ムサビの造形学部には11の学科が開設され、それぞれに特色ある授業を展開しています。
そこに学ぶ学生たちもユニークな個性派ぞろい。そんな彼らに、所属学科を紹介してもらいました。

|
高校の美術部で小瓶に入った絵の具の美しさに感動し、日本画学科を志望しました。入学して最初は和紙や岩絵の具など、素材や道具の使い方に慣れることが中心の授業になります。そのため、日本画の道具を使うのは楽しかったけれど、“ 使わなければ”という、どこか縛られている感がありました。そこで、1年次の春休みに描いたのが『かみおろし』です。この作品では、もっと違う素材を使った方が自分の表現に当てはまるのではないかと、キャンバスを使い、油絵に使う下地を塗ってみました。やってみた結果、日本画には和紙が一番合っていることや日本画画材の良さがわかり、自分の中にあったモヤモヤ感も解消され、これ以降は素材についていろいろ考えるようになりました。岩絵の具は本当にきれいで、これで描くと思うとわくわくします。ところが、描いてみると思ったようにいかない。そのギャップがおもしろいし、これからも新しいことに挑戦していきたいです。 |
かみおろし 日本画|キャンバス|0 号 |

|
不完全燃焼 岩絵の具、水干絵具、墨、胡紛|和紙|50 号 |
小学校の頃から水彩に慣れ親しんでいて、さらっとした筆使いや色の重ね、濃淡など、水彩の特質が好きで選んだ日本画は、比較的自由度の高い学科です。2 年次は各学期の最後に自由制作があり、前期は「閉塞感の打破」を、後期は「不完全燃焼」を描きました。前期は自由制作とはいっても、文様などを調べて、そこからインスピレーションを得て描くという条件がついていました。そこで、僕は図書館で古代漢字を調べ、それと梵語などを作品に取り入れました。制約の少ない課題は、大変な部分はあっても、自分の好きなことができるので、楽しいし、思い入れも強くなる気がします。僕の場合、自由制作は両方とも抽象画になりましたが、抽象画でも具象画でも、デッサン力、造形力、構成力は不可欠だと思っています。今後はこういった力をさらに鍛えながら、感性をより一層磨いていきたいと思います。その点、ここには学内で他学科の学生の作品を見る機会が多々あり、大いに刺激になります。 |

|
どういうものを描くかまったく決めずにひたすら色を重ねていく、というやり方で、いつも制作しています。3年次の『ビーチ』という作品も、感性に任せて上部に青、下にピンクや朱色を塗っていったところ、途中で山のように見えてきたので、木を描き足してみました。最初は手前にあと2本の計3本描きましたが、ちょっとうるさく感じたので、いいなと思った1本だけを残し、最終的に自分がキレイだなと思ったところで終了。展示用の課題だったので初めて作品タイトルをつけましたが、絵画を眺めながら似合う言葉を考えるのも、意外に楽しい作業でした。私は編入生で油絵歴自体が浅いのですが、周りの人に比べて経験値が少ない分、作品がどうなるのか自分でも楽しみながら描いているところがあります。学科の雰囲気にもすんなり溶けこむことができ、芸術祭では団体展示に参加しました。今後も自分のスタイルを変えることなく、自由に創作を続けようと思います。 |
ビーチ キャンバス、油絵具|1620mm×1940mm |

|
戸棚と標本 パネル、綿布、油絵具|1450mm×1600mm |
オープンキャンパスで見学した絵画組成室に、入学前から魅力を感じていました。絵画組成室ではテンペラ画など古典絵画の技法を教えてくれる他、材料や工具が揃っていてキャンバス等を自分で作れます。サイズはもちろん、下地の塗料や素材の質感も自在に選べるのがおもしろいですね。3年次のコンクール展に出した『戸棚と標本』という作品も、自作のパネルに描いたもの。賞をいただき、自分の制作に自信がもてるようになった作品でもあります。そうした意識の変化は、日々の授業でも実感しています。例えば2年次の“身体をテーマに制作する”という課題では、初めて立体の表現物を作ったり、素材選びを工夫したのが新鮮でした。多様な課題を通して、絵を描く時とは異なる世界観が自分の中にあることに気づき、油絵一辺倒だった頃より興味の対象や視野が広がって、制作の楽しさを再発見しています。今後は、公募展などにも積極的に参加していきたいと思います。 |

