


らくがきはわたしの日々からつぎつぎとうまれてきます。
かわいいかたち、へんてこなかたち。
いつもノートのはしっこやスケッチブックを埋め尽くしています。
このブローチやピアスは、そんなわたしのらくがきから生まれました。
日頃から集めてきた糸やビーズ、お気に入りをたくさんつめこんで。
らくがきするみたいに自由にどこにでもいくつでもつけてほしいから、1つをとても軽くしました。
胸元、耳、帽子やマフラー、かばん。
あっちにもこっちにも。
自由気ままにらくがきして出かけよう。
クラフトデザインコース(金工)
[浅井美樹]
作者が幼少の頃から続けている“らくがき”が起点になったという作品である。
1つのパーツから始まり、無限に展開、または増殖していくかの様は“らくがき”的であり、その独特なデザイン・制作のプロセスの楽しさがよく伝わってくる。
斬新性を求めるあまり、不必要にマテリアルやコンセプトを弄くり回す近年のコンテンポラリー・ジュエリーの傾向に陥らず、素直に取り組んだことが作者の創造力を遺憾なく発揮させる結果になった。
[工芸工業デザイン学科教授 鈴木 洋]

様々なものの機械化が進み、ものがあふれる中、
手仕事はものづくりのペースを保つ。
人の手から生まれる形の魅力がある。
表現する上で、機械化を「均一なものが永遠につくりだせる“ 連続”」 手仕事を「人が動くことで変化することのできる“ 連動”」という文字にあてはめた。
人が座ることによって、連動の波が起き、均一に連続していた縦のラインにも動きがでる。久垣まゆ
クラフトデザインコース(木工)
[久恒まゆ]
この作品は広くて様々な年齢の人々が行き交うところにできた水たまりをイメージさせる。
うっすら青味のあるポプラの木をたくさん使い、水面に広がる波紋をもとに造形表現したものである。
通常のベンチの高さより低く考えられており、お年寄りが腰をかけることもでき、どっしりと安らぎを感じる。
[工芸工業デザイン学科教授 十時啓悦]

「粧」
身を飾ること、装飾
装飾を施した器を制作。
現在のデザインでは、装飾は付属品として扱われ、
次々と省かれている。
しかし私は、省かれていくそれこそ、時代の、文化の、
そして個人の美意識を
強く反映したものだと考える。
クラフトデザインコース(陶磁)
[牟田真弓]
地味であるがとても良い作品である。手ロクロによる円形をまろやかな四角に変形し、白化粧を施して丁寧に掻き落とす伝統的な技法を用いている。
植物への鋭い観察から抽出された模様による装飾が効果的である。
一般的に焼物は、炎の中で偶然出来る窯変が尊ばれますが、それに対して丁寧な手技を生かした必然によるものです。食器として料理を受け入れながら、それを引き立てる品格のある器に仕上げています。
[工芸工業デザイン学科教授 小松 誠]

冬の日の、
澄んだ空気や、
静かな緊張感や、
息を潜めた生き物たちの気配を、
思い浮かべながら、
ガラスという素材の、
透明感や、
泡の繊細な表情や、
形にする時の熱さや、
完成した後の涼しさを、
感じながら、
作りました
クラフトデザインコース(ガラス)
[林 あゆみ]
生ガラスには数多くの表現技法があるが、作者は、キルン・キャスト(炉内鋳造)で粉材の円筒形を制作し、フリーブロウ(吹き)で透明な同型の円筒を作り、各々を輪切りにし完成した水盤の波紋状を考えつつ透明・粉材の筒を重ね熔着し、その上から透明のガラスを巻き、形を整えている。この様に鋳造と吹きの複合化により独自の表現を創り出している。
この作品は吹きガラスの基本を踏まえながら、個々の作品を巧みに配置し、作者が表したかった「冬の音」と言うテーマを上手に表現している。
[工芸工業デザイン学科教授 齋藤昭嘉]

