ガン シンYan Qin

作品写真:夢・鏡

夢・鏡Dream・Mirror

銀970、金箔、ガラス釉薬|七宝Silver 970, gold leaf, glass glaze | CloisonneH10 × W400 × D410mm

日頃から関心を持って記録していた夢に基づいて作った七宝ジュエリーです。
人の夢の多くは自分の心の奥の無意識を反映したものであり、夢を分析することで自分自身が意識してない欲望やマイナス面がわかると思う。ジュエリーは人のセンス、好み、あるいは思いを表現したい時につけるものだと思い、自分が夢を通して発散した感情をネックレスにして脆弱な自分と平和な共存を求める。

ガン シン

まさにタイトルのとおり作者の夢の世界を表現した作品である。大胆な色づかいとシュールレアリスムの絵画を思い起こさせる絵柄は、人々を魅了し、身につけるものを陶酔感へと誘う。有線七宝が施された大柄な銀製のネックピースだが、貴石を使用せずここまで華やかに見える装身具は極めて稀である。デザインに対する評価だけではなく、大変手間がかかる難しいプロセスを制した作者の弛まぬ努力が受賞に繋がった。

工芸工業デザイン学科教授 鈴木洋

藤原可奈Fujiwara Kana

作品写真:HITO hanger rack
作品写真:HITO hanger rack
作品写真:HITO hanger rack

HITO hanger rack

タモ、ヒノキ|留め継ぎ、木彫、寄木Ash, cypress | Miter, wood carving, parquetH1650 × W672 × D300mm ×2体

今回「見せる衣装かけ」を製作。
普段自分が描いているイラストを立体化するようなイメージで男女がモチーフ。
胴体となる枠組みは同じ形を反転させており、男子は肩幅を強調し女子はすそを広げてスカートを履いているかのような形とした。また、顔の骨格や足の向き、肩の形でも差別化をはかっている。
ハンガーには磁石が付いていて上板には鉄板が入っており、簡単に取り付けができる。
お気に入りの1着や、一日分のコーディネートをここにまとめてその日の気分を高める役目を担ってほしい。

藤原可奈

クラフト領域でオブジェの在り方を模索する中、用途性を加味することを考えたのであろう。すなわち店舗什器としてより長く楽しめるアート作品の提案として高評価を得た。

工芸工業デザイン学科教授 十時啓悦

関口朋夏Sekiguchi Tomoka

作品写真:gift
作品写真:gift
作品写真:gift
作品写真:gift

gift

ガラス、真鍮|キルンワーク、バーナーワークGlass, brass | Kiln working, burner workingH40 × W65 × D45mm ほか、複数点

私にとって花を贈ることは特別なことでした。
用途のあるわけではない花は、気持ちそのもののような気がして。
これまで照れくさくて渡せなかった花たちを
今、私ができることで「贈り物」のかたちにしました。

関口朋夏

贈り物とは、何か出来事があった際に贈る特別なものを指す。
相手に対して共感や励まし、告白やお礼などの気持ちを込めて贈られる。
この作品は粘土で花びらの原型を耐火石膏で型取り、ガラスを詰めて電気炉で溶解するキャステイングと言う鋳造技法が用いられている。そこに真鍮の針金を仕込むと一体化し複数制作して、ネックレスや髪留めなどに仕上げている。特に花びらに関しては、鋳造後カット技法を加えて薄くけずり出したり、細かい筋を付けて花びらが持つ繊細な表情を出すことに成功している。
関口氏の過去の記憶の中で、花束を相手に贈ろうとしたが、贈れなかったことが何度かあり、その理由は、「花」が「心」そのもののように思えての「恥じらい」から来ると言う。
「照れくさい」「自信がない」自分の中に、贈りたかった気持ちがいくつも残された。
それらの残された気持ちを具現化し昇華させた作品群は、当時言えなかった気持ちを美しく代弁している。

工芸工業デザイン学科教授 大村俊二

佐々木悠Sasaki Haruka

作品写真:I know .
作品写真:I know .
作品写真:I know .
作品写真:I know .

I know .