|
版画専攻では3年次前半に、木版、銅版、リトグラフ、シルクスクリーンの4版種の技術を徹底的に学びます。各版種いずれも圧倒されたのが、工房の設備、銅版のプレス機などは、日本一といわれる大きさと聞きました。しかも版画専攻は1学年20数名なので、分かれると1工房あたり6~7名。4年生と院生とを合わせて実質10数名で、その立派な工房を独占できるわけです。もちろん大きな設備は共用ですが、逆に上級生が機器の扱いを教えてくれるなど、先輩後輩の関係が近いというメリットもある。技術面だけでなく、進路の情報なども教えてもらえるのでありがたいですね。特別授業では海外の著名なアーティストの制作指導を受けられるなど、本当に恵まれた環境で密度の濃い勉強ができている、と実感します。今、学んでいるシルクスクリーンは、印刷など実社会とのつながりも深く、その点でも興味深い。将来、仕事に生かす道も考えながら、しっかりと技術を身につけようと思います。 |
untitled 麻布、インク|1300mm×1300mm |

|
storage シルクスクリーン|マットフィルム、アニメフィルム |
自分の頭の中にある“ 記憶”や“ 時間”のイメージを表現したい、というテーマを心に抱いてきました。それを初めてうまく出せたかな、と思えたのが、2年次末の進級制作で提出した『storage』という作品。フィルムを重ねて時間の層を表現したのですが、その後、授業でさまざまな版表現も経験したことで、もっともっと幅広い技法があることを知りました。作品づくりの過程で具体的なアドバイスをいただけるので、その都度新たな発見があり、それによって自身のテーマや表現したいものも、少しずつ変化していきます。最近では時間というあいまいなものよりも、例えば“ 老い”といった人間の根源的な部分に興味が出て、表現したいと思うようになりました。現在リトグラフを専攻していますが、一つに絞るのではなく違ったアプローチや版表現を試し、ペインティングなども含めて、作品ごとに一番合った方法を模索していけるようになりたいと思います。 |

|
印象に残っているのは入学して最初に受けた授業です。約180cm×120cmのダンボールを4枚ずつ渡され、人体を作る課題でした。私はダンボールをはがして薄い紙のようにし、同じくダンボールで作った骨組みに貼りつけていきましたが、課題の解釈や作る過程は人それぞれ。ダンボールだけで、こんなに多様な作品ができるのだという新鮮な驚きを感じた授業でした。その後は未経験の素材にもトライするようになり、抽象的な作品も作りましたが、結局はもともとやっていた粘土と人体に戻ってきました。今後はもう少し焼き物を追究してみようと考えています。焼き物は、粘土で作った時の表現がほとんどそのまま残ります。ただ、一口に粘土といっても種類は多いし、土によって特徴も異なります。焼き方も基本の素焼きと本焼の2段階の他、素焼きだけにする、あるいは乾燥させて釉薬を塗って本焼だけという方法もあるので、いろいろと試行錯誤してみたいと思います。 |
胸像 本業(ほんぎょう)焼、水粘土、素焼き |

