加藤紗也Kato Saya

作品写真:Wearable Cosmetics
Wearable Cosmetics
Wearable Cosmetics

Wearable Cosmetics

シルバー(925、950)、口紅Silver925, 950, lipstickH82 × W38 × D12mm ×2点 H30 × W34 × D28mm H218 × W186 × D17mm H26 × W68 × D16mm H60 × W62 × D38mm

女性にとって口紅は自分を華やかに前向きにさせてくれるアイテムの一つである。
そんな輝きをもたらす口紅を常に身につけることができたらどんな場面でも自信を持った自分を演出することが出来るのではないか。
そこで常に身につけていられるジュエリーとコスメを組み合わせた「身につけるコスメ」を制作した。

加藤紗也

ウエアブルなジュエリーとポータブルなコスメティック(口紅)を一体化させた作品。ただの便利品に陥らず、身につける女性をいかに華やかに見せるかという点を終始こだわり抜いたことが評価された。有機的な要素を繊細に使いこなした優雅なデザイン、卓越した技術で完成度の高い5点セットのシルバー・ジュエリー。それだけでも十分に上品な印象を与えるが、コンパクトの蓋を開けた時に見える鮮やかなRedが女性を華やかに演出する。

工芸工業デザイン学科教授 鈴木洋

藤本菜々恵Fujimoto Nanae

作品写真:swell chair
作品写真:swell chair
作品写真:swell chair

swell chair

ハードメープル、ホワイトビーチ|曲げ木Hard maple, white beech | BentwoodH950 × W850 × D1300mm

体に沿う緩やかな線を、削りながら見つけてかたちにしていくことが好きです。線のうねり、抑揚、流れを追うことをテーマに、くつろぎの椅子をつくりました。
同じ型で曲げたスポークを、切る長さや挿す角度に変化をつけ並べることで、座面と背もたれに動きを表現しています。角度により隙間や曲線の見え方が変わること、向こう側が抜けて見えること、スポークが貫構造になることをねらいデザインしました。

藤本菜々恵

この作品は休息を目的としながら軽快なスポークチェアとしてフォルムをまとめている。
本来スポーク部分は直線材を使うが、あえて曲木技術を用い背のあたり具合を柔らかくしている。硬質のメープル材を使い可能な限り曲線のデザインに仕上げている。

工芸工業デザイン学科教授 十時啓悦

荒井彩乃Arai Ayano

作品写真:花紋大皿
作品写真:花紋大皿
作品写真:花紋大皿

花紋大皿Large plate with Flower pattern

陶土、化粧土、泥しょう|スリップウェアCeramic clay, engobe, mud | SlipwareH50 × W310 × D310mm ×6点

スリップウェアとはクリーム状の化粧土の上に化粧土で重ね掛けをし装飾をして焼き上げた陶器全般のことを言います。スリップウェアのやわらかくぽってりとした表現と化粧土を伸ばして出来た細い線組み合わせ、豊かな動きの植物模様を描きました。花畑や草花の茂みの一部を切り取ってうつわの上にバサッと乗せたような、自然に生きている花や草の印象を大切にし、花や葉っぱの葉脈一本一本生命を与えるように表現しました。

荒井彩乃

スリップウェアと呼ばれる液状の土(泥漿)で描かれた大皿である。
華やかで緻密な文様が描かれていながら、力強さも感じる。飾るだけでなく、使ってみたくなる器だ。
この作品はスポイトで垂らした泥漿を引っ掻いて複雑な文様を描いている。
植物の持つしなやかさと流動性を使ったこの表現の組み合わせも、作者の世界観とうまく調和している。使うことへの視点を忘れず、表現することを楽しんだ作品と言える。

工芸工業デザイン学科教授 西川聡

齊藤ちひろSaito Chihiro

作品写真:森に還る日
作品写真:森に還る日
作品写真:森に還る日
作品写真:森に還る日
作品写真:森に還る日

森に還る日Day to return to the forest

ガラス|グラヴィールGlass | GravilH310 × W2058 × D236mm

物語の主人公は幼い頃に親とはぐれてしまいたった一人で一歩を踏み出すところから始まる。最初は他者に紛れることでしか身を守れなかったが、成長していくにつれて別の感情が湧いてくる。長い時間が彼を育て変えていったのだった。そして迎える未来は―
物語の中で目まぐるしく進んでいく時間と我々が物語を読み込んでいる時間。
読み終えたときに感じる現実に引き戻されるような余韻にひたって欲しいです。
物語に登場する彼らが生きているような立体感をグラヴィールという技法で表現しました。
ガラスの中で生きる彼らをじっくり見ていただけたら嬉しいです。

