海野幸太郎Umino Kotaro

作品写真:A LITTLE EXCELLENT
作品写真:A LITTLE EXCELLENT
作品写真:A LITTLE EXCELLENT

A LITTLE EXCELLENT

インスタレーション|紙、インク、シルクスクリーンInstallation art|Paper, ink, silkscreen printing

驚くべきことですが世界平和や戦争反対、家内安全なんてものは写真には写らないのです。自分の周りで起きたことくらいしか撮れません。猟に行けば山の写真です。夜の街に行けば夜景が写ります。だから嘘をつかないと言いたいわけではありません。今の時代は嘘も本当もわかりません。今までもそうだったのかもしれません。
ただ、淡々と過ぎ去る現象を撮る以外には他にありません。そこに愛を見たいのです。

海野幸太郎

海野は写真を専門とした大学で2年間学んでおり、3年次に武蔵野美術大学に編入した。作品を司る「死生観」はドキュメンタリーとしての写真に色濃く表れている。彼にとって写真は表現の主軸であり、シルクスクリーンもそのひとつと考えている。版画は元々伝達手段として様々なメディアを取り込んできたが、写真も例外ではない。彼の作品は一見すると写真にしか見えないが、それは作者の意図するところで、半透明のインクで5回以上刷り重ねられた画面は写真と版画の両者の特性を生かした微妙な均衡が保たれている。海野なりの版を使った写真への落とし込み方にこれからも期待したい。

油絵学科准教授 元田久治

関萌瑚Seki Moeko

作品写真
作品写真
作品写真

誰も信じないこと -1Things that no one believes -1

誰も信じないこと -2Things that no one believes -2

誰も信じないこと -3Things that no one believes -3

誰も信じないこと -4Things that no one believes -4

誰も信じないこと -5Things that no one believes -5

紙、インク、リトグラフPaper, ink, lithographH570 × W800mm ×10点

私は何年も前から大きな地震が来ると予想されている地域で生まれ育ちました。
中学生の頃には、本当に大きな地震が来るという具体的な日にちの噂が流れましたが、誰もそんな噂は信じることはなく、噂で予言された日の前日には、ふざけて笑いながら今生の別れをしている人たちもいました。
次の日になって、結局地震なんて来ることはありませんでしたが、数年経った今でも、本当に地震が来ていたらどうなっていたのだろうと想像することがあります。

関萌瑚

柔らかな光に包まれる白日夢のような絵は、1対の画面を読み解くほどに不穏なものとなり、ただならない情景を徴す絵へと変容する。「もしも〇〇が起きていたら」「もしも〇〇が起こらなかったら…。記憶から表出するイメージを版が作るレイヤーによって美しく統合し、2つの画面それぞれで過去・現在・未来という時を溶かしながら物語を展開している。私たちが認識する世界は、はたして真なるものなのか…。関の描き出すパラレルワールドは、不確かな現代を生きる者の心を静かにそっと揺さぶるのである。

油絵学科教授 遠藤竜太