|
untitled 鉄|全長3m |
鉄、FRP、テラコッタ、金属、木彫など、さまざまな表現を学んできましたが、やっぱりおもしろいのは金属。特に鉄に魅力を感じます。なかなかいうことをきいてくれない硬い鉄板と真剣に向き合うのがいい。例えば叩いて曲げる時の、鉄と“ 闘う” 感じは、大変だけど楽しいし、溶接で火を使う時には緊張感があります。何よりも、全力で格闘しないと頭の中にあるイメージ通りにならないのがおもしろい。たとえ溶接がうまくいっても、曲げるのに苦労するなど、本当に毎日が力仕事という感じですが、そのぶん、のめりこめるし、できた時の達成感も大きいです。同じ鉄でも、磨きの工程を取り入れて鏡面にするなど、試したいことや作りたい作品はまだまだたくさんあります。また、牙のように尖ったものが好きな自分とは別に、家という空間が好きな自分もいます。だから、できる時間や設備があるうちにやりたいことはやってみるつもり。やらずに後悔したくないですから。 |

|
2年次に作った『植物図鑑』は、自分のテーマを突きつめて1冊の本にまとめたもので、大きな達成感を得ることができました。本をめくるという行為に対してどういうものを作ればいいかを勉強する課題で、条件はムサビの植生をテーマに本をつくるということだけ。どんな植物をどのように取り上げ、表現するかはまったく自由で、私は葉の形のおもしろさや重なり具合を表現するため、色の情報は排除し、さまざまな質感の白い紙だけを使ってポップアップ仕立てにすることにしました。忠実に葉っぱの形を再現する作業は本当に大変でしたが、楽しくもありました。これは1つの課題のスパンが長く、自分の表現を突きつめられるからこそだと思います。また、3年次に作った「むすびめ」では、小平市の農家と直売所と消費者のつながりをドキュメンタリータッチの本にまとめました。対象となる人やものに愛着を持ち、何かを伝えたいという思いが大切なのだと気づかせてくれた課題で、また一つ思い出深い作品が増えました。 |
植物図鑑 210×297mm |

|
ダイズさん 210×230mm|78ページ |
1年前期、色彩空間構成の最初の授業での「トラストウォーク」は、2人ずつペアになり、一人が目隠しをし、もう一人が後ろから言葉で誘導するもの。まだよそよそしさの残る中で、みんながうちとけていくとともに、視覚の重要性を痛感させられました。もう一つ、学科の名物授業である2 年前期の構成演習は、通称「レシピ」と呼ばれ、食材がテーマであれば、内容も表現も自由。料理、写真、イラスト、構成、編集とすべての作業をやらなければいけない大変さはあっても、楽しんで制作できました。視覚伝達デザイン学科はみんな、いいものを作ろうという気持ちが強く、作品のクオリティが高いと思います。それだけに学内展示で人に見てもらうには工夫が必要になります。そこで考えたのがキャラクターのフィギュアを作ること。レシピは作品の見せ方を考える機会にもなった授業でした。視デは互いを刺激し合い、知らないことを教えあえる雰囲気にあふれています。 |

|
新時代の小型スポーツカーのデザイン(EVベース) IDコース |
入学当初は、インテリアデザイン志望でした。でも今はクルマのデザインを主体とする“ カーゼミ”に入り、人に喜ばれる自動車を作ることを将来の目標にしています。その変化をもたらしたのが、フレキシブルなカリキュラム。クラフト、インテリア、インダストリアル3コースのうち、学びたい科目を体験してから専攻を選ぶことができます。特にクラフト関連の授業では、金属や木や陶磁など多様な素材に触れることができる。これは、インテリアやインダストリアルを志望する人たちにとっても有益だと思います。私も金工やガラスを体験したのが良い経験になっていますし、その間にカーゼミの存在を知って「自分が作ったクルマが全世界を走ったらどんなに素敵だろう!」と志望を変える時間の猶予がありました。と同時に、課題制作では決められた時間の中できちんとモノとして完成しなければならない厳しさもありますが、納得して選択した道なので粘り強く取り組んでいます。 |

