


ドローイングや構想の段階では、自分が何を描いたのか分かりません。
いつも何だコレと考えながら描いています。
大抵聖書とか、妖怪とかなのですが、中には昔蜂に刺されたとか怖くて忘れられない夢とか、描き進めても結局分からないものもあります。
そういった私の中にあるものがまぜこぜになった結局よく分からない絵が、私の私らしい作品だと思っています。
[大山穂奈美]
和紙、具墨のやわらかな調べ、岩絵の具の美しさが響きあう絵画空間。そこには人体や自然界の生命の形を基にした、独自の不思議な形態が存在する。若々しい新鮮な感性はエネルギッシュに新たな形を創出し、それらは増殖し、絡みあって特異な存在そのものに変化していく。力強い生命を宿した絵画構成、形態の今後の展開が心から期待される秀作である。
[日本画学科教授 三浦耐子]

画面いっぱいに描かれた形や色の異なる模様が、全体を見た時にきれいに調和しているような絵を描きたいと思いました。筆の動かし方や絵具の種類によって、自分がイメージしていたものとは違う面白い形が見えてくることがあるので、形を決めてから色を塗るというより、色を塗りながら形を作っていくというふうに描きました。色については、制作している時々で使いたいなと思った色を塗ったという感じです。
[外岡卓也]
赤・緑・黄・オレンジ・青など原色に近いさまざまな色彩が横溢するこの作品は「ドローイング」というタイトルとは少々違った印象を受ける。アトランダムに構成されたそれぞれの印象は互いに呼応し合って大変美しい空間を生んでいる。今後、色彩の質?マテリアルについての認識の深化を期待する。
[日本画学科教授 滝沢具幸]

ひとつの細胞、皮膚、肉体、
それらを形成することで、ひとつの「生」が存在する。
一人の人間、一匹の鰯が群れとなり、「生」を持つ。
群れの中に生きていく、
そして、群れであることで生きられる。
しかし、その深海の姿は、誰にもわからない。
誰にも知られず、孤独の中にいる。
孤独を生きることで、個を知り、孤を知る。
だから、いまを描く。
[佐藤 希]
作品は「孤」と題されている。作者は回遊する魚影の群れに、孤独な人の姿を投影したかったのだろうか。何万匹の魚をひたすら描ききった画面はダイナミックに循環し、生き物の生の深淵と讃歌を同時に垣間見るようである。ぬめりとした質感に、見る側は思わず群れの中に手を挿し入れてしまいそうに、知覚的な衝動を受ける。ぎらりと光る目の点は、わたしたちの目を射る。写実を超えて、作者の内面性までも表れた優れた絵画である。
[日本画学科教授 内田あぐり]

樹齢2000 年、日本最古といわれるこの老桜は、積年の風雪で幹は折れ、内側は腐り、枯死の危機にあいながらも、たくさんの支柱に支えられて生きている
遥か神話の時代から、人々がこの桜に祈ることは、一つだったのかもしれない
また春が来て、花が咲き、命は巡る
[外川惠理]
卓越した造形力で大胆かつ繊細に描き、日本最古と言われる桜の花を画面に見事に開花させた。桜の木は逆光で描かれることにより、ドラマティックなすがたかたちを表している。光の先を見ると、墨のたらし込みによる余白があり、空間の奥行きと大気を感じる。墨や土の絵の具による古典的技法、光と陰による表現、そして空気遠近法が渾然一体となって、独自の絵画世界を生んでいる。優れた現代の日本画表現である。
[日本画学科教授 内田あぐり]

私の「美意識」。
私が気持ちよいと思い、手を動かし、自然に出てきた形、色、質感。
そして、私の「分身」。
つくることに対して、やっと素直になれた気がします。
みんなありがとう。
[中村桜子]
中村桜子は以前の作品で着ぐるみを着て他者との交流を計るというパフォーマンスを行った。そこには作品を通してコミニュケーションを行うという意識が強くあった。今回の卒業制作においてもその意識は反映されているようだ。モデルの二人の関係、観客と作者、作者と社会など幾つかの関係性を暗示させるこの作品は個人の表現であると同時にエロテッィクな記号として機能している。
[日本画学科教授 尾長良範]