大三島弘女Omishima Kojo

作品写真:Tower of the Bible
作品写真:Tower of the Bible
作品写真:Tower of the Bible
作品写真:Tower of the Bible
作品写真:Tower of the Bible

Tower of the Bible

木材、紙Wood, PaperH2200 × W720 × D720mm × 2点

聖書は「世界で一番読まれている本」と言われているにもかかわらず、日本人にとっては、少し信じがたい、とっつきにくい読み物とされがちです。ですが私は、聖書は面白い読み物だということを知っています。私の父は牧師で、小さい頃から聖書をよく読んできました。だからこそ、聖書の魅力を少しでも感じてもらえるような「聖書の柱(タワー)」を建てました。

大三島弘女

デザインする対象への理解度がこれほどの結果を生み出すのかと驚かされた作品だ。幼い頃から聖書と接する環境に育った大三島さんは、聖書の構成がイエスの4人の弟子による記述によって構成されていることをよく理解していた。そして聖書をよりよく理解して貰う為に、直方体の4面を利用した塔の形へと変化させた。形式と内容が一致し且つ表現にまでたどり着いている。デザインすることの可能性と楽しさを提示してくれている作品だ。

視覚伝達デザイン学科教授 新島実

大山千晶Oyama Chiaki

作品写真:博士の色彩研究室
作品写真:博士の色彩研究室
作品写真:博士の色彩研究室

博士の色彩研究室Professor's color laboratory

インスタレーション|木材、偏光板、モニター、アクリル、樹脂、ビニール、布、塩ビ板、金属、LEDInstallation art|Wood, polarizing plate, monitor, acrylic board, plastic, vinyl, cloth, PVC board, metal, LEDH2000 × W2700 × D3600mm

博士の色彩研究室の一般公開日へようこそ。当研究室では、人間の目で知覚できない色彩を持つものの収集・研究を行っています。見えない色を持つものは透明のただのガラスやプラスチックのように見えます。しかし近年の研究で透明に見えるものでも豊かな色彩を有していることが判明したのです。本日は特別に不可視の色彩を見ることができる特殊偏光眼鏡の貸し出しも行います。是非おかけになって未知の色彩の世界をご覧ください。

大山千晶

大山さんは3年生の時から授業を受け持っているが、ずっと「物質の構造から生まれ出る色」に興味があった。何度も実験をして、失敗し、また実験、の繰り返しであった。これまでの作品も非常に面白く興味深いものが多かった。だが、それは作品が面白いというよりは、我々が見たことのない「自然現象」を見せてくれたという驚きの方が多かったかもしれない。しかし、今回の卒業制作は違う。「自然現象」をどのように「見せる」かをじっくり考え、作品の「世界観」を構築し、長い実験の結果として自らが紡ぎ出した「自然現象」をしっかりとした「作品」に昇華させている。

視覚伝達デザイン学科教授 古堅真彦

栗山彩花Kuriyama Sayaka

作品写真:INSTRUCT ME!
作品写真:INSTRUCT ME!
作品写真:INSTRUCT ME!
作品写真:INSTRUCT ME!

INSTRUCT ME!

インタラクション|プロジェクター、モニターInteraction|Projector, monitorH2500 × W3000 × D4000mm

「同じ形をした何かを大量に並べて、ルールに従って延々と動くところを眺めたい。」

この願望を実現するために、人間とコンピュータの間で使われる言語を使ってコンピュータに命令することにした。
複雑で曖昧で変則的な人間同士の言語と違い、単純で厳密で規則的なのがプログラミング言語である。
普段は視覚化されない人間とコンピュータの言語のやり取り(=擬似プログラミング)を直に体験してほしい。

