

YOU-TOPIA

モビリティ、都市デザイン|3Dプリント|ABS樹脂、PLA、プロジェクターMobility, urban design|3D printing|ABS resin, PLA resin, projectorH370 × W660 × D1232mm

YOU-TOPIAは都市のビッグデータをAIで解析し事前に最適な場所に移動する完全自律運転型のモビリティです。
移動後は人々の導線や、休憩空間を作る為にその地域に適した形に集結し、オープンエリアや移動式インフラとして機能します。
動くデジタルサイネージとしても人々に新鮮な情報を提供し、災害時にはランドマークや非常用電源となり都市生活を支えます。
YOU-TOPIAは都市の一部となり私達の憩いの場を創り出す近未来のモビリティです。

佐藤太亮

次世代モビリティーの基盤技術を最大に活かした自律移動するストリートファニチャーである。ビッグデータ、AI、IoT、自動運転が技術キーワードであり、その機能は対象エリアの人の集まりや動きを捉え自律的に移動し、人の動線最適化や情報発信センターを担う。
その姿は、木陰を提供する並木の様であり心地良い。また座る人々それぞれに応じてプロジェクションマッピングや自律発光により様々な色合いの光で飾られる夜景を想像しても楽しい。将来の景観をも一新する可能性に満ちた作品であり秀逸である。

工芸工業デザイン学科教授 稲田真一

富澤早紀子Tomizawa Sakiko

作品写真:TWOO
作品写真:TWOO
作品写真:TWOO

TWOO

お香立て|3Dプリント|ガラス、石膏、ABS樹脂、セメントIncense holder|3D print|Glass, plaster, ABS resin, cementH200 × W90 × D90mm ×3点

パッケージ|木Package|WoodH93 × W93 × D93mm ×4点

近年、人々はプロダクトに対し造形美や機能美に加え、そのプロダクトを通しての「体験」という所にまで価値を置いているように感じる。私は、その様な社会のニーズから日常の中に存在する、ささやかな非日常をデザインしたいと考えた。香り1つ1つがストーリーを持つことで、新たな香りに出会えるきっかけを作り、香りの世界へ小旅行している様な非日常体験を創り出す事ができるのではないだろうか。
少し手間のかかる事、自分のためにちょっと時間を設けてみる事も、忙しない現代では忘れられがちな贅沢の一つである。香が灰になるまでの20分が現代の人々の生活の余裕となり、心の豊かさとなって欲しい。

富澤早紀子

この提案は、香りの世界へ誘う、ほんの20分間を演出するデザインです。ストレス社会の問題からテーマを拾い上げ、非日常的な20分の新しい癒し方をわかりやすく訴求している。香りの効果は、構想の基底となる知識を積極的に取り入れて、さまざまな想定されるシーンやニーズに対応させている。プロダクトは実に美しく、細部にわたり完成度が高い。また、ガラスの中に閉じ込めたお香の煙が漂い、僅かに照らされたあかりでその揺らぎに見とれてしまう。コンセプチュアルな提案で終わらせず、具体的な取り扱いが存在し、手間をかける価値もプロダクトに体現させた秀逸な作品です。

工芸工業デザイン学科教授 中原俊三郎

松平風香Matsudaira Fuka

作品写真:pakila
作品写真:pakila
作品写真:pakila

pakila

ドライヤー、ドレッサー|3Dプリント|ABS樹脂、ケミカルウッド、アクリル、LEDHair dryer, dresser|3D print|ABS resin, chemical wood, acrylic board, LEDH200 × W450 × D450mm、H1750 × W900 × D450mm

髪が長い人は髪を乾かすのに毎日約20分の時間を費やしています。美容に時間をかけたい人々にとって、この時間はストレスにつながっていると考えました。
そこで、髪をほぐす風と、乾かすための温風の2種類の風を使い、快適に速く乾かすことが出来る未来のハンズフリードライヤーを提案します。
髪を乾かしながら、美容に時間もかけられる。心地よく美しくなれる新しいヘアドライの形です。

松平風香

今後様々なテクノロジーの発展に伴い、人とプロダクトの最適な関係性をデザインしていくことが、一層求められてくるであろう。
この提案は、日常の生活シーンの中で、女性が感じる煩わしさに着目し、従来のものと全く違った発想でドライヤーのデザインに取り組んでいる。斬新な製品デザインと、鏡に向かってジェスチャーを用いた操作や、ワイヤレス充電が普及する未来の住空間への設置性を含め、様々な角度からデザインに取り組み、未来の快適な生活スタイルを提案している点を評価した。

工芸工業デザイン学科教授 田中桂太

井藤成美Ito Narumi

作品写真:THE STUDY series of Nogu
作品写真:THE STUDY series of Nogu
作品写真:THE STUDY series of Nogu

THE STUDY
series of Nogu

農業用棒ネット、防風ネット、ゴミネット、園芸用ホース、ほか|熱成形Agricultural net, windbreak net, revention bird net, garden hose, other|ThermoformingH80 × W80 × D80mm ~ H1500 × W1000 × D1000mm

畑で見かける農具は、それぞれの用途に特化して生産されるため、一つ一つ化学的で興味深い素材として捉えることができる。特徴や性質を発見し活かすことで、農具の領域を超えた新たな視点が生まれるのではないかと考えた。

井藤成美

作者にとって身近なものであった農業資材を新鮮な視点から一つの素材として見つめ直し、新たな表現方法を探求した。あらゆる加工法を試し、トライ・アンド・エラーの連続の中から生まれたものは、周囲の空気を優しく取り込み、素材とデザインの関係性の新たなる可能性を示唆するものとなり、高く評価された。
新たな生命を吹き込まれた素材は爽やかな空間の中で新たな機能を与えられ、どこまでも魅力的である。作者は明確なイメージと意識を持って空間というキャンバスの上で絵を描いたようにも思える。農業資材は絵の具の一つであったのかもしれない。今後の更なる展開も期待したい。

工芸工業デザイン学科准教授 山中一宏