綿、麻、ウール、ポリエステル|デジタルプリント、シルクスクリーン、パッチワーク、箔プリントCotton, hemp, wool, polyester | Digital print, silkscreen printing, patchwork, foil printingH1220 × W9750mm

わたしは自分がひとつの個をもつことに孤独や窮屈さを感じて時々ひどく暗くなる。
しかし、わたしはわたしの外側のありとあらゆるものと、様々なかたちで関係しあっている。それぞれが別の個を持ちながらひとつの環境を共有し、同じ時代を生きている。自分がその一部であること、それが緩やかに変化しながら永久に続くことを思うと、安心するのだ。
わたしはそういうすべてを肯定したい。
ただ、あるということを認めることはわたしにとっての希望になるから。

佐々木悠

一見すると岩絵の具で書かれた日本画のように見えるが、作者は絵筆のようにテキスタイルの技法を駆使して絵画的な表現を試みた。自ら撮影した写真を加工し、デジタルプリントした後、さらにシルクスクリーンプリント、ニードルパンチ、パッチワークなどの技法を重ね画面を作り上げている。ミクロとマクロが混じり合う深淵な世界を独自の表現で結実させた大作である。

工芸工業デザイン学科教授 西川聡

大平晃嗣Ohira Koji

作品写真:TYPE-0
作品写真:TYPE-0
作品写真:TYPE-0
作品写真:TYPE-0

TYPE-0

PLA樹脂、アクリル板、塩ビ棒、アルミパイプ|3DプリントPolylactic resin, acrylic plate, PVC stick, aluminum pipe | 3D printingH1000 × W1430 × D670mm

モーターやバッテリー以外の全てを3Dプリントで製造し、ドライバーの気づいていない新たな一面を造形に落とし込み出力し直す事で、モビリティを通してドライバーは自分自身を見つめ直し、新しい生き方を見つけることが出来るのではないだろうか。
ボディの全てを3Dプリントで製造することにより、限りなくシームレスでフレキシブルな造形が可能となる。このモビリティは自己を投影し、共に成長する。

大平晃嗣

ドライバーのライフステージ変化に合わせてモビリティが成長していくコンセプトはヒトと共に生きる生命体の様で面白い。ロボット制御や3Dプリント技術の進化を捉え、次の世代におけるモノの関係性や価値観を示唆する興味深い作品である。
成長を前提としたモビリティの骨格設計や、その骨格を覆う3Dプリントで生み出される躰に新しい造形性が感じられ、とても魅力的である。
従来の概念にとらわれず、思い切って新時代の姿に挑戦した作者の創作意欲をたいへん評価したい。
無機質な冷たいメカニズムの塊ではなく官能的なマインドもくすぐられ、ヒトの成長/変化に焦点を当てた秀逸な作品である。

工芸工業デザイン学科教授 稲田真一

松﨑玲奈Matsuzaki Rena

作品写真:Stream
作品写真:Stream

Stream

PLA樹脂、塗料、アクリル、ほか|3DプリントPolylactic resin, spray paint, acrylic board, other | 3D printingポット|H100 × W190 × D120mm
ウォーターポット|H105 × W185 × D140mm
IHウォーマー|H25 × W170 × D170mm
カップ&ソーサー|H60 × W150 × D150mm
ミルクピッチャー|H50 × W60 × D45mm
リーフケース|H50 × W40 × D40mm

紅茶を淹れるところから飲むところまで、「時」を楽しむためのティーセットを考案しました。
ものそのものだけでなく、ものを使って体験する物事の過程こそに価値があるのではないかと感じ、淹れる行為を飲むための準備にせずプロセスを楽しむことができるように「淹れる」という過程から紅茶を楽しめるアイテムの提案を行うに至りました。
紅茶を淹れる瞬間を視覚的に楽しむための注いだ時の流れの美しさや、ゆったりと淹れるために飲む場所で淹れられるプロセス作りなどにこだわっています。

松﨑玲奈

紅茶を淹れる一連の流れにUXの考え方を取り入れ、ティーセットの在り方を再構築しデザインした作品。淹れる時間を魅力あるものにする為に、紅茶を見て楽しむ、所作を美しくという考え方を取り入れ、伝統的なティーカップの形やフローを見直し、独自性の高いデザインをシリーズとして展開した点を評価した。また、紅茶の味と香りをうまく引き出す為に、茶葉の性質や紅茶が美味しく出る原理や手順、東洋の茶文化について基礎研究をしっかり行い、デザインに反映させている点も評価した。

