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すべてはポスターから
はじまった
―「現代演劇のアート・ワーク60's〜80's」展から11年
小堀 純 編集者


ポスターに囲まれてみたい

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<演劇>そのものの展覧会
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すべてはポスターからはじまった
―「現代演劇のアート・ワーク60's〜80's」展から11年
小堀 純 編集者


ポスターに囲まれてみたい

きっかけは1冊の雑誌だった。
1987年の暮れ。情報誌プレイガイドジャーナルの編集部を解散し、職を失った私は、「さて、何をしようか」と相変わらずの行きあたりばったりであった。何をするでもなくモリサワのPR誌『たて組ヨコ組』(1987年夏17号)の頁をめくっていると、白地にくっきりと、「特集=シルクスクリーン」のタイトル。巻頭の文章は及部克人「シルクスクリーンは視覚革命をめざす運動のメディアだった」
 1950〜60年代の日本のグラフィックデザインを語る上で欠くことのできないシルクスクリーン。その手づくりのメディアに係わった幾多のデザイナーと彼らを支えた工房、サイトウプロセスのこと……。70年代のはじめから情報誌の仕事を、それも名古屋で始めた私には、名前だけを知っている憧れの大先輩たちの夢の仕事。及部氏の文章はいきいきと時代の空気を伝えていく。私の知っている時代のことも眼に飛びこんできた。状況劇場、天井桟敷、黒色テント、自由劇場等60〜70年代の演劇ポスター群。日本の現代演劇の黎明期と云っていい、この時代を的確に伝える横尾忠則、平野甲賀、串田光弘のすぐれて先駆的な仕事。演劇と美術の幸福な出会いを彼らのポスターは雄弁に物語っているのだ。
 及部氏の文章はつづく。「横尾忠則、串田光弘、平野甲賀らのポスターは、単に演劇の告知ではなく、演劇そのもののはじまりであった。演出のあらわれとしてのシルクスクリーンの選択であり、演劇としてのグラフィックデザインの、時代が要求した表現様式だったのだ」
 そう、ポスターは「演劇のはじまり」であった。情報誌あがりの私は、「はじまり」というコトバに弱い。及部氏の文章にキックをもらった私は掲載されていた〈演劇〉のポスターたちをもう一度みたくなった。できればこれらの圧倒的なポスターたちに囲まれてみたい。
 横尾忠則「ジョン・シルバー」「腰巻きお仙忘却編」(状況劇場)、「天井桟敷定期会員募集ポスター」平野甲賀の「シュールレアリスム宣言」「ブランキ殺し・上海の春」(黒色テント)、串田光弘「イスメネ 地下鉄」「赤目」(自由劇場)、及部克人「河童」(状況劇場)etc…
 来年のことを何も決めていなかった私は「ポスターをみたい→囲まれてみたい→展覧会!!」と脳天気な単純計算をして、さっそく”手作り”の企画書に取りかかった。題して「劇的アヴァンギャルドーポスターに視る同時代演劇」