教育理念

武蔵野美術大学の教育理念は、昭和4(1929)年10月30日、本学の前身である帝国美術学校の創立に由来するものです。

帝国美術学校の創立に寄与し、後にその経営と教育の中心となった金原省吾(開校時学監)の手記には「教養を有する美術家養成」と記されています。また、創立時の中心人物のひとり名取堯(開校時主事)の『武蔵野美術』(創立三〇周年記念特集)に寄せられた30年の回顧には、「人間が人間になる道は激しい鍛錬、たゆまざる精進の中にあって、放任の中にはない、その框(わく)を固定させず、しかも、放縦に任せず、真に人間的自由に達するような美術教育への願い」であると語られており、美術を技術的専門性だけではなく、総合的な人間形成をもって成るものと考えたのです。

このように、まさに人間的自由に達するために美術・デザインを追求することこそが、本学の教育理念であると言うことができ、国内美術大学では最大規模の造形教育の大学となった現在も、この教育理念を継承し堅持しています。

教育目標

武蔵野美術大学造形学部は、美術を総合的な人間形成をもって成るものと考える教育理念に基づき、次の教育目標を掲げる。

  1. 幅広い教養を備え、人格的にも優れた美術・デザインを中心とする造形各分野の専門家を養成する。
  2. 美術とデザインの領域における総合的な造形教育を通じて、広く知識を授けるとともに、深く専門の技能、理論や応用を教授研究し、豊かな美的教養をそなえた社会人を育成する。

こうした人材の輩出をもって、日本と世界の文化の創造発展と社会に貢献することを、武蔵野美術大学の使命とする。

ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)

武蔵野美術大学造形学部は、教育目標の実現のため編成されたカリキュラムのもと、設定された科目を履修し、卒業制作または卒業論文・研究を提出したもので、卒業に必要な単位を修得したものに卒業を認め学士(造形)の学位を授与する。具体的には、造形分野における独自の探求を行い、創造的な表現活動を実現するために、以下の7点をディプロマ・ポリシーとする。

  • 専門分野の基盤となる文化や諸科学について総合的に理解している。
  • 他者に伝える表現能力および他者とともに考える対話能力を身につけている。
  • 制作・研究を深め広げる技能を身につけている。
  • 専門的な知識を理解し深めることができる。
  • 論理的思考・創造的思考を働かせ、独創的な課題解決の判断や構想ができる。
  • 制作・研究に幅広い関心と高い意欲を持ち、社会のなかで主体的に取り組むことができる。
  • 批判的思考を働かせ、課題や主題を自主的に設定することができる。

カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)

造形の各分野を専攻するにあたっては、総合的判断力・批判力を養うために広く諸学問を学ぶ[文化総合科目]、造形という大きな視点から専門性の位置づけや基礎を確認するために、自分の専攻とは異なった領域や他学科の開設する授業を学ぶ[造形総合科目]、個々の学科が独自に専門的能力を追求する[学科別科目]の三者をバランスよく学修することによりディプロマ・ポリシーを実現する。

  1. 専門分野の基盤を独自のかたちで構築するため、文化や諸科学について総合的に学修する科目
  2. 専門分野の基盤を独自のかたちで構築するため、他者に伝える表現能力および他者とともに考える対話能力を身につける科目
  3. 他の領域にも広く目を開き経験することによって、造形を総合的に捉えることを目的とし、制作・研究を深め広げる技能を身につける科目
  4. 専門家として欠くことのできない専門的基礎理論・表現方法などを学修し、専門的な知識を理解し深める科目
  5. 論理的思考・創造的思考を働かせ、独創的な課題解決の判断や構想を行う科目
  6. 制作・研究に幅広い関心と高い意欲を持ち、学修の集大成として社会のなかで主体的に取り組む科目
  7. 学修の集大成として批判的思考を働かせ、課題や主題を自主的に設定する科目

こうした有機的な科目群の結びつきと展開性は、本学の教育の大きな特徴であり、教育理念及び教育目標に基づくものである。

カリキュラム・マップ

カリキュラム・ポリシーに基づき開設した科目と、ディプロマ・ポリシー7項目との関連を可視化したものがカリキュラム・マップです。

履修系統図

アドミッション・ポリシー(入学者受け入れの方針)

武蔵野美術大学は創立以来の教育理念に基づき造形芸術の専門教育を実践し、多くの優れた人材を輩出してきました。本学教育課程を主体的に修め努力できる次のような資質・能力を備えた学生を求めています。

  1. 専門性と表現を深めるための基礎的な学力を身につけている人
  2. 専門性を支える幅の広い造形力や教養を総合的に身につけようとする人
  3. 論理的思考・創造的思考を働かせて独自の表現で伝えようとする人
  4. 文化の創造発展に寄与し、社会で活躍しようとする人