小堺勝Kozakai Masaru

作品写真:package
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package

紙、銅、真鍮、洋白Paper, copper, brass, nickel silverH500 × W2700 × D1800mm

かつて中にいた“それ”は
自らの器をつくり、抜け出ていく
残されたカラを通して
私たちは“それ”を予感する

小堺勝

そこに“あった”ものを予感させることがこの作品のKey Concept。

モチーフ(卵、サナギ、マユ)独特のフォルム、表層のパターンやテクスチャーをまず銅板上に鍛金彫金技法を駆使して再現し、それを和紙に写し取るというとてもユニークな表現手法を用いている。あえてその金属原型を見せないことで、より見る者の想像力をかき立てる。

和紙の使い方に未熟さが見受けられるが、発想の秀逸さと今後の発展・展開が大いに期待できるという評価での受賞となった。

工芸工業デザイン学科教授 鈴木洋

惣谷茉由Soya Mayu

作品写真:Curva
作品写真:Curva
作品写真:Curva

Curva

ブナ|曲げ木Beech|Bending woodH810 × W1800 × D800mm

自分らしい曲線を使った自分らしいカタチ

惣谷茉由

このベンチはフレームに限界ギリギリの曲げ木を使い、木材ならではのナチュラルな味わいを醸し出している。公共スペースで使用の場合、サイズに余裕が欲しい。

工芸工業デザイン学科教授 十時啓悦

濵田綾音Hamada Ayane

作品写真:草むら
作品写真:草むら
作品写真:草むら
作品写真:草むら
作品写真:草むら
作品写真:草むら
作品写真:草むら

草むらautumn grasses

陶土、化粧土、ろくろ成型、象嵌Potter’s clay, engobe, shaping using potter’s wheel, slip inlayH230 × W230 × D150mm × 6点

おととしの秋、実家のある八ヶ岳へ久しぶりに帰ったとき目にした草むらがずっと心に残っている

枯れ草とまだ瑞々しい草花が混ざり合い重なって、夕方の冷たい空気の中で西日に照らされて輝いていた

春のやわらかさや夏の盛りとは違う、円熟したようないのちの雰囲気が、なんだかとても胸に迫ってきて、ドキドキした

きっとずっと傍にあったのに、毎日そこで暮らしていたときには見えていなかった

この作品は、素朴なだけではなくどこか妖艶で神秘的な雰囲気もある草花の重なりと奥行きを、“象嵌”という大好きな技法で、なんとか表現したいと思いながら制作した、私が見た草むらの記憶の、記録です。

濵田綾音

土の色を生かした落ち着いた色調でまとめられたうつわ、
風に揺られ重なり合うように器を囲い込む美しい草紋様、
身近な自然への憧憬やありふれた雑草への優しい眼差しは、作者の故郷、信州の原風景がもとになっている。
本体はろくろ成形を基本に作られ、文様は小口の異なる木棒で一つ一つ印刻し象嵌によって表現されている。
伝統の技術を用いながら、たゆまない研究の蓄積をオリジナリティーのある表現技法へと発展させたことが評価された。

いったい作者はこの作品をいくつ作ったのだろうか? 20個30個、それ以上かもしれない。

素材と向き合った濃密な時間がここにある。穏やかだが、エネルギーに満ちた作品である。

工芸工業デザイン学科教授 西川聡

伊藤未来Ito Miku

作品写真:欲動
作品写真:欲動
作品写真:欲動

欲動To move with desire

ガラス|ホットワーク、フュージングGlass|Hot work, fusingH150 × W1400 × D450mm

「欲」が生まれたとき
それは欲望のままに進んでいき

「欲」は生きているモノから生まれるもので
死んだモノに「欲」なんてきっと生まれないだろう。

つまり、「欲」とは生きている証である。

欲望が満たされた時
人は生き生きしている。
人間の欲は人を生かすための栄養剤なのかもしれない。

人間の「欲」という部分だけを取り出し可視化した。

伊藤未来

この作品は溶けたガラスを巻き取って色を付け、細く(2〜3mm)引き伸ばし棒状のガラス(ケイン)を無数に作ることから始まる。
束ねたケインを電気炉の中の型に立て、徐々に温度を上げていく。約580℃でケインは重力に引っ張られて、ゆっくりと倒れていく。
その時に生まれるガラス独特の曲線や勢いで作品はかたち作られる。
うねるように波打つ曲線は、自ら意志を持つようにも見え、活き活きとした表情を捉えることに成功した。
数多くの実験を繰り返し、自らの高みをぎりぎりまで望んだ結果である。

工芸工業デザイン学科教授 大村俊二

門馬さくらMomma Sakura

作品写真:服は武器だ
作品写真:服は武器だ

服は武器だFASHION IS ARMOR

シルクオーガンジー、金糸、銀糸、ビーズ、刺繍Silk organdy, gold threads, silver threads, beads, embroideryH1070 × W780 × D4mm、H1230 × W1000 × D4mm、H1490 × W1060 × D4mm、H1550 × W875 × D4mm、H1070 × W780 × D4mm

