喜入美帆Kiire Miho

作品写真:夕日の國
作品写真:夕日の國
作品写真:夕日の國
作品写真:夕日の國

夕日の國Country of the sitting sun

和紙、シルクスクリーンWashi, silkscreen printingH970 × W1170mm × 4点

想像上の世界を描く。
誰しも一度は思い描いたことがあるであろうここではない世界、現実ではない世界への強い憧れのヴィジョンを版表現で表す。
ここではない憧れの世界は戻った人間が居ないため憧れとして成立していて、その思いや気持ちははっきりとした色彩や地に足をつけた表現で表せるものではないと私は考える。
そのため、手順や描画方法が大きな意味を持つ。誓約や欠落を抱えてまでも表現することで、その世界は具現化することができるのだ。

喜入美帆

画面にひろがる無数のタッチ。シルクスクリーンで刷り取られた淡い色彩が、幾重にも折り重なりながら、和紙の表面を覆い尽くしている。作者の息遣いまで伝わってくるような、繊細な絵肌から受けるイメージは、観る者のこころを映し出す鏡のようだ。捉えようとするほどに逃れてゆく、彼方の光と何者かの気配。ことばにならない“それ”に近づくために、タッチを繰り返す祈りにも似た行為は、版表現における反復性と感応しながら、新しい絵画の出現を予兆させる。

油絵学科教授 高浜利也

鷹觜絢香Takanohashi Ayaka

作品写真:Room
作品写真:Room
作品写真:Room
作品写真:Room
作品写真:Room

Room

インスタレーション|壁紙、木製パネル、紙、エッチングInstallation art|Wallpaper, wood panel, paper, etchingH2450 × W8000mm

不確かなものとは、日常の出来事や過ぎていく時間が、記憶に変わっていく瞬間と捉えた。
4点の版表現は自身の記憶から構成されている。
日々の出来事。
眠りに落ちる瞬間。
夢で見た風景。
異なる時間軸の記憶だとしても、記憶はどこかでつながっている。
目には見えない記憶をイメージ、空間として再構成を試みた。

鷹觜絢香

不確かなかたち。日常の出来事が過ぎていく時間が、記憶に変わっていく瞬間。生きることの蓄積されていく記憶から再構成される夢のイメージ。と作者は云う。
卓越した豊潤な銅への腐蝕に加え、審美的な自己への美意識への憧れが生み出した、視覚的な交響曲の短調的楽章を夢想する銅版画。生きることの希望と孤独に潜む退廃の静かな美しさ、内省する魂の情景。私はこの作品に接して、これまで在った日々と箔霜の中で感じたことを想起した。この作品には創作者が持たねばならない美の本質。熾火が含まれていると思うのは、私だけなのか。もしくは私が年を取ったことか。

油絵学科教授 池田良二