矢舖礼子Yashiki Reiko

作品写真:ブレを生む
作品写真:ブレを生む

ブレを生むTo feel like something is wrong

紙、スタイロフォーム、ほかPaper, styrofoam, otherH650 × W1220 × D2000mm H300 × W400 × D1220mm

日常の中でいつもと異なる感覚を持つことがある。
何かに集中する時、特に何もなく考え込む時、ふとした時の景色や窓の光、それらを取り込む空間に感動したりする。
逆に旅行などいつもと異なる時間を過ごす時、日常的な要素を見つけた時少し緊張がほぐれる。
非日常は日常の側面を持ち合わせ、双方の関係は連動していく。
周囲の捉え方、認識の仕方が変化していく。
日常的であり非日常的でもある移り変わりを設計の中に表現することはできないだろうか。

矢舖礼子

「ブレを生む」は、山梨県清里に位置する滝見の丘にギャラリーと工房を併設したアーティストレジデンスの提案である。住民と観光者、アーティストの領域が絡み合いながら谷の地形を蛇行する動線によって立体的な空間の関係性を派生させている。図面と模型の丹念なスタディによって、複雑な形態と空間の繋がりをひとつの建築として統合している。地形の高低差に呼応するシークエンスは見事であり、造形的なセンスを感じさせる作品である。

建築学科教授 布施茂

矢矧杏以彌Yahagi Aniya

作品写真:線路沿いをほどく−解体と高架化のダイナミズム−
作品写真:線路沿いをほどく−解体と高架化のダイナミズム−

線路沿いをほどく
−解体と高架化のダイナミズム−Demolish along the Keio Line

さと紙、ボール紙、スチレンボード、ほかSatogami, cardboard, styrene board, otherH300 × W3000 × D460mm H150 × W560 × D560mm

都市は、暴力的なまでに日々変化を続ける。時にその変化は、都市と建築、ひいては行政と市民の対立構造を生む。そんな都市の造り変わりの中に、ふと、ささやかな建築の可能性を感じた。京王線高架化のため、線路沿いに立ち並ぶ住宅や商店が徐々に取り壊され、歯抜けた姿へと変化しつつある街、明大前。これまで仮囲いの中で人目につかず行われてきた「建築の死」としての「解体」を可視化することで、都市の営みの下に活きる儚い建築が現れる。

矢矧杏以彌

道路拡張や高架化の計画により、建築が徐々に取り壊され、街が歯抜けとなっていく姿は、都心ではもはや日常的な風景のひとつと言って良い。そんなマイナスイメージの現実を、新たな仕掛けにより、プラスに転じさせようとする意欲的な提案である。ここで創り上げられたものは、建築消滅後も何らか継承されることを予感させる。架構は、一時利用を念頭に、基礎が不要となる構造計画を採用するなど、実現性が高い提案がなされている。

建築学科教授 小西泰孝

吉田葵Yoshida Aoi

作品写真:積層するGL
作品写真:積層するGL
作品写真:積層するGL
作品写真:積層するGL

積層するGLLaminated GL

スタイロフォーム、チップボード、スノーマット、ほかStyrofoam, chipboard, snowmat, otherH1041 × W2130 × D1500mm H150 × W420 × D594mm

設計の出発点を人に対し他者的なところに設定することによって、想像を超えた新しさや快適さがあるのではないかという想いから始まった。
敷地である中井は川や交通インフラが立体的に交差し、さらに新宿に残る地形の谷底に位置する。敷地の最大の特徴である地盤面の重なりから設計を始め、新たに地盤面のようなものを挿入する。地下鉄の乗り換えで、自分の居場所がわからなくなるような感覚がここにはある。その中で視線の交錯により居場所を把握できるところが現れ、地下に埋まっている既存の土木構築物を露出させることによって「ここにしかない風景」を作り出せると考えた。

吉田葵

「積層するGL」は、都市のインフラが立体交差する新宿区中井駅周辺に着目し、地下30mの都営大江戸線までをボイド空間とする提案である。都市のインフラが露出した地下のボイド空間に乗換え動線と様々なレベルのスラブを挿入することで、新たな公共空間の可能性を予感させる。この計画は、都市の地下に埋設されているインフラを可視化させる大胆な発想力と地下空間の解像度を上げる緻密な設計力によって提案された秀逸な作品である。

建築学科教授 布施茂

ワーン ジーイエンWang Zhiyan

作品写真:道と径−見ている風景の集まり
作品写真:道と径−見ている風景の集まり
作品写真:道と径−見ている風景の集まり
作品写真:道と径−見ている風景の集まり

道と径
−見ている風景の集まりThe Alley Collection of Our Living Scene

紙、段ボール、木棒、スチレンペーパー、ほかPaper, cardboard, wood stick, styrene paper, otherH900 × W1500 × D2040mm H200 × W1800 × D520mm H150 × W900 × D520mm

中野駅の北口、商店街の中に不思議な懐かしい気分があります。卒業研究の時、プライベートとパブリックにおける人の活動と空間関係より、45本以上の「道」の事例から18本を選んで、「道からの空間関係」を分析しました。
敷地の中にいろんな体験で「道」を生み出しました。小さな敷地に下町の横丁や路地裏の雰囲気が同じ空間で現れて、この空間関係がこの場所に連続しました。生み出す小路と径と道の上、そば処(既存)、立呑み(既存)、居酒屋、share kitchen、café&tea、bar、様々な店舗を設計しました。これは私の二年間の東京での記憶です。

ワーン ジーイエン

中野駅北口ブロードウェイの東側、昭和の面影を残す新仲見世商店街。既存の場所性を尊重しながらあらたな人と活動を誘導し界隈を更新する建築の提案である。作者は膨大な路地と横丁の現地調査を実施、そこから導いた「道」に関連するサンプルエレメントを実践的に各所に仕込み、改修と新築を合体させて、路地が立体的に延長したかのような建築を創出した。プレゼンテーションの隅々にまで力強く一貫した作風が感じられる。

建築学科教授 高橋晶子