齊藤ちひろ

この作品は森の中に暮らす動物たち(鹿や羊など)がやがて死を迎え、土に還ってゆくという「生命の大きな流れ」を物語のように表現したものである。
5mmの板ガラスをグラヴィールという技法で細やかに削り、動植物の生き生きとした表情が独自のタッチで描き出されている。
最後の1枚では、若い鹿が後方を振り向くことで「生命が循環している」ことを表し森が再び命を育むストーリーに組み立てた。
「死」を思うことで、「生きること」とは何かを問う作品である。

工芸工業デザイン学科教授 大村俊二

宮下真由Miyashita Mayu

作品写真:晴れの日
作品写真:晴れの日
作品写真:晴れの日
作品写真:晴れの日

晴れの日A sunny day

綿サテン|シルクスクリーンCotton satin | Silkscreen printingH5000 × W1120 ×5点

延々と続く柄がより魅力的に見えるようなテキスタイルを目指し制作しました。
幼い頃に経験した、ひいおばあちゃんのお葬式をモチーフにしています。
白と黒の非日常的な世界と、静かに漂っていた違和感を描きました。
お葬式は、終わりと始まりを内包するひとつの節目です。
たった一度きりの、大切な晴れの日です

宮下真由

これまでいつもお気に入りのボールペンで描き、強く印象に残った事柄をモチーフに、制作してきたように思います。夢で見た歯が宙に浮かぶ不思議な光景、大好きなモデルの髪の生え際など、モノトーンで静かな独自の世界感を、線描で創り上げてきました。今作では幼児期に初めて参列した親族の葬儀から着想しています。幼い彼女にとっての葬儀は、美味しいご馳走を食べ、遊んでもらった暖かい思い出として、5つの場面で構成され、1シーン毎に1 枚の布になっています。布幅を大胆に使ったイラストレーションの構成力と、軽快なリピートデザインに惹きつけられます。

工芸工業デザイン学科准教授 鈴木純子

浦澤一成Urasawa Issei

作品写真:Sublimation
作品写真:Sublimation
作品写真:Sublimation
作品写真:Sublimation

Sublimation

PLA樹脂、アクリル|3Dプリント、真空成形PLA resin, acrylic | 3Dprint, vacuum formingH330 × W1100 × D230mm

人類が自らの手で「何か」を達成する喜び̶便利なモノが溢れ、薄れていくこの感覚を未来にも残したいと思い生まれたのが「Sublimation」です。
今存在する乗り物と大きく違うのは、ドライバーのレベルに合わせ乗り物が徐々にアップデートしていくことです。他ユーザーとレベルの競い合いができるのもこの乗り物ならではの楽しみ方の一つです。
「Sublimation」は未来の安全技術を完備し、誰もがハイレベルなドライバーへと進化することができる新たなモーターサイクルです。

浦澤一成

既にAI制御で自律走行できるバイクがあるが、本作品はその次を示唆する提案である。
ライダーの挙動全てがモニタリングされ、乗り手の限界を超えない様に安全サイドにアシストされる。乗り続けるうちにライダーの技量も向上し挙動限界も高まり、それに伴い車両骨格が進化しアップグレードされる。高い技量を持つライダーの車両ほどビギナーには得られない姿であり憧れる。昨今の先進技術は自動化や省力化を可能とさせるが、それをあえてライダー自身の身体能力に直結させ、乗りこなす価値を織り込んだこの提案は人間的であり新たな可能性を示す秀逸な作品である。

工芸工業デザイン学科教授 稲田真一

谷中桐弥Yanaka toya

作品写真:BIOTOPE
作品写真:BIOTOPE
作品写真:BIOTOPE

BIOTOPE −発電菌と共生する発電電機−BIOTOPE

PLA樹脂、液晶ディスプレイ、シングルボードコンピューター、ほか|3DプリントPLA, 5inch display, raspberry pi 3, other | 3D printingH350 × W280 × D500mm

映像Video | 2min 13sec2分13秒

これは「発電菌」という微生物を取り入れた電気を生産する新しいキッチン家電の提案です。
家庭で排出される生ゴミを分解し、キッチン周りの電力を全て賄います。
エネルギーを一方的に酷使し続けるのではなく、つかう。つくる。を循環するライフスタイルを提供したいと考えました。
電極の形状には枝分かれのアルゴリズムを用いて表面積の拡大をし、水分と飼料の提供などから、発電菌が過ごしやすい安定した生息地を作り出します。
人間にはない能力を備えた生物の力を借りることで、より快適な暮らしを実現していくことができるのではないでしょうか。