栗山彩花

栗山さんはプログラミングでものづくりをすることがとても好きである。基本的には独学でプログラミングを習得し、それを活用して作品を作ってきた。そこで気がついた「プログラミングの面白さ」を他の人にも伝えたい! その気持ちが体現されたのがこの作品である。一般的には裏側に隠されてしまうソースコードをあえて前面に出し、また日本語で表記した。そしてその内容を、素人でも簡単に変更できて、すぐにその結果が反映されるしくみを作った。プログラミングをするときに一番重要な「アルゴリズム」の解釈を体感できる優れた作品である。

視覚伝達デザイン学科教授 古堅真彦

鈴木華実Suzuki Hanami

作品写真:GIMMICK BOOKS
作品写真:GIMMICK BOOKS
作品写真:GIMMICK BOOKS

GIMMICK BOOKS

本|紙、布Book|Paper, clothH200 × W200 × D50mm × 4点

つまむ、めくる、引っ張るなどといった指先のほんの少しの動きは、紙の形状、時には紙の持つ意味合いまで変えてしまう。その面白さを表現することのできる媒体として仕掛け絵本を選び、「色の錯視」「形の錯視」「動き」「ストーリー」をそれぞれ主軸とした4冊の本を制作した。特に錯視の絵本では今まで「見る」ことでしか確認することのできなかった錯視を、仕掛け絵本の特徴である「触る」ことでより体感できるよう試みた。

鈴木華実

鈴木さんは仕掛け絵本を作った。仕掛け絵本は作るのが大変である。毎週試作をしてきて、私やゼミのみんなの感想や評価を受け、次の週までにそれを取り込んで、の繰り返しだった。と書くととても苦しそうに聞こえるが、本人は楽しみながら作ると決めていたようだし、(悩み苦しみながらも)実際に楽しそうに作っていた。
作品にはその楽しさが滲み溢れている。仕掛け絵本といえば、見せ方やしくみの「驚き」がその評価の対象となりがちであるが、この作品にはそれと同じレベルでの「親しみ」がありその二つが見事に融合している。ページをめくるたびに驚くと同時にほっこりしてニヤッとしてしまう。

視覚伝達デザイン学科教授 古堅真彦

髙橋里奈Takahashi Rina

作品写真:かたちの絵本
作品写真:かたちの絵本
作品写真:かたちの絵本

かたちの絵本Picture Book of Shape

本|紙Book|PaperH218 × W220mm × 6点

「かたちと意味」をテーマに、かたちに条件を与え意味の変化を探る様々な実験を行ってきた。条件とは、同じ図の構成で「色を変化させる」「線の質感を変化させる」「言葉を加える」「配置を変える」などである。これらを通して気づいたことは、「1つのかたちが、条件をつけることで別の意味やイメージに変わる面白さ」だった。そこには子供の頃に感じたような、見つけた時のわくわく感や、気づいた時の喜びがつまっていた。

髙橋里奈

「ことばとかたち・イメージと意味とは何だろう」その問いが彼女の制作の出発点だった。そこから今回の絵本のサブタイトルにもなった色・シルエット・言葉・イメージ・錯視・メタモルフォース・インタラクティブなどをキーワードに膨大な造形スタディを行った。彼女はそれらを統合するために絵本という媒体を選び、ストーリーと絵が作られた。彼女の作品が、読んで見て単純に楽しめると同時に、その背後に視覚造形への深い思考を感じさせてくれるのはその丁寧なプロセスにある。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策

丸山太央Maruyama Tao

作品写真:理想の書物が生まれるまで ―恩地孝四郎と出版創作―
作品写真:理想の書物が生まれるまで ―恩地孝四郎と出版創作―
作品写真:理想の書物が生まれるまで ―恩地孝四郎と出版創作―

理想の書物が生まれるまで ―恩地孝四郎と出版創作―Until an ideal book is born —Koshiro Onchi and a public creation—