|
家具のデザインに興味をもち、この学科を志望しました。課題で出した作品で印象深いのは、2年次に「EDS竹デザイン・プロジェクト」で制作した「HASHI stool 」。学内の他、学外やインドネシアでのワークショップでも作品が展示されたことと、夏休みのほとんどを工房に通いつめ、制作に没頭したことが強烈に記憶に残っています。ポイントは、当初からインドネシアへの移送を視野に入れ、分解・組み立てが容易な“フラットパック”の家具にせよ、という条件があったこと。そこで考えたのが、挟むだけで椅子になる形だったのです。と、言葉にすると簡単ですが、アイデアを「作」るのは大変でした。ただ、工デでは、どの授業でも現物を作るのは当たり前だし、陶磁や金工などさまざまな素材に触れる機会が豊富です。その経験から、志望が変わる者もいます。私も今は家具にこだわらず、空間デザインの分野からインテリアを勉強中。そんな変化も工デならではです。 |
HASHI stool INTコース|竹(EDS)、混合ウレタン、綿布(紺) |

|
The Body Parts CDコース 金工専攻|鉄、ステンレス線 |
クラフトが好きで、中でもコンテンポラリージュエリーに興味があります。ジュエリーの歴史は繰り返しの歴史といわれますが、そこに変化を起こしたい。その思いを強くしたのが、3年次に作った「The Body Parts」です。金工を選択して初めて本格的に鍛造の技術を学び、挑戦の楽しさを知ると同時に、コンセプトとプロセスをしっかり意識して作った作品でした。「動作から生まれる発想」という課題に対して、“ 流れる”という動作を取り上げましたが、美を線で表したい、というコンセプトを、鉄という素材はくっきりと見せてくれる。自分をフォローしてくれたようで、鉄が大好きになりました。熱して加工する鍛造の作業も叩く行為が意欲をかきたて、細かい作業より好きかも?と思ったくらい。力強さが勝りがちな鉄を繊細にコントロールしている、という講評をいただき、うれしかったです。今後も金工を深く学び、自分なりの新しい装身具を見出したいと願っています。 |

|
3年次でセノグラフィのコースを選んだのは、装置や小道具といったものづくりに興味があったからです。舞台美術家として活躍されている先生方と接することができ、質問すればいろいろと教えていただける環境に恵まれています。僕は立体物を作るのが好きで空デを志望しましたが、実際にいろいろな課題に取り組む中で、空間を考えることに対し、難しさとやりがいの両方を感じています。この学科は、比較的コースの縛りが緩い気がします。ゼミに関係なく、幅広く学べ、学科の枠を超えたものづくりができるのも魅力ではないでしょうか。将来の方向がまだ決まっていない僕のようなタイプにとって、カチッと枠にはめられるのではなく、自由に模索できるのはすごく心地いい。今後どんな道に進むにせよ、身につけたものづくり技術は必ず役に立つと信じています。 |
KEYHOLDER レジンキャスト製|直径45mm |

|
覚kaku スチレンボード、塩ビ板、IROMIZU、ケント紙 |
2年後期の照明課題では、クラス全員で照明機材を使って、昼間見慣れている校舎を変化させる3分間のインスタレーションを行い、みんなで空間を創る感動を味わいました。3年後期のゼミでは、自分の部屋を変容させる課題を与えられ、それまでと違ってかなり制約のあるリアルな空間を考えて制作に取り組みました。自分が一番よく知っている空間のはずなのに、アイデアやスケッチや図面に落とし込んでも、なかなか表現したい空間にならず、結構苦労しました。グループワークでも、個人で取り組む課題でも、いつも「人が初めてこの空間に入った時に何を感じるだろう」と想像しながら楽しく制作しています。季節や天気、時間帯、関わる人など、些細なことで変化する空間を、映像や写真といったデータでは伝えきれない部分までデザインできるのが空間演出デザインの魅力。私はこれからも店舗や施設など、「人がいる空間」と楽しく向き合っていきたいと思います。 |

