はじめに佐野寛林利昭佐藤康三原研哉深澤直人中島信也近藤康夫佐藤卓中西元男
略歴:
1958年 岡山県に生まれる
1983年 武蔵野美術大学大学院デザイン専攻修了、日本デザインセンター入社
1998年 長野冬季オリンピック大会公式プログラム、開・閉会プログラムを手がける
2005年 名古屋国際博覧会デザイン専門委員 現在、日本デザインセンター代表、武蔵野美術大学教授

主な受賞: 竹尾『ペーパーワールド』ADC賞「リ・デザイン展」2000年世界インダストリアルデザインビエンナーレ(インダストリアル・グラフィック両部門)大賞、2000年度毎日デザイン賞、ADC賞グランプリ
講談社出版文化賞ブックデザイン賞、原弘賞、亀倉雄策賞、日本文化デザイン賞
HAPTIC
〜感じ方をデザインする〜

  竹尾は紙のHAPTICな豊かさを世の中に供給する会社であり、封筒や名刺のひとつひとつを通じてそのメッセージを伝えている。ペーパーショーは、竹尾のマーケティングの一環であり具体的なブランドイメージを発信する場であるとともに、竹尾自身がデザイナーとともに新しい使い方を実験する場でもある。今年4月のペーパーショーは、「HAPTIC」というテーマで展開した。
  HAPTICとは、触覚を喜ばせるという意味を持つ。普通は、ものを作るモチベーション(動機付け)は形だが、今回は触覚から発想してもらい、視聴覚以外のメッセージの重要性を明確に意図した。形からでは発想できない、感覚を総動員して感知していく展覧会となった。

梅田病院サイン計画
〜清潔さを伝えるマテリアル〜

  最大の特徴は布であるということで、洗濯できることがポイントである。白い布は汚れやすい。それを常に清潔に保つことで病院の空間の配慮の高さ、医療の度合いを表すことができる。サインは物質であることことは避けられないので、その物質に別の意味を持たせる。汚れたテーブルクロスを剥がしていくような合理性よりも、清潔さをコミュニケートできる。このように、情報のチャンネルは視覚以外にも豊富である。

松屋銀座リニューアル
〜触覚性のリアリティー〜

  これまでの生活雑貨店からファッションの松屋へ、ということで中に入る高級ブランドを支えられるだけの具体的なプレステージ性を追求した。感覚器官に対してできるだけ多くの情報を与える、触覚性を持った白をテーマとした。外壁やカードにドッツのテクスチャーを用いている。どんな百貨店になりたいかが指先で解るようなデザインを様々に展開し、バーチャルな百貨店ではなく実際に買い物を体験する場が持つべき情報を表現した。

長野オリンピックのプログラム
〜記憶を呼び出す〜

  文字をデボッシング加工し、さらにへこんだ部分が半透明になるような紙のデザインして、雪と氷のイメージを作った。これは雪の足跡をつけた経験を再現しており、このプログラムをさわった瞬間に雪と氷の祭典が頭の中に蘇るようにと考えた。オリンピックのプログラムは、セレモニーを解説するだけのものではなく参加した人の記憶を共有する為の共通のメディアだと考えているからである。
  このように内的な記憶、蘇った映像が頭の中に構築される情報の建築の主要なパーツとなるのである。

書籍
〜情報の彫刻〜

  私は書籍を情報彫刻だと考えている。ただの情報の集積だけでなく、物質的な部分が重要なのだ。情報をタマゴに置き換えてみよう。5万個のタマゴをあげます、といわれてもうれしくない。それよりも1個のタマゴを、いかにおいしく食べるかという観点に対して、人間ははじめて食欲を覚えるのだ。情報も同じで、程よく切り分けられた分量の情報を、いかに素敵に構築していくかが大切なのだ。
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