荒川正光Arakawa Masamitsu

作品写真:Punctua
作品写真:Punctua
作品写真:Punctua
作品写真:Punctua
作品写真:Punctua
作品写真:Punctua
作品写真:Punctua
作品写真:Punctua

Punctua
―欧文約物タイプフェイス―Typeface for punctuation

BookH297 × W210 × D11.8mm H297 × W210 × D2mm

Punctuaは欧文の約物のみを収録したフォントファミリーである。実際に使用するには既存の欧文書体と混植する必要がある。本書体のファミリーは合計42のウェイトで構成され、複数の字形や花形装飾を含む。
2冊の書体見本帳は15世紀後期のヴェネチアに存在した印刷所Aldine Pressから出版された書籍を意識した装丁となっている。Aldine Pressの端正な意匠と特徴的な組版を研究することによって約物を最も美しく印象深く見せることを試みた。

荒川正光

新しい活字書体は人々にその新鮮さが気づかれないほど優れているとは、スタンリー・モリスンの信条だった。そうした事態に変化はあるが、Punctua(約物)やVignette(花形装飾)にはなお寡黙さが求められる。だからこそ、速読性や判読性に影響を与えるこの「約物専用タイプフェイス」研究の独自性が際立つ。各書体の研究を基礎として合成フォント専用へと進んだ開発手順は真っ当で、書籍の出来上がりも申し分ない。高貴なスミレの花を見る思いのする研究である。

デザイン情報学科教授 森山明子

郡司宗仁Gunji Munehito

作品写真:SOMI+
作品写真:SOMI+
作品写真:SOMI+
作品写真:SOMI+

SOMI+

インタラクション、立体|ABS樹脂、アクリル、Arduino、Webカメラ、ディスプレイ、PC、木材|プログラミング、電子工作Interactive art, three-dimensional work | ABS resin, acrylic, arduino, web camera, monitor, PC, wood | Programming, electronic workH2300 × W900 × D600mm

ある調べによると、楽器の初心者が楽器を購入してから演奏できるまでの練習で挫折しやめてしまうという人は8割もいるという。そこで私は、以前から感覚的かつ簡易的に操作をすることができる音楽機材の制作を行ってきた。そして今回はプログラミング、電子工作等を使用した音楽機材の制作を行った。鑑賞者が感覚的かつ簡易的操作により音楽を演奏することは楽しいと思えるような作品を目指した。

郡司宗仁

この作品は音楽における楽器の種類、音量、音質、音の方向性を自由に調節できる装置である。制作のきっかけは楽器演奏しない人にも能動的に音楽を楽しませることだったが、その目的を果たすだけでなく装置に触れる楽しさや満足感を得ることができるプロダクトとしての完成度も高い。また、装置の操作は直感的でかつ奥が深く、複数人で同時にプレイすることやゲーム的な要素も含まれておりUI/UXの観点からも高く評価できる。

デザイン情報学科教授 白石学

土谷健太郎Tsuchiya Kentaro

作品写真:ツキササリーナ
作品写真:ツキササリーナ

ツキササリーナ
―ルールへの奥深さの付与による繰り返しプレイ可能なビデオゲームの開発―Tsukisas Arena
-The development of a video game which includes various tactics for make itself playable repeatedly-

ゲーム|UnityVideo game | Unity

長い期間にわたって楽しめるビデオゲームを作ろうとするとき、まず検討される方法は、レベルやキャラクターなどを数多く用意することだと思われます。
しかし、それには多くの時間や人手が必要となるため、ゲーム開発のあらゆる場面で採用できるとは限りません。こうした問題を踏まえた提案として、「ルールに奥深さを持たせる」という方法を用い、小規模でありながら何度でも遊びたくなる不思議なゲームの開発を行いました。

土谷健太郎

ゲームの卒業制作は増加傾向にあるが、高い評価を得る作品は少ない。それは決して教員がゲームを低俗と見なしているのではなく、多くが「遊びのデザイン」になっていないからである。特にゲームの本質である楽しさの追求を忘れた作品は、いくら高度な技術を駆使していても評価が難しい。一方で土谷君は、本来のゲームの在り方に真正面から向き合い、楽しさの正体を探求し続けた。その着実さに加え、技術と目的が結びついた高い完成度が評価された。

デザイン情報学科准教授 高山穣

圓井俊太郎Marui Shuntaro

作品写真:『哺乳綱型節足動物門図譜』 アンリ・モローの研究
作品写真:『哺乳綱型節足動物門図譜』 アンリ・モローの研究

『哺乳綱型節足動物門図譜』 アンリ・モローの研究
―収斂進化の仕組みを応用したクリーチャーデザインとその博物画的表現研究―“The Mamthropoda illustration” of Henri Moreau
-Creature design applied by the mechanism of convergent evolution and The study for representation of natural history illustration-

インスタレーション|ハーネミューレ、銅版画用インク|エッチングInstallation art | Hahnemuhle, etching ink | EtchingH2300 × W3000 × D2000mm

クリーチャー表現の実在感の追求に取り組んだ。クリーチャーデザインにおいては、生物の種の系統を超えた形の類似性に着目し、既存の哺乳類のフォルムを節足動物のパーツで表現したオリジナルクリーチャー、哺乳綱型節足動物を構成した。表現方法は19世紀の博物画を模したエッチングを用い銅版画計5枚を、当時の架空の博士の研究室を想定した展示空間に配置する。

圓井俊太郎

クリーチャーデザインは架空の生物を自由に空想できる魅力はあるが、一方で実在感も問われる。圓井君はそこを博物画に求め、単なる写実表現とは異なるアプローチでリアリティを追求した。本作は架空の進化を遂げた生物を想定し、それを解剖学の専門家からの助言を得て描き出し、さらに工房で学びながら銅版画で仕上げた労作である。作者自身が流行の異世界転生を疑似体験したかのような工程による作品群は、まさに「架空世界の本物」に迫る説得力を持つ。

デザイン情報学科准教授 高山穣

村松恵(紅雨ぐみ)Muramatsu Megumi(Kosame Gumi)

作品写真:Dissection of girl’s manga
作品写真:Dissection of girl’s manga
作品写真:Dissection of girl’s manga
作品写真:Dissection of girl’s manga
作品写真:Dissection of girl’s manga

Dissection of girl’s manga ―漫画制作におけるアナログ・デジタル作画について―Dissection of girls' manga -About analog and digital drawing in manga production-

本|紙Book | PaperH210 × W148mm

現在漫画の作画方法は大きく分けて「アナログ作画」「アナログ+デジタル作画」「デジタル作画」の3種があり、自身が漫画を描く際に採用しているのはアナログとデジタルを組み合わせた作画だ。それはどちらにおいてもそれぞれメリット・デメリットがあると感じているためである。3種の作画方法を使い同じ漫画を3通り描き、制作行程・原画・印刷などより比較しプリントメディア媒体における自分の作画に合った最適解を見極める。

村松恵(紅雨ぐみ)

少女漫画の世界ですでに実績のある村松恵は、自身の発表作品の全ページについて、アナログ、アナログ+デジタル、デジタルによる作画の違いを検証した。違いは一目瞭然、併せて制作した報告書では各ページの所要時間まで確認できる。自作の漫画作品を構成要素ごとに分析した3年次の研究に続く労作である。これら創作と手法への確かな眼差しの獲得は、今後の作家生活に期待を寄せるに十分な成果であり、これぞ美術大学の卒業研究と心からの拍手を贈りたい。

デザイン情報学科教授 森山明子