毎日服を着て生きる

今日を力強く生きるために好きなイメージを纏う
コミュニティーに馴染むために服装を変える
装うことで自分の個性を周りに示す

服は自分を守るための鎧だ
服は戦い、生き抜くための武器だ

門馬さくら

繊細なシルクオーガンジーに透明感を保ちつつも、緻密な刺繍とビーズワークが施され、表から見ても裏から見ても見事な手仕事です。服装を変えるだけで、不思議と心まで変わり強くなれる。どこから見られても大丈夫と言わんばかりに、スケルトンな作品の中に、彼女の言う服つまり鎧を纏い、日々生き抜く力を得ている現代人像が、浮かんでくるような気がします。

工芸工業デザイン学科准教授 鈴木純子

植南雄也Uenami Yuya

作品写真:Flex ―電動工具使用時のパワーアシスト―
作品写真:Flex ―電動工具使用時のパワーアシスト―

Flex ―電動工具使用時のパワーアシスト―Flex —Power assist when using an electric tool—

ナイロン、ラッカー、アルミ、3DプリンターNylon, lacquer, aluminum, 3D printerH600 × W530 × D430mm

現在、建設業界において大工の就業者全体の人口が減少傾向にある。若者の減少や、大工の高齢化も著しいという現状は、体力を必要とする現場作業において大きな痛手となる。そこで、現場作業に特化した新しい機能を持ったパワーアシストスーツを提案する。製品のユーザーは、住宅等の建設現場に従事する大工であるため「装着しながら快適に作業が可能」かつ「現場作業特有の電動工具使用時の負荷を軽減する」ことが、最大の目的である。

植南雄也

大工の高齢化や若者の人口減少などが今後ますます問題となるなか、大工の経験や技とロボット技術の共存をテーマとした社会性の有る作品。この提案は、既に有るパワードスーツの機能に加え、同じ姿勢で長時間作業を行う際の疲労軽減を目的とし、姿勢維持をアシストするという考え方に独自性がある。現場作業を分析し構造やメカニズムを自分で設計を行い、細部の造形に至るまで完成度高くデザインされている点も評価につながった。

工芸工業デザイン学科教授 田中桂太

シュウ ウケツZhou Yujie

作品写真:VIA
作品写真:VIA

VIA2040 AUTONOMOUS SHARED MOBILITY

ABS樹脂、3DプリンターABS resin, 3D printerH472 × W737 × D362mm

2040年、パーソナルモビリティと公共の交通機関がメインの移動手段であるスーパー都市に置く、自動運転技術を用いて都市部の空間を活用した友人同士で乗ることができるモビリティ

シュウ ウケツ

自動化技術が進んだ20数年後のシェアモビリティーである。例えばエアポートや都市中心部など、おそらく広大で平坦な空間でのオンデマンドタクシーとしての用途が想像できる。軽量なシェルとフォールディングシートから成る主骨格が特徴的である。
公共性を考えウォークスルーであり、置かれていても歩行者を邪魔しない。自動制御により前後左右とも自由に移動できる。自動運転EVとしての新しいモビリティーを示唆するこの作品は、いわゆる自動車の延長上にない新しい姿であり、秀逸である。

工芸工業デザイン学科教授 稲田真一

松本麻衣Matsumoto Mai

作品写真:2 in 1 cookware
作品写真:2 in 1 cookware
作品写真:2 in 1 cookware
作品写真:2 in 1 cookware

2 in 1 cookware

ABS樹脂、木、ガラス、布、3DプリンターABS resin, wood, glass, cloth, 3D printerフライパン + お皿:(大)H45 × W340 × D240mm (中)H40 × W326 × D226mm (小)H15 × W312 × D212mm
木皿 + 鍋敷き:(上)H75 × W247 × D247mm (下)H53 × W241 × D241mm
水飲みグラス + 計量カップ:H87 × W77 × D77mm
ランチョンマット + 箸置き:H10 × W520 × D320mm
スプーン+大さじ・小さじ:(大)H20 W170 × D42mm (小)H10 × W150 × D31mm
お箸 + マドラー:H10 × W230 × D20mm

外資系ブランドの進出やインターネットショッピングの普及により、より買い物を楽しめる時代となった現代。しかしその一方で、「断捨離」や片付けブームが起こるなど、集めすぎた物に圧迫されない生活を求める人々が出てきました。2 in 1 cookware は、1つで2つの使い方が出来るキッチンツールの提案です。空間・時間・行為をキーワードに今ある物を整理し、少ないアイテムで豊かな食生活を送ることを提案します。

松本麻衣

2 in 1とは、例えば2つの要素が統合・一体化されたモノやサービスを意味します。あなたの身の回りには、使われずに眠っている生活用品はありませんか? 学生は2 in 1の概念で可能な限りモノを減らし、シンプルでスマートな生活を送るライフスタイルを提案しました。使用頻度が高い12のキッチン用品から、機能を共通化して6つのアイテムに集約させたプロセスは明解で、改めて今の時代に合うモノの価値を見出しています。楽しくモノと付き合う方法やモノにまつわるライフスタイルを提案した秀逸な作品です。