長野県松本市
そこは盆地で四方を山々に囲まれていて
自然にあふれている
私の故郷
家の近くの田んぼ道
そこから見える松本の町、通った小学校
沈んでいく夕日を
眺める事が好き
中学時代一生懸命写生した松本城
お堀を泳ぐ鯉たちを
眺める事が好き
昔から変わらないなわて通り商店街
賑やかではないけれど
のどかに流れる人並みを
眺める事が好き
旧松本市役所の洋風な外観
松本市時計博物館の大時計
松本駅を
眺める事が好き
東京から松本に帰る度
変わっていく松本の街並
古いものは無くなり
新しいものが増えていく
自然の摂理
今そこには私の好きな風景がある
でもいつか消えてしまう
そして忘れてしまう
そんな不安をもった時
私の松本を一枚の絵画として表現したいと思った
愛する松本を忘れないために
これからも想い続けるために
永遠にするために
クラフトデザインコース(テキスタイル)
[野尻春香]
織、抜染、刺繍による作品は、緻密な計算を基に故郷松本を表現した。
ノスタルジックでありながらモダンな3D的にも見える画面は、異なった技法による結果なのだろうか。テキスタイルの表現技術を巧みに使い分けながら画面の一体化に成功した作品である。
[工芸工業デザイン学科教授 田中秀穂]

―日常使用の障害者用スポーツ自転車の提案―
近年、スポーツ自転車は移動手段はもちろん、スポーツやファッション等あらゆる分野から注目され、その形状や趣味性、機動力が幅広く存在します。
ブーム以降都心部ではその格好良さから街を行き交う人々のライフスタイルに根付いてきました。
同時に車いすの人々も都心に暮らす人々が多く、積極的にスポーツを楽しんでいますが未だ車いすスポーツのなかで前者のような楽しみ方が一般的になっていません。現在ある車いすは日常用、スポーツ用各々に特化し、前者のスポーツ自転車のような楽しみ方が存在していない点に注目しました。
PLUTOは日本の地形にあった設計で、誰もがアクティブでスポーティに日常で街を乗って楽しむ障害者用スポーツ自転車です。
自分の力で走る爽快感、どこまでも行きたくなる軽やかさとスタイリッシュさを提案します。
インダストリアルデザインコース
[石川 恵]
この車椅子は、ウォーキングやサイクリングといった日常的なエクササイズを車椅子の利用者にも気軽に楽しんでもらうための提案である。
効率良く推進力を生みだす設計と、車体と乗り手の一体感を重視した先進的なデザイン性を併せもち、新しい車椅子の方向性を示している点を高く評価した。この製品が車椅子の利用者に積極的にエクササイズに取りくむ動機づけとなり、新たなライフスタイルに繋がってゆくことを期待する。
[工芸工業デザイン学科准教授 田中桂太]

ものづくりは、何をつくりたいかという考えを基にして素材・色・形へと移行していきます。しかし、「素材そのものをつくる」ことをデザインプロセスの始めに据えると、今までにない特徴は自然に生まれ、ものづくりの可能性もまた、それに伴い広がるのではないかと考えました。
幼い頃につくった新聞紙の剣のように単板を巻いていくと、パイプ状の木の丸棒ができたことが始まりでした。巻き数や軸に応じて強度・軽さ・形の変わるこの素材の特徴を活かした、椅子の提案です。
無垢材よりも軽く、従来の単板の主な用途である成形合板よりも、薄い厚さで強度を出すことができます。
インテリアデザインコース
[齋藤 駿]
この作品は椅子のデザインであるが、椅子に留まることなく今後幅広くプロダクト製品への応用が考えられる新しい技法に裏打ちされている。
ブナ材、ブビンガ材などの突板を正円形や楕円形に巻いて筒状の部材に仕立て、椅子全体を十分強度に耐えうる構成につくりあげた。
それは椅子の研究と物性の研究を平行して行ない、実験のくり返しと検証の結果成立ったものであり、画期的な技法と言える。同時に身体との関係性およびデザイン性も良く、優秀賞に値する内容である。
[工芸工業デザイン学科教授 寺原芳彦]