年表、本|紙Chronology, book|PaperH1456 × W4120mm、H297 × W210mm

現在、「日本に於ける抽象絵画の先駆者」として恩地孝四郎は広く世に知られている。
しかしその一方で、装幀家、作曲家、舞台美術家、詩人という顔を持っていたことは余り知られていない。そこで私は様々な分野で才能を発揮した恩地の作品に関する資料を、収集し、分類し、俯瞰した。そこから見えてきたのは「出版創作」という名の作品群であった。恩地孝四郎が追い求めた理想の書物はいかにして生まれたのか。年表を通してその全貌を解き明かしていく。

丸山太央

「日本の抽象絵画の先駆」として評価されている恩地が、一方で装幀・作曲・舞台美術・詩人・編集出版を含む総合的造形家としての評価が低いのは何故か、というのが彼の制作動機だ。まず彼はこの作家の資料を、地道に収集・分類・比較し、全体像を俯瞰する年表をデザインした。年表は一見地味だが、情報の可視化と編集には不可欠の創造的な作業である。その中で彼は恩地の仕事群において「出版創作」が最も重要な軸であるという結論に至り、蛇腹状の本を編集・制作した。彼のデザインに対する誠実・真摯な態度は特筆に値する。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策

宮本奈緒美Miyamoto Naomi

作品写真:こもんぐらむ ―東京―
作品写真:こもんぐらむ ―東京―
作品写真:こもんぐらむ ―東京―

こもんぐらむ ―東京―Komongram — Tokyo ver.—

テキスタイル|布、紙、革Textile|Cloth, paper, leatherH800 × W800mm × 6点

江戸小紋の緻密な紋様や質感、巧みな図案の数々に強く惹かれていた。自らも小紋を作ってみたいと思い立ち実物を参考に試行錯誤する中で、単に繰り返しの紋様を作るのではなく、細かな小紋のひとつひとつが情報を持っていれば面白いのではないかと考えるようになった。この小紋には東京の都心(≒かつての江戸)の情報が含まれている。離れた時に見えてくる紋様と、近付いて分かる小紋の意味のリンクを楽しんでいただければ幸いだ。

宮本奈緒美

江戸小紋の構成に、東京23区の記号情報を紋様の形態に変換させて潜り込ませ、「東京」を表現した、グラフィックデザインの秀作である。小紋の細やかな空間を自在に操る宮本さんの造形感覚は特筆すべきものであり、江戸小紋の古裂の収集から始め、小紋を知り尽くそうとした強い想いがもたらしたものだとも言える。すでに完成している伝統的な形に新しい考え方を加味するとは本来このような作品のことを言うのではないだろうか。

視覚伝達デザイン学科教授 新島実

山本万純Yamamoto Masumi

作品写真:山本版 東京判じもの
作品写真:山本版 東京判じもの
作品写真:山本版 東京判じもの
作品写真:山本版 東京判じもの

山本版 東京判じものYamamoto edition Tokyo Rebus

本、パネル、カード|紙、蛇腹製本Book, panel, card|Paper, bellows foldH105 × W148mm、H1030 × W2184mm、H55×W91mm

江戸後期、庶民の間で流行した判じ絵とは、絵で解くなぞなぞのことである。駄洒落と言ってしまえば簡単だが、昔から和歌など言葉の響きを大切にしてきた日本だからこそ生まれた一つの文化であり、娯楽である。その判じ絵の技法にならい『東京判じもの』というオリジナルの現代版判じ絵を300種ほど作ってみた。江戸の判じ絵と現代の判じ絵、あなたにはいくつ解けるだろうか。

山本万純

「江戸判じ絵」という、先行研究の多い謂わば手垢のついたテーマでありながら、この作品はこれまでの先行例ではみられない、意味生成の構造を解き明かす試みを行った。同時に山本さんは「江戸判じ絵」の分析を通して、東京をテーマに350を超える「東京判じ絵」を描き出した。判じ絵をモチーフに、視覚伝達における視覚言語の造形操作の原理を見つけ出し、その原理を用いて自らの表現形式を獲得した興味深い作品である。

視覚伝達デザイン学科教授 新島実