芦川瑞季Ashikawa Mizuki

作品写真:パーソナルスペース
作品写真:パーソナルスペース
作品写真:パーソナルスペース

パーソナルスペースpersonal-space

紙、リトグラフPaper, lithographH900 × W1200mm × 4点、H941 × W694mm × 3点

たくさんのコンテンツに恵まれた環境で生活できていて、幸せだと思う。
それでも時折、何もかもが離れたところにあるような気がして、虚しくて、私という個体との間に絶対的な距離感を覚える。
見ていながら見失ってしまうことを認知したくて、そのために必要なものを探しにいき、画面を構成した。

芦川瑞季

自分の居場所を見つけるというテーマをもって外の世界を取材し、フォトショップでの編集を経て創り出された私的イメージを、敢えて手描きリトグラフによって描き起こす。
仮想と現実の往還で辿り着いた自分の居場所として認めることのできる独自な世界は、多くの情報に囲まれて確かな現実を実感できない現代を生きる人たちの感覚をよく表わしている。
この作品には、白黒の印刷ゆえの直截な訴求力と相まって、絵としての鮮烈なリアリティがある。

油絵学科教授 遠藤竜太

山田ひかるYamada Hikaru

作品写真

MEMENTO#2

和紙、油性インク、木版Washi, oil-based ink, woodcutH1830 × W950mm

みやとケンとジョーイMiya,Ken and Joey

和紙、油性インク、木版Washi, oil-based ink, woodcutH950 × W950mm

はやにえimpale

和紙、油性インク、木版Washi, oil-based ink, woodcutH290 × W660mm

平成2う1058heisei2u1058

和紙、油性インク、木版Washi, oil-based ink, woodcutH800 × W800mm

MEMENTO#3

和紙、油性インク、木版Washi, oil-based ink, woodcutH290 × W660mm

昨夏、私の住む街でひとりの女子高校生が電車にはねられ亡くなった。少女は高校の制服姿で線路内に飛び込み、自らの命を絶ったらしい。遺骸が片付けられたあとも匂いに誘われて集まって来たカラスたちが線路をつつく様を見た。少女を取り巻いていた人々は彼女の死をどのように消化していくのだろうか。
あらゆる世界の中で死んでいった少年少女の思いに触れたいと希求し彫った。

山田ひかる

女子高生の死体という、センセーショナルなモチーフを木版画として丁寧に彫り起こし、繊細な和紙に刷り取った意欲作。実際に発生した女子高生にまつわる事件をベースに作者がイメージを膨らませ、虚実取り混ぜて構成した複数の画面から紡ぎだされる物語は、時空を超えた不可思議な違和感を醸し出している。腹からはみ出した内臓、むき出しの骨や筋肉など、目を背けたくなる残酷さとは裏腹の画面全体を支配する場違いの明るさは、無常観と共鳴しながら観る者の困惑を誘い出す。その居心地の悪さこそが、この絵の落としどころなのかもしれない。

油絵学科教授 高浜利也