落合梨乃Ochiai Rino

作品写真:遠い夢に延びていく、遠い夢に浸りながら
作品写真:遠い夢に延びていく、遠い夢に浸りながら
作品写真:遠い夢に延びていく、遠い夢に浸りながら

遠い夢に延びていく、
遠い夢に浸りながらI felt like I could meet you

紙|リトグラフPaper | LithographH900 × W3500mm

親愛なる誰でもない君へ
僕は幸福です。君はいま幸福ですか。
君が僕の夢に溶けてしまう前に君に会いたいです。
帰り道、頭に残ったまつりの音を口ずさみながら歩く。
もう会うことのできない君に会えた気がして、両手で両目を隠してみる。

落合梨乃

あの世とこの世を繋ぐ盆踊りの情景。蛙や豚、天使、女神を独自なメタファーとして、祭りで感じた特異な雰囲気を描いている。劇的な描写によるダイナミックな絵画空間は、色彩が緻密に刷り重ねられることで明快に冴え渡り、版表現特有の潔さで満ちている。そして、豊かな感受性による幻想世界が、版を介在することで記号化され一層キャラクター化し、いわば同時代的な認識による生な表現として鮮烈な存在感を発揮する作品となった。

油絵学科教授 遠藤竜太

木村大祐Kimura Daisuke

作品写真:queer garden
作品写真:queer garden

queer garden

インスタレーション|銅版画インク、雁皮紙|エッチング、ドライポイント、アクアチントInstallation art | Copperplate engraving ink, paper | Etching, drypoint, aquatint可変

「queer」という言葉は性的少数派に対する差別用語として使われていましたが、現在は肯定的な意味で使われています。それは、当事者である本人たちが皮肉という角をユーモアというヤスリで削ってきたからです。
僕は角のない作品を作ることで、これからの生きやすさに繋がると信じています。皆さんが自由な庭で過ごせますように。

木村大祐

“queer garden”と名付けられた地上の楽園。そこに作者は安息の地を見たという。パーツを成している銅版画はどれも角を落とされて、丸みを帯びている。聞けばユーモアという名のヤスリですべての憎しみや悲しみ、偏見といった世間の澱を削ぎ落しているのだという。まるで銅版画の成り立ち、そのものではないか。銅を腐食し、傷つけることによって、ようやく生まれ変われるのだ。そして、刷り取る。生きること、すなわち銅版画をつくること。一見、軽妙さが支配する画面のなかには、想像以上に奥深い豊かな人生が隠されていると思う。

油絵学科教授 高浜利也