はじめに佐野寛林利昭佐藤康三原研哉深澤直人中島信也近藤康夫佐藤卓中西元男
略歴:
1938年 神戸に生まれる。
1959年 桑沢デザイン研究所修了
1964年 早稲田大学第一文学部美術専修卒
1968年 株式会社PAOS設立
1980年 PAOS NewYork
1985年 PAOS Boston
1995年 PAOS北京
1997年 PAOS上海 設立

経営者に理解されるデザイン理論の確立とデザイン手法の開発をテーマに研究と実践を重ね、現在までに約100社のCI・事業戦略デザインなどを手掛け、多くのサクセスストーリーと代表事例を世に送り出す

中西元男 公式ブログ
http://designist.net/blog/

株式会社中西元男事務所 ≪PAOS≫
http://www.paos.net/

株式会社ワールド・グッドデザイン World Good Design
http://www.WorldGoodDesign.net/

特別講義第9講
デザインでどこまでやれるか
アジアのデザイン
 いま、アジアのデザインに元気があり、とても注目されている。かつては生産の基地であった中国は、いまや重要な市場となった。たとえば車の場合も、来年あたり日本の販売台数を超すと考えられているし、高層ビルの数は上海だけで日本全体の数を越えている。その一方で、日本の家電ブランドの評価は下降してきている。いまやアジアのトップは韓国と中国だ。そんななか私はある催しを上海の国立図書館で行った。日本メーカーによる展覧会なのだが、コマーシャルではなく、日本の生活デザイン文化を主としたことが特徴だった。
 いまや世界の5人に1人は中国人であり、アジアのデザインも中国の影響が大きい。欧米を真似るのではなく、アジアのデザインアイデンティティをもった新しいデザイン市場を作ってもらいたいのである。
 デザインしたものを世の中に存在させる人は誰だろうか。商品化を決めるのはデザイナーではない。その意味で、経営者に理解できるデザイン理論が重要なのである。良いデザインを世の中に存在させる役割を担う意味で、デザインを理解できる経営者を育てる必要があると考えている。しかし残念なことに今の日本にはデザイン評論家がいない。批評でなく解説をする人ならいるが、なかなか新しい世界を示すような人がいない。しかし評価する立場の人間がいないと、デザインは発展していかないのである。

『5つのデザイン』
 これまで、パッケージやポスターなど、単品での仕事は基本的にしない。ひとつの企業やブランドのデザイン戦略や事業戦略をしてきた。私がデザインする過程で意識しているのは以下の5つである。
1)政策・方針のデザイン
2)表現・表象のデザイン
3)新事業・事業領域のデザイン
4)理念・企業存立のデザイン
5) 社会的・環境的価値のデザイン
 これは「デザインの可能性を探求する」という自分のデザイン思想に基づいている。デザインを幅広くとらえ、生活や社会に浸透していくデザイン思想を考えたい。

銀座松屋をデザインする
 松屋のリニューアルCIをやるとき言われたのが、「この店は何もやらなければつぶれる、なにかやってもちょっとでも失敗すればつぶれる。だから何か思い切ったことをやってほしい」だった。松屋のCIでは様々な企画を実施してきたが、それが実現したのはすべて、山中社長が受け入れたからこそである。
 まずは競合店との差別イメージを作り出すことに取り組んだ。顧客第一主義の前に集客第一主義、とにかく客に来てもらうことを目指した。そもそも銀座は当時、15時にはシャッターを下ろす銀行などの出店が多い街だったが、地域の商店会にも協力を呼びかけ、街に活気を戻すことに成功した。
 マークに関して言うと、百貨店は元呉服屋が多いため、肉太のシンメトリカルなマークになっている百貨店がほとんどだったが、その造形性はイメージにはそぐわない。百貨店のイメージを活かした華やかさ、繊細さを持ち、多用途に使用可能なロゴを作った。包装紙も、それまでどこの百貨店でも白地が一般的だったところを、ブルーに白抜きを採用。パッケージを標準化し、再使用したくなる紙袋をつくった。裏方のバイヤーが推薦して商品アピールをしたり、パーソナルギフトに光を当て、客と店員がコミュニケーションをとり最適対応するようにした。


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2Q&A

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