谷中桐弥

微生物が有機物を分解して発電するという、新しいエネルギー技術に大きな期待が寄せられています。提案者は、その原理を応用した発電機を、今まで目にしたことのない斬新なスタイリングに仕上げました。まさに、微生物が引き起こす発電イノベーションを体現させた新造形です。さらに、キッチンに設置するアイデアは、新しいジャンルの生活家電の在り方を予見させます。裏付けとなるバイオテクノロジーの基本を学び、より現実的な提案にまとめたことも高く評価された秀逸な作品です。

工芸工業デザイン学科教授 中原俊三郎

若月優紀Wakatsuki Yuki

作品写真:junnbi station
作品写真:junnbi station
作品写真:junnbi station
作品写真:junnbi station

junnbi station

壁紙、木材、プロジェクター、PLA樹脂、アクリル、布|3Dプリント、プロジェクションマッピングWall cloth, wood, projector, PLA, acrylic, cloth |3D printing, projection mappingH2400 × W2730mm H400 × W180 × D180mm ×2点 H40 × W40 × D60mm ×11点

映像Video | 1min 49sec1分49秒

毎日の準備を楽しく、「自分でやる」気持ちを育てる。
子供が楽しく準備を「自分でやる」システムの提案です。
2020年から小学校でのタブレット導入が画期的になると言われています。
そこで、このシステムでは連絡帳をタブレットアプリにすることで、時間割の変更、宿題や持ち物の把握をよりスムーズにします。
また、アプリとプロジェクターの連携により、持ち物の絵を壁一面に投影。一目で持ち物を把握でき、絵に合わせて準備をすれば忘れ物もしません。さらに、準備をすると絵が消え、ポイントがたまっていくので、子供はゲーム感覚で楽しく準備ができます。
「明日の準備早くしなさい」「宿題まだやってないの」と言う、言われるストレスがなく、先生、親、子供、3者のコミュニケーションがより円滑に、毎日の学校が快適になることを目指しました。

若月優紀

この提案は、子供の成長に着目し、自立を促す仕組みとして、製品、インターフェース、アプリ、システムなどをトータルでデザインしている。急速に発展するテクノロジーを、本質的に有意義なものとして活用していくことは、今後の重要な課題である。この作品は、人とテクノロジーとの関係性を考える上で、子供の主体的な気持ちや取り組みを尊重しつつ、技術がそれらをサポートしている。この視点は、人間が成長する場面でテクノロジーとのかかわり方において、とても大切な考え方である。将来のIDの一つの方向性を示していることと、着想からコンセプト、デザインの完成度の高さなど総合的に評価した。

工芸工業デザイン学科教授 田中桂太

竹下早紀Takeshita Saki

作品写真:9mood/10mood
作品写真:9mood/10mood
作品写真:9mood/10mood
作品写真:9mood/10mood

9mood

10mood

アルミ複合板、鉄Aluminum, ironH746 × W1250 × D650mm
H838 × W430 × D430mm

ものと人と空間は互いに関係し合い存在する。9mood 10moodは空間に流れる空気を遮ることなく共有し徐々に空間に消失していく様子を表現した。重力を感じさせない非物質感や紙のような軽さを実空間で感じられることを意識しながら制作をし、構造を内側に有した機能的で美しいデザインを目指した。
発泡パネルをアルミ板でサンドすることで物を置いても、たわむことのない軽い板を制作。板に斜めのスリッドをいれることで前後に引き出すことができ各板を不規則に出し様々な形を作ることができる。

竹下早紀

極薄の浮遊するシートを連続的に配置し、それぞれをスムースに平行移動可能なものにする事により棚としての機能を持たせる。このシンプル極まりないコンセプトとスケッチをプロダクトとして実現するまでに、どれだけの実験と失敗を繰り返したことだろう。終わりがないかのようにも見えた試行錯誤のプロセスの結果として必要強度を十分に有した美しい家具が現れた。大胆な発想と素材開発まで行った繊細なディティール。重力によって支配された世界へのアンチテーゼのようでもある。グラデーションの色彩計画も効果的であり、作業にかけた時間と手垢を全て消し去ったあとに残る重さのない世界はどこまでも美しい。

