研究テーマ:
技法・材料の歴史的な変遷により生じた絵画空間の差異を同じ画面のなかで合一することは可能だろうか。
'81・'89・'03・'06・'09年紀伊國屋画廊展、'82・'83・'84年ポルタ・ディ・リペッタ画廊展(イタリア)、'85年オスナブルック市立美術館(ドイツ)など個展多数。'84年靉光賞受賞(自由美術展)。
論文: 「絵画技法と色面境界の変遷及び油性テンペラについての一試論」「ティツィアーノとレンブラントの模写による技法研究」「テンペラグラッサについて」いずれも『武蔵野美術大学研究紀要』。
自由美術協会会員。
絵画の技法・材料
絵画を美学や図像学などの描かれた内容からみるのではなく、絵具や支持体等の物質的側面からみた技法・材料と表現を研究します。中世からルネッサンスにかけて開花したイタリア・テンペラ技法は、発色は美しいが乾きの早いテンペラ絵具の特性から輪郭線中心の造形法が生まれています。最初期の油彩技法であるフランドル派は、透明性が強く被覆力が弱い油絵具を用いたために画面の明るい部分は支持体である白亜地の明るさを生かし、暗部になるほど絵具層を重ねています。油絵具の特性の一つである透明性が充分に生かされた絵画技法です。油絵具を硬練りにすることで厚塗りを可能にしキャンバスに大作を描けるようになったヴェネツィア派以降の技法では、油絵具の特性のすべてが生かされています。近・現代絵画における部厚く激しい筆触はチューブ入り油絵具の誕生と深く結びついているわけです。このように絵画表現と絵具等の物質は、表裏一体の関係にあります。
授業では古典から現代に至るまでに展開された絵画の技法・材料の研究を、各種支持体や絵具等の個別的な学習とそれらを合理的に関連づける技法を学び、結果として表現された絵画空間の変遷を講義も加えて具体的に研究しています。先人達が積み重ねてきた絵画諸材料の物質との対話から獲得された表現の遺産を糧として学生個々のオリジナリティーが豊かに確立されることを目指しています。
学生作品(模写)
a:イタリア・テンペラ技法(ヴェロッキオ)
b:フランドル派油彩技法(ワイデン)
c:ヴェネツィア派以降油彩技法(レンブラント)
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