石塚公輔 Ishizuka Kosuke

作品写真:市町村章はマンホールの蓋に今日も
作品写真:市町村章はマンホールの蓋に今日も

市町村章はマンホールの蓋に今日もThe Story of Municipal Emblems in Japan

年表|紙、パネルChronology | Paper, panelH1682 × W4455mm

ポスター|紙、パネルPoster | Paper, panelH1682 × W2376mm

街のシンボルマークである市町村章。こんな日の当たらないグラフィックデザインの領域も、実は日本において100年以上の歴史を持っています。日本の人々は市町村章をどんな考えでデザインし、そしてどんな生態系が紡がれてきたのか。本作は、それらを見渡すダイアグラムです。

石塚公輔

市町村章は、オリンピックエンブレムやブランドロゴなど光が当たる意匠と較べて、きわめて地味で目立たぬ存在だ。暮らしのなかに散見されるかたちが注目されることは少なく、マンホールやゴミ袋にひっそりと棲息している。その見過ごされがちな市町村章を慈しみ、その歴史性やデザインの系譜を怜悧に分析し、ダイアグラム化を試みた。その全容を俯瞰する試みには脱帽する。また、市町村章のみで描き出された日本地図には、サイズなどの恣意性はあるが、ほぼ正確な位置に配置された紋章の集積に圧倒される。

基礎デザイン学科教授 板東孝明

笹原早希子Sasahara Sakiko

作品写真:tomato
作品写真:tomato
作品写真:tomato
作品写真:tomato

tomato

本|紙|インクジェット印刷Book | Paper | Ink jet printingH210 × W1485mm ×3点

トマトをじっと見つめたことがあるだろうか。
唐突だが、私はトマトが好きなのである。といっても食べ物としてより、素材として形態や質感、色に強く惹かれるものがあるのだ。
ハリのある表皮、伸びやかな蔕、複雑に入り組む果肉…トマトは独特の要素を併せ持ち、それら全てが美しくトマトがトマトたる所以を構成しているのだ。この作品では、私が思う美しいトマトの姿をひたすら追い、グラフィックに落とし込んでみた。私なりのトマトに対する好きの証明であると同時に、その魅力を共有するための記憶の断片を見せているのである。

笹原早希子

赤一色の平面上のわずかに変形した反射光によって、それが均質な平面でなく、丸みを帯びていることを了解し、特徴のある稜線が記憶と繋がった瞬間に「トマトだ!」と気づく。一見、写真表現しているのかと見まごうほどリアルな本作品は、実物の果実を観察しピックアップした「らしさ」を編集した連作のイラストレーションだ。トマトのヘタも本体の赤色と相補的なバランスをもち、その深緑色も見応えのある造形性を有している。シンプルに描き出された色とかたちが、トマトの生命性へと肉迫している。

基礎デザイン学科教授 板東孝明

百目鬼多恵Doumeki Tae

作品写真:Applied Apples
作品写真:Applied Apples
作品写真:Applied Apples
作品写真:Applied Apples
作品写真:Applied Apples
作品写真:Applied Apples
作品写真:Applied Apples

Applied Apples

樹脂、粘土、油絵具、ほかResin, clay, oil paint, oherサイズ可変 ×10点

リンゴのかたち(形態/色/テクスチャー)が適用された果実や野菜を造形することで、見慣れたリンゴを未知化し、新しい眼差しを生み出すことを試みた。制作したのは、トウモロコシのように小さな粒が大量に連なったリンゴや、柑橘類のように瑞々しい果肉を持つリンゴや、豆もやしを模したリンゴなどの10種だ。味覚の予測と視覚のズレを感じながら、もしかする世界のリンゴたちの味を想像してもらえたらと思う。

百目鬼多恵

りんごの果実のかたちを他の果実に適用してみるユニークな研究である。植物の常識を乗り越えて、「ぶどう」「とうもろこし」「大根」「みかん」「スイカ」そして「もやし」などなど、様々な野菜や果物にリンゴの特徴をアプライさせている。一見ナンセンスに見えるアプローチだが造形の緻密さによって幻想的なイメージが生み出された。これは人間の記憶に潜むイマジネーションの生成原理を探り当てていくデザインアプローチではないかと考えられる。

基礎デザイン学科教授 原研哉

吉田有花Yoshida Yuka

作品写真:flock
作品写真:flock
作品写真:flock
作品写真:flock
作品写真:flock
作品写真:flock
作品写真:flock

flock

岩絵の具、水干絵の具、薄美濃紙、石粉粘土Mineral pigments, dyed mud pigments, Mino washi, stone powder clay立体作品|H70 × W70 × D150mm
展示台|H1820 × W4125 × D300mm

電線に並んだ部品が、鳥の群れのように見えることがあります。一目では鳥には見えない姿でも、並び方やあたたかな形から、そこに生命を感じることができるのではないでしょうか。

吉田有花

それは鳥の影が三次元に立ち上がるイメージの中の実態。
彼女は日本画を学んでおりリアリスティックな表現を得意としていたが、本作ではそれを超える鳥の豊かな表情を模索した。大地の色である岩絵の具を使って模様を描き、フォルムとテクスチャーによって認知できる鳥の像は群「flock」となった。その美しさと新たな表現を高く評価し、基礎デザイン学科では本作を優秀賞に選出した。

基礎デザイン学科教授 柴田文江

リュウ イソーLiu Weizheng

作品写真:見慣れた形のウィリアムモリスの壁紙的展開
作品写真:見慣れた形のウィリアムモリスの壁紙的展開
作品写真:見慣れた形のウィリアムモリスの壁紙的展開
作品写真:見慣れた形のウィリアムモリスの壁紙的展開
作品写真:見慣れた形のウィリアムモリスの壁紙的展開

見慣れた形の
ウィリアムモリスの壁紙的展開A pattern of familiar items inspired
by William Morris Wall paper

グラフィック、立体|紙、ファブリック|捺染Graphic, three-dimensional work | Paper, fabric | PrintingH2500 × W3000 × D3000mm

ウィリアムモリスの壁紙は誕生した当時から今日に至るまで世界中の人達を魅了してきたが、この研究はその同じ造形ルールの中に、現代の私たちに親しみやすい日常を挿入してみる試みである。夏のお祭り、子供の誕生、家族旅行、のんびりした週末……、そんな平凡な光景が題材である。決して現代的なキレを持つパターンではないが、ウイリアム・モリス風の壁紙や家具に展開された、ほんのり甘いデザインの心地よさを感じ取ってもらえれば幸いである。

リュウ イソー

リュウ・イソーは、ウイリアム・モリスの壁紙の唐草文様が、古典的な唐草模様と比較して親しみやすく柔らかいと言う。その着想をもとに、リュウはモリスの壁紙の構成原理を解析・把握した後に、現代の自分の身近なもの、例えば料理の食材やブランド・ロゴなどをモチーフとして唐草模様を制作している。確かにほんのりと優しい装飾パターンが生み出されている。これは言語で記述される批評とは異なる、モリスの壁紙に対するユニークな批評にもなっている。

基礎デザイン学科教授 原研哉