工芸工業デザイン学科教授 山中一宏

古舘壮真Furutate Sohma

作品写真:HOW TO SEE, HOW TO RECOGNIZE
作品写真:HOW TO SEE, HOW TO RECOGNIZE
作品写真:HOW TO SEE, HOW TO RECOGNIZE
作品写真:HOW TO SEE, HOW TO RECOGNIZE

HOW TO SEE, HOW TO RECOGNIZE

MASS

FLOAT LIGHT

鉄板MetalH1750 × W460 × D460mm(shelf)
H500 × W630 × D300mm(stool)
H600 × W1200 × D300mm(立体モデル)
H450 × W500 × D100mm(花器)
H950 × W500 × D80mm(short)
H1050 × W600 × D100mm(long)

人間は物の存在を感覚によって直接知るのではなく、自らの経験や知識などのデータを無意識に使い、自分の判断を見た物に介入させることで、それが何であるかを認識している。 そのような経緯で認識される物質の要素は二種類に分けられ、一つは形・位置・運動等の空間的な広がりの特徴。もう一つは色・音・香・味など感覚的な性質と呼ばれる特徴である。 そして、モノの本質を構成するのは空間的な広がりであり、感覚的な性質はモノの本質を構成するものではない。
私は、デザインの実践的な場である物質・物体(形・位置・運動等の空間的広がりの特徴)と、思考のツールである経験や知識との間の関係を観察し、それらが接するときの違和や齟齬からデザインの課題を探った。 これらは、認識に先立ち感覚で捉える行為を促すことを目的としたインテリアエレメンツである。
「MASS」は、物質の基本的な情報である要素形”から、認識というテーマに対しての最も明快で直接的なアプローチを試みた。3DCGソフトウェアでのモデリング機能の構成要素は、厚みのない面で構成された、質量の無い「0」のオブジェクトである。そのオブジェクト同士が交わったり、突き出たり、それによって穴が開いたりする非現実的な現象・形を抽出し、私たちの住む現実の世界、3次元空間への表現を試みた。存在し難くも用途や形からではなく、要素が先立って認識できるオブジェクトを目指した。

古舘壮真

立体造形をPC上で行う際に使用する3D-CADソフトウェアを使うデザイナーが誰しも目にして違和感と興味を持つ、厚みゼロの物体の重なりを原寸大のプロダクトとして大胆に表現した。魅力あふれる違和感を有した形態は周囲の空気を見事に取り込み、その独自の世界観は見る物を魅了する。作者は物の認識の仕方をテーマとして、一見現存しえないと思われた形態を実現させ既成概念に揺らぎを与える事に成功しており、ここにこの作品の生命がある。研究調査、完成度、あらゆる面で非常に完成度が高い作品である。

工芸工業デザイン学科教授 山中一宏

松下陽亮Matsushita Yosuke

作品写真:Mould

Mould

メラミンスポンジ、ポリエステル樹脂Melamine sponge, polyester resinH1100 × W625 × D400mm H600 × W1250 × D400mm H500 × W400 × D400mm H400 × W400 × D400mm

我々が日常的に使うプロダクトの多くは、見た目や機能が大衆を対象にして最適化された均質な物である。現代化と産業化によって生み出された「均質性」に慣れることで好奇心や人間性さえ薄れ、我々と物や空間との関係性をより表面的にしている。
「Mould」は、大きなメラミンスポンジに直径10mmほどの通し穴を空け、そこに流し込んだレジンがスポンジの浸透と重力により成形され、掘り出すことで姿が現れる。
使用者自らが手を加え、均質ではないが原体験的なストーリーとその痕跡を物に宿らせるというプロセスを含むことでプロダクトの新しい価値や在り方、物としての多様性を見つけることができると考えた。消費者として日常的にある物にただ接するのではなく、その物を通して、人々がそれぞれの多様なストーリーや価値観を持つきっかけとなることで社会において人と物の関係性をより密にすることができるのではないだろうか。

松下陽亮

新素材の開発研究から生まれたプロダクトである。スポンジの塊に部分的に樹脂を含侵させ、硬化後に掘り出すと機能を持たせた家具が出現する。型取りの発想を逆手に取った全く新しい工法による家具・プロダクトの制作方法、非常にユニークなコンセプトが高く評価された。自然環境に配慮し、人工樹脂以外の松脂など自然に還る素材を使って行っていた数えきれないほどの実験のプロセスも今後のこの製作コンセプトの展開に大きな期待を持たせる。様々な可能性を秘めた作品である。

工芸工業デザイン学科教授 山中一宏