|
ファッションとテキスタイルを総合的に学びたい、と空間演出デザイン学科を志望しました。1年次の「body form」という課題で、イメージを決め、染色、プリントをしてドレスを制作した時は、やっとやりたいことができたとうれしさでいっぱいでした。最初はどうして他の分野も学ばなければいけないんだろうとも思っていました。やがて、ファッションだけでなく、壁紙や机の柄や素材など、空間全体へと興味の幅も広がってきました。自分のやりたいことが社会的にどのような効果を生むのか客観的に考えられるようになり、今はコース分けがない利点を感じています。空デの課題は基本的に制約がないので、自由に制作でき、工房も整っていて、環境は申し分なし。かなり大きなものを除けば、何でも作れます。自由に時間が使える大学生活のうちに、これからも基本的に色と柄にこだわりながら、できるだけ作品づくりに集中していきたいです。 |
バッグ コットン製| |

|
1年次を振り返ると、毎週月・火は図面系の授業があり、水木金はもちろん土曜日にはパソコンを使ったCADの授業があるなど、忙しくも充実した日々でした。1年次の段階から専門分野の授業が多くて実技もある。これはすごくありがたいことだと思います。実は以前、他大学の建築系の学科で学んでいたんですが、1年次はほとんど一般教養、専門科目も建築と土木の“ 講義” が中心でした。橋の構造や交通の制御といった授業は、僕みたいに建築意匠を目標とする者にとっては、違和感が大きかった。思い切って受験し直して本当によかったです。また、他学科開設の実習科目が選択必修科目としてあるので、美大ならではの「ものづくり」の実習を経験できたことは、自分にとって大きな収穫でした。また、4年生の卒業制作を手伝うと先輩と仲良くなれて、技術面から設計事務所でのアルバイト情報まで、いろいろ教えてもらえます。今後はますます専門科目が増えるので楽しみです。 |
模型200?の家 1/30(スケール) |

|
模型建築学科棟 1/100(スケール) |
製図や模型など提出物が多いのは大変ですが、仲間と協力し合って学べるのが建築学科の良いところ。個人で出す課題でも、製図室で作業すると結局は一緒に過ごすことが多く、お疲れさま、と声を掛け合って頑張れます。また、学内で自然と芸術作品に触れられるため、居るだけでセンスが磨かれる気がします。そこが一般の建築学科との一番の違いではないでしょうか。数学の授業さえどこかアートっぽくて、1年次にはパズルを解いたり、2年次にはパソコンに数式を入力して色や形を表現するソフトを使ったり。けっこうおもしろかったです。さらに印象深かったのは1年次の共通彫塑。まさか建築学科でモルタルの塊を彫刻するとは思いもしなかったので面食らいました。硬くて彫るのが大変だったけれど、課題である「かばん」の形が出現した時は本当にうれしかった。ものを作る喜びを知るいい機会でした。将来はぜひ学んだことを生かして、建築に関する仕事に就きたいです。 |

|
印象深い授業といえば、「形態論」の授業で2 年次に行ったFound Objectという演習。Found object は「その場で見出された道具」といった意味で、食器や文房具など誰もが知っているものから発想して別のものをデザインする、という課題です。そこで「定規」という題を出された時、思い浮かんだのが和裁などに使う竹製の定規。祖母の家が呉服屋だったので、赤や黒の点が彫られた竹定規がおもしろいな、という記憶があったのです。これを時計にしようと思い立ったものの、安易にアクリル板を使ったら「伝わらない」とダメを出されるなど、何度も作り直しました。その過程で、木工から印刷の最新技術まで、最高水準の技術指導を受けられるのがこの学科の強みです。また、演習のコンセプトそのものもプロのデザイナーが用いる手法で、学生にとっては貴重な体験。プロの仕事を垣間見たことで、生活に身近なプロダクトデザインの道に進みたいと思うようになりました。 |
TAKEDOKEI 木製|直径250mm、厚さ9mm □ -Band ゴム製|タテ40mm、ヨコ40mm、厚さ1mm |

