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「分ける」と「つなぐ」を体験する
デザイン情報学科の4年間


今やデザインの対象はモノだけでなく、イベントや社会の仕組みといったコトにも及んでいます。 急速な情報化によって国際的な相互依存と対立が同時進行するなか、経済社会でも統合と分業という相反するベクトルの扱いが問題となっています。
より良い社会をつくろうとする思いと、生み出されるモノ・コトを上手につなぐための創造的な手段として、デザインに大きな期待が寄せられているのです。
デザイン情報学では「デザイン」と「情報学」という2つの角度から創造の秘密にせまり、デザインの可能性を広げようとしています。

デザインされたモノ・コトを一つの全体として考えた場合、それは多くの部分から成り立っていますが、それらがうまく機能し合って初めて、全体としての働きが実現されます。 そのために部分をすり合わせ、組み合わせて全体のカタチを創り出していく、これがデザイン情報学的に見たデザインの役割です。

一方、全体をより良いものにするには、どのような部分を集めるかが問題です。
となると、世界をよく観て分析しなければなりません。 そのためにはこれまでヒトがどのように世界を分けてきたかを知ったうえで、今度はどのように新しく分けるかを考えなければなりません。 ここに情報学活躍の場があります。

さらにデザイン情報学の関心は、全体を単なる部分の寄せ集めに終わらせない、部分の総和以上のものにするために、目標に向けた最適な統合のしかたへと向けられます。
従来のモノのデザイン、近年のコトのデザインといった範囲を超えて、異なる立場の人たちのコラボレーション(協調)はどのように達成されるべきか、当たり前ながら確実に未来に大きく影響する重要なデザインテーマです。

このように創造的なデザイン提案を行うためには、新たな分類と統合の考え方が必要です。
そこで私たちは、従来のデザイン分野にとらわれず、なおかつ理解しやすいように、デザインが直面している状況を4つの入り口(系)に分けて示すことにしました。

まず、多くの人が「デザイン」というと思い浮かべるグラフィックデザインは、ビジュアル・コミュニケーション系という領域で扱われます。ここでは「見せる」ために必要な「見る」ことの基本を理解し、新しい発見をカタチに仕上げます。
現在、最もホットなグラフィック領域と言われるWEB・ デジタル系では、デジタル技術をベースにこれまでの表現を巧みに組み替えながら新しい世界を探求します。
ゲームや情報機器、公共システムなどは商品・インターフェース系の一部と位置づけられます。
「ヒトは記号を通して世界とつながっている」という考え方をベースに、ヒトと記号環境をスムーズにつなぐ秘密を仕組みに変えていきます。
広告やコンテンツ、インスタレーションなどを中心とする映像メディア・表現系では、あらゆるイベントを支える「時間」を中心に表現と体験の関係をとらえ、コンテンツとメディアの両面からデザインの可能性に挑みます。

では具体的なカリキュラムはどのようにデザインされるべきでしょう。
美術大学では伝統的に「カタチを作る」ことが最優先されてきました。考えるだけではなくカタチにしてみることで、初めて気づくことがあるからです。
狙いと結果に違和感を感じたら、本を読んで資料を調べ、もう一度考えて作り直すことで、デザインはより深いものになっていきます。
また作品を他人に見てもらい、話していると多くの気づきが得られます。ただモノを作って悩んでいるだけなら一人でもできます。
この「作る」「見せる」「気づく」「考える」といったカタチをめぐる回路を何度もまわる経験できるからこそ、美術大学でデザインを学ぶ意味があるのです。

こうした考え方をベースにデザインされたのが、自らの能力を高めていく発見的学習の循環システム「ヒューリスティックサーキット(Heuristic Circuit)」です。

Heuristic Circuit

ここで「考える」と「作る」の間に「プラン(計画する)」というステップがあることに注目してください。
思いつきでモノを作るのならプランはいらないかもしれませんが、自分のなかで狙いと結果のギャップを確かめるためには、プランをたてて、後のチェックのために残しておくことが必要です。
またデザインを社会に出すためには、いろんな立場の人たちと力を合わせなければなりません。
そうなると、アイディアを出し合ったり、思いを言葉や図にして共有するために、共通の基盤となるプランは欠かせないのです。

4つの入り口からデザイン探求の世界に入った学生は、いくつものプランを描き、試行錯誤を繰り返した後、最終的には学生自らが新しい領域を創り出して行くように指導されます。
すでにあるアートやデザインという枠組みを超え、現実と柔らかい感性で対話しながら未来をつくるクリエータを育てる、それがデザイン情報学の目標なのです。

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