工芸工業デザイン学科教授 中原俊三郎

佐藤翔子Sato Shoko

作品写真:Lucy
作品写真:Lucy

Lucy

鉄、SBRゴム、焼付塗装Steel, styrene-butadiene rubber, melamine baking type top coatingH230 × W400 × D210mm × 4点

よく重いものは置けないねと、言われる。「ふざけんな!」と思う。これはそもそも鉄が歪むほど重いものをわざわざ置くための場所ではない。水色は鉄で、緑色はゴムでできている。4つのルーシーは全て同じ形だ。若干の機能とともにゴムの厚みによる曲線はどことなく様になり、置き方を考えればいくつもの形をつくることができる。写真はその中のパターンの1つに過ぎない。

佐藤翔子

物と空間の関係性を探求した上に生まれた、一枚の曲げた鉄板と柔軟なゴムシートの組み合わせによるシンプルな造形である。空間の中に存在する「物」の内側と外側、そしてそこに生まれる境界、非常に難しいテーマを独自の切り口で極めて簡潔に作品表現している。ゴムシートの形状を変形させることにより境界は優雅に変化する。そのフォルムはあくまでも優しく、ユーモラスでもある。家具の形を借りる事により、最小限の機能性を持たせてはいるが、表現しようとするものは、表層的な有様を超えた不可視なものである。終わりがないかのように見えた試行錯誤の末に生まれた、空間の概念に切り込む秀逸な作品である。

工芸工業デザイン学科准教授 山中一宏

平澤尚子Hirasawa Shoko

作品写真:2050
作品写真:2050
作品写真:2050

2050

廃品蛍光灯、ゲル膜、ガラスパイプ、アルミ線、高周波放電装置、金属、ワイヤーFluorescent lamp, crystal gel, glass pipe, aluminium wire, high frequency discharge device, metal, wireH1200 × W450 × D450mm × 5点

目に見えない部分に未知なる美しさは存在し、当たり前の概念を問い質すことから未来の創造は始まる。全ての存在する物質や事象がマテリアルとなりうる。

太古の人間が触れた時、月や太陽が光るのと同じように光として美しく、物質として存在できる光を目指した。廃品蛍光灯を高周波放電によって、配線無く光らせることで関係を不明瞭にすると、とたんに光は “光らされているもの” から “光っているもの” となる。高周波放電の性質により、指が触れると光が強くなり、集まる。透明のゲル伸縮膜は感電を防ぐための保護膜であると同時に、暗闇の中で光をほんの少しの動きを持って浮遊させるための支持膜だ。

一連の私の制作の要となったのは、未来の技術がいきつく先の価値観や美意識に対する考察であった。技術発展は一見人間の営みを不自然にしているようで、実は物質に回帰することへの人間の羨望と、純粋な欲求に導かれているのではないかと考える。

平澤尚子

極めて実験的なアプローチと斬新な素材の使い方などが高く評価された。闇の中で宙に浮くリングが放電により発光する様はどこまでも儚く、美しい。絶え間ない光の細かな揺らぎは作者の心のざわめきのようでもある。デザインとして妥協できないポイントを整理し、ディティールの検証、完成度の追求など詰めるべき課題は多い。それら全てが一定のラインを超えた時に表現としての完成度が上がる事だろう。多角的な面から可能性を秘めた作品である。

工芸工業デザイン学科准教授 山中一宏

安福栞奈Yasufuku Kanna

作品写真:criss cross ―廃止鉄道車両と車庫のドミトリー―
作品写真:criss cross ―廃止鉄道車両と車庫のドミトリー―
作品写真:criss cross ―廃止鉄道車両と車庫のドミトリー―

criss cross ―廃止鉄道車両と車庫のドミトリー―criss cross —Abolition of railway vehicle and garage dormitory—

模型|スチレンボード、バルサ、木、紙、ほかModel|Styrene board, balsa board, wood, paper, otherH130 × W1500 × D1270mm

廃止鉄道車両と車庫を再利用したドミトリー。
かつて忙しく人々を運んでいた車両は休息と出会いの場所へと変換される。
通勤電車では吸い込まれるように電車に乗り込み、ロボットのように職場に運ばれる毎日。働く人や電車は休むことを知らない。また車内では見ず知らずの人間と無意識に一番密着している空間である。そこで廃止された車両の次の役目は、無意識の出会いを意識的な出会いに変えていき、働き続けた車両や人々にとって休息の場として生まれ変わることだ。

安福栞奈

作者は将来使用されなくなる可能性のある鉄道の操車場を想定し、人々が交流するための場としての宿泊施設を提案した。
組み換え可能な動線計画と空間のつながり、コンテナ車両を利用した仮設移動店舗のプログラムは電車という移動可能な空間の利点を最大限生かしている。電車の躯体をそのまま利用しながらもその記号性に頼ることなくActivityが生まれてくる場をデザインした点を高く評価した。

工芸工業デザイン学科教授 伊藤真一