|
3年次のビジュアルコミュニケーションの授業で、「HOTEL」という課題が出されました。グループで話し合い、ホテルのコンセプトを作り込んで、その世界観を表現するアプローチをしていきます。私のグループが考えたのは「musho」ホテル、つまり刑務所ホテル。ホテル→非日常→一人で自分を見つめ直す……という発想です。外観・内装のデザインから、食器、リネン、宿泊プランや広告に至るまで、ディテールを決めるほどにリアリティが高まっていくのが、本当にうれしかったのを覚えています。私はまんべんなく全体に目を通しましたが、ウェブ、プランづくり、ロゴのデザインなど、メンバー各自が得意分野で力を発揮しました。理論と感性の両方を駆使して自分たちが感じたことをいかに伝えるか、というデザインの素地が全部詰まった課題だと思います。将来は学んだことを活かし、デザインの仕事に就いて、いつか地元に帰って恩返しできる人になりたいと思います。
|
|
「musho」ホテル デザインの基本は刑務所の定番である「縦縞」。 |

|
映像学科のカリキュラムは、さまざまな映像の専門領域を包括的に横断しながら学びますが、最初から映画表現志望でした。といっても映画を撮ったことはなく、制作は入学後に始めました。一番納得がいっている作品は、3年後期に撮影したドラマ『不自由な日』。本当に強盗だったのか、強盗に似た人だったのか、見た人に決着を委ねるストーリーです。シナリオは、なんとなく思いついたのをメモしておき、それを読み返し、書き足していくうちにできあがることが多いですね。映像は、この作品に限らず、生々しい感じが好み。固定カメラで邪魔なものを一切排除して撮るというより、多少のカメラのブレはOKなドキュメンタリー風の絵です。でも、演出は自分で決め、現場の動きと画面に入ってくるものはきちんと把握し、その上でカメラの動かし方で生々しい雰囲気を作ることを目指しています。将来的には映画制作を続けていきたいし、ドキュメンタリーも撮ってみたいと考えています。
|
|
不自由な日 映像表現コース|ドラマ|30分 |

|
a huge girl 写真表現コース|400×400cm |
1・2年の必修授業はグループでの制作が多いので自然に学生間の絆が強くなり、3年で専攻分野に分かれても、互いの作品づくりを手伝うなど、つながりが継続していきます。そんな映像学科の3年次に行われる進級制作展は、かなり広くて、天井も高い12号館の地下展示室が会場です。ならば、この空間を最大限に活用でき、一番目立つ作品を作りたいと取り組んだのが『a huge girl 』です。どうせ巨大サイズにするなら、被写体も実物大とのギャップが激しいものがいい。そこで浮かんだのがフィギュア。これなら見下ろしていた側が逆に見下ろされる側になる不思議な感覚も与えられます。制作にあたっては、2年次のデジタル写真基礎で学んだ写真を分割撮影して合成するスキルが大いに役立ちました。この作品の後も引き続き大きなサイズの作品を制作していて、今は人を被写体にし、合成した時に生じる微妙なズレを目立たせ、時間の混在を表現する作品に取り組んでいます。 |

|
1年次の「アーツプロジェクト」で安曇野ちひろ美術館に行ったのをきっかけに、学科の仲間で始めたのが、栃木市の蔵の街美術館でのワークショップです。今の子どもたちには情報を得て、それを自分で消化し利用していく力、いわゆる正しいリテラシー能力が不足しているのではないか。以前からそんなふうに感じていました。このプロジェクトでは、美術をツールとして子どもたちのリテラシー能力を養うことを目指しています。蔵の街アーツプロジェクトでは、ワークショップの内容や進め方を考えるのはもちろん、企業や団体に協賛をお願いするのも僕らの仕事。プロジェクトを通して、企画、運営方法の他、コミュニケーションの楽しさや難しさを学んでいます。僕は将来、アートと人をつなぐ者として、子どものリテラシー獲得のための教育普及に携わっていきたいと考えています。それだけに、甘えの許されない実際の現場に出て学べるのはとても贅沢なことだと思います。 |
左|ワークショップチラシ 栃木市立とちぎ蔵の街美術館の特別展に合わせ、 |