工芸工業デザイン学科教授 田中桂太

宮入舞夏Miyairi Maika

作品写真:Pal-Dish
作品写真:Pal-Dish
作品写真:Pal-Dish

Pal-Dish

スチレンボード、アクリル、ケント紙、PLA樹脂ほか|3DプリントStyrene board, acrylic board, kent paper, polylactic resin, other | 3D printing建築モック|H240 × W670 × D610mm
立体サービスマップ|H60 × W400 × D400mm
パネル|L1200 × W1700mm

災害や社会の変化の波の中で改めて人との繋がりが見直されている今、昔ながらの密な近所付き合いよりもゆるやかな距離感をもった新しいカタチでの繋がりというものが求められています。
そこで、遠くない未来、シェアリングの広まりで住居の在り方も変化する時代を想定し、日常的で身近なスーパーマーケットという場所に“サードプレイス”としての新しい役割を持たせたキッチン併設型マーケットというものと、そこでのサービスを考えました。

宮入舞夏

この作品は、キッチン併設型スーパーマーケットの新しいサービスの提案です。これまでは、スーパーで食材を購入し家で料理をしていました。しかし、スーパーのキッチンで料理をして食事ができ、またスーパーで友達に料理を振る舞うことができたなら…。このような新しいコミュニテイーに、人々のソーシャル意識はますます高まるに違いありません。提案者の潜在的なニーズを読み取る感性と、豊かな構想力は大変すばらしく、食ビジネスの新たな展望に着目したことも、この提案が高く評価された理由です。

工芸工業デザイン学科教授 中原俊三郎

シュウ シュウライ(周修来)Zhou Xiulai

作品写真:air form
作品写真:air form
作品写真:air form
作品写真:air form

air form

ポリエチレン、発泡スチロール、ミラフォーム、バルブ、スポンジ|真空成形Polyethylene, styrofoam, mirafoam, valve, sponge | Vacuum formingH400 × W350 × D350mm

現代生活で実験性と実用性を兼ね備えた新しい民具のデザインを提案した。密閉したポリ袋の中の空気をバルブで排出し、真空状態になることで、平面的な素材から立体の用具に成形される。使用者は最小限の行為で、民具の組み立てを完結できる。「air form」は、民具の本質を原点に回帰させ、再生させる新しい民具の「使い」であり「作り」である。

シュウ シュウライ(周修来)

密封したビニールの袋の内部の空気の吸引によって形成されるというユニークな組み立て方法をもつ家具の提案である。組み立て前のフラットに並んだパーツが吸引によってゆっくりと立ち上がり、集合する事により構造強度を増していく動きは生物のようでもあり、ユーモラスでもある。その個々の形態は試行錯誤の実験の中から決定されたものであり、また、素材の選定も重量や強度などの調査には膨大なトライアルアンドエラーの時間を要した。その結果としてスツールとしての強度、機能性と意匠性の絶妙なバランスを保ったものが生まれた。更なる展開も期待できることから、今後の可能性を秘めた作品であると言える。研究量と完成度、オリジナリティーの高さから非常に高く評価された作品である。

工芸工業デザイン学科教授 山中一宏

田中聡一朗Tanaka Soichiro

作品写真:Less than <Instrument>
作品写真:Less than <Instrument>
作品写真:Less than <Instrument>

Less than <Instrument>

エキスパンドメタル、LED 、銅Expanded metal, LED, copperH900 × W920mm
H500 × W500mm
H450 × W450mm

通常は建材として用いられるエキスパンドメタルの裏にLEDチップを埋め込み、壁からの関光として空間に光を提供する。
まるで光源が存在しないかのように見えるが、確かに光は存在する。「器具」未満の照明器具。

田中聡一朗

光と空間の関係性を純粋に探求し、既成の照明器具の概念にとらわれることなく、独自の表現方法を探った。結果的に工業用資材である金属メッシュという既存のありふれた素材と最新技術の極小のLED発光体の組み合わせによる現代性の強い作品となった。メッシュ越しに見るLEDの白い光は壁面に美しい明暗のグラデーションを作り上げ、金属とLED光源という一見冷たい表情を持つ両者から生まれたものとは思えないほどに優しく、どこまでも詩的である。メッシュの裏面に厚みを出さずに配線と無数のLEDを半田付けをする作業には途方もない時間を費やしたが、その苦労の痕跡や手垢は作品からは一切消されている。静けさの中にある強さと優しさが作者自身の性格とも重なり、完成度も高く秀逸な作品である。

工芸工業デザイン学科教授 山中一宏