|
左|演劇「ファンタジーニアス」ポスター ムサビ1号館の軒下に再利用可能な壁を使った劇場を仮設し公演をおこなう。衣装、舞台美術、照明、音響、映像など芸術文化学科の学生が総力を結集して作り上げるオープンキャンパスの名物イベントである。 |
芸術文化学科は、一つのジャンルに縛られず、さまざまな視点から学べる学科です。例えば、オープンキャンパスでは毎年、映像Ⅱの授業を履修する2年次の学生を中心に、学科総動員で演劇公演を行っています。私もポスターやDVDのパッケージデザインを担当するとともに、「電車内で漏れそうな彼女」役を演じ、すべてのプロセスを自分たちで作っていく貴重な経験をしました。入学前の私は、美術といえば絵画や彫刻だけだと思っていました。でも、この学科でいろいろなジャンルに特化した仲間と出会い、一緒に制作したり、話をしたりする中で、小さく狭く偏っていた「美術」観が取り払われて視野が広がりました。また、実際の社会と連携したプロジェクトが数多くあり、それらに携わることで、現場の空気や社会におけるアートのあり方を肌で感じることができました。将来は幅広く学んだことを活かし、他の人の作品集や展示空間作りをサポートしていきたいと思います。 |

|
この学科の1年生はほぼ毎週、プレゼンテーションをします。自分たちでテーマを決めるので、自由な反面、難しい。例えばある時はグループによって「恋」や「肉」、私の班は「古本」がテーマでした。きっかけは私が持っている英英辞典に大きな落書きがあったこと。「元持ち主の名前だよね」「古本って今どうなの?」という感じで、“ 古本の書き込み”から前の持ち主に思いを馳せる、という表現に至りました。プレゼン用の合成写真をつくるため、神保町を6時間も歩き回って素材探し。日本の古本はキレイさが第一条件なので、書き込み付きの古本を探すのは思っていたより大変でした。いわゆるコンセプトデザインの演習ですが、自由に考えるにはそれだけ広く深い知識が必要だし、グループをまとめる力も不可欠。デザインの世界でも、境界線が薄くなった分、だからこそ人より秀でた何かが欲しいといわれています。自分の武器になる強みは何か、卒業まで模索を続けます。 |
Story of Old Book 英語で行われるInteractive Innovationの授業で使ったプレゼン用表現物。落書きは古本の価値を下げる一方、「本VS自分VS過去の誰か」という関係を作り出す。古本の書き込みから前の持ち主を想像し、合成写真で古本のファンタジーを謳った。 |

|
宇宙部 部員数17名。天文部ではありません!宇宙とは“ロマン”の象徴。実生活には直接役立たなくとも知的感動を伴う知識・物事をロマンと定義し、それを軸に意見交換や情報発信を行うのが、活動のコンセプトです。 |
デザイン情報学科では、多彩な課題を1・2 年次で怒濤のごとく体験し、デザイナーとしての基礎が鍛えられます。さらに視野を広げ、表現の場を増やそうと、「宇宙部」という名のサークルを立ち上げました。芸術祭の折にはカフェを設置して外部とも交流を図り、IT企業や新聞社の方も来店されて、有意義な時間を共有することができました。その時の会話から改めて感じたのが、「わかりやすく伝える」ために必要なデザインの力。例えば僕が好きな『Newton 』という科学雑誌は、学者が扱う難解なトピックを、図版を多用して一般の人に伝えています。そんなふうに専門家と大衆をつなぐ存在、デザインの力で難しいことをわかりやすく伝えるものを、僕は“ 知のパイプライン”と名づけました。宇宙部は、その“ 知のパイプライン” たる方法を考え、実践する場です。学科の特徴である分野横断性を学業にもサークルにも活かし、積極的に活動を進めようと思っています。 |