今田安希奈Imada Akina

作品写真:家出のすすめ ~上機嫌な女たち~
作品写真:家出のすすめ ~上機嫌な女たち~
作品写真:家出のすすめ ~上機嫌な女たち~
作品写真:家出のすすめ ~上機嫌な女たち~

家出のすすめ ~上機嫌な女たち~iede no susume

ファッションショー|毛布、シルク、ほか|ミクストメディアFashion show | Blanket, silk, other | Mixed media | 11min 30secH2500 × W5000 × D2000mm(舞台セット) 11分30秒(上演)

笑うほどに
怒るほどに
歌うほどに
踊るほどに
走るほどに
築くほどに
生き急ぐほどに
夏を待ち焦がれるほどに
着飾るほどに
口紅を落とすほどに

夢見るほどに
恋するほどに
愛するほどに
旅するほどに
だから、今、家出のすすめ。
小平より、上機嫌な女たち。一張羅の男たち。
帰る場所ごと、旅をする。
愛を込めて…スッテンテン。
平成三十一年の、冬!

今田安希奈

これまでのアート、ファッションの歴史の中で、コンセプチュアルアートの表現としても、ファッションとしても、オリジナリティーを作品に求めるのは、難しい時代になっている。情報があふれるなか、既視感はどうしても否めない。そういう時代に今田安希奈の作品は、ポジティブに生きる女の子の生活をショーとして切り取り見せることで、楽しく、美しく生きる事を見る人にやさしく問いかけた。今の時代彼女の作品のポジティブさと押しつけではないコンセプトは必要とされている新しい表現なのではないだろうか。

空間演出デザイン学科講師 吉田真実

小倉あかりOgura Akari

作品写真:9号館地下展示室(脇通路)

9号館地下展示室(脇通路)

インスタレーション|グラスオーガンジー、シルク、チュール生地、ストレッチ生地、鉄、木材、コンクリートInstallation art | Glass organdie, silk, tulle fabric, stretch fabric, iron, wood, concreteH2300 × W28100 × D500mm モデル13点 什器8点

女性フェロモンの視覚化
__は __をかたち作る
__は __を変化させる
__は __を引き寄せる

小倉あかり

本学科のファッションコースは、常に美大ならではのアートや空間デザインなど隣接する領域と融合させた新たな衣服表現を実験する場でもあると学生達に言ってきた。既知のことを教えるのではなく、未知のことに気づかせる場であると。
この作品は、まさにその実験から生まれた作品である。身体をめぐる「ファッション」を超えた衣服表現として、形態、素材、空間、ショー演出等全てにおいて作者ならではの世界観を明快に結集させた秀作と言える。

空間演出デザイン学科教授 天野勝

小杉将之Kosugi Masayuki

作品写真:35°43′34.5″N 139°26′51.6″E
作品写真:35°43′34.5″N 139°26′51.6″E

35°43′34.5″N
139°26′51.6″E

模型|チップロール、スタイロフォーム、モデリングペースト、スチレンボードModel | Chipboard, styrofoam, modeling paste, styrene boardH300 × W1222 × D4860mm

映像Video | 2min 12sec2分12秒

『花畑』とは本来身近には必要のないものである。生活の道具でもなければ、生死に関わるようなものではない。しかし、花畑は静けさを持つ。惹かれるように急いだ足を止め、細部やその周囲に目を向ける。同じく立ち止まった人達と何かを分かち合うことが私達にとって重要だと考える。本来急ぐ必要のないはずの場所に新たな空間をあたえ、新しい施設を設計する。この空間を学生が訪れ、時に通過し、そして立ち止まることで、デザインやファインといった学科間を越えた交流の種になる。そこへの一歩は新たな視点をあたえ、様々な静けさを纏い、人やモノを育てるであろう。私はこの空間を『花畑』と名付ける。

小杉将之

35°43′34.5″N
139°26′51.6″E
とだけ記されたムサビ/中央広場の建築計画のタイトルは、所在地の経緯度以外の何者でもない。しかし彫刻のように自由に立ち上がったランドスケープは、本来本学が求めるリベラルアーツの精神を表しているかもしれない、というのは言い過ぎであろうか?
小杉が求めた花畑”という意味深な概念。その言葉が表すロマンティックなファンタジーの後ろには、現在の美術教育への批判と未来への希望が見え隠れする。

空間演出デザイン学科教授 片山正通

清水恵里Shimizu Eri

作品写真:Eclipse Day ~皆既日食の日に~
作品写真:Eclipse Day ~皆既日食の日に~

Eclipse Day ~皆既日食の日に~

インスタレーション|段ボール、新聞紙、アクリル絵具Installation art | Cardboard, newspaper, acrylic paintH3000 × W1900 × D26000mm

古くから太陽は全ての生命の根源であり世界中を照らす最高神と伝えられている。
そして、月によって太陽が欠けていき、明るかった空が暗く包まれる皆既日食の日、彼らは何処からともなく顔を出した。空を見上げる者、宴を始める者、筆を取る者。
それぞれの個性をもった、79体の生命を表現した。

清水恵里

まるで“ジョルジュ・バタイユ Georges Bataille”のページをめくるような、溢れんばかりの瞑想や神秘、死やエロティシズムの饗宴の場として、清水はキャンパスを塗り替えてみせた。
古代より世界中で語り継がれて来た、この闇の恐怖から生まれた数々神話と巡り会える瞬間を、蝋燭の煤で覆われたガラスの破片を手にしながら、あの日、少年だった僕と共に「魔神の仕業」を見届けようと、まだ強い日差しの中に集った人々は“彼ら”だったのだろうか。
やがて、月に覆われた闇と共に訪れた風が冷たかった。

空間演出デザイン学科教授 小竹信節

白石桃子Shiraishi Momoko

作品写真:選択
作品写真:選択
作品写真:選択

選択choose, pick, select

インスタレーション、パフォーマンス|紙Installation art, Performance art | PaperH2680 × W3400 × D4500mm

右手でコップを持つ。
コンビニで特製肉まんを買う。
武蔵美で卒業制作をする。
日々積もる、意識的・無意識的な選択を集めました。
私は大学を卒業して、これから1つの会社で働きます。でも、例えば、居酒屋で偶然出会った人と話して、進路が変わるかもしれない。友達と立ち話しをして電車に乗り遅れた結果、スーパーのタイムセール中に買い物ができるかもしれない。
今、選んだほんの些細な選択によって、実は、自分や誰かの未来が大きく変わっていくかもしれません。

白石桃子

白石桃子作「選択」を「選択」した理由4つ。
1. 「選択」をテーマに、人生の「もし…」を描いた単純な作品ではなく、「選択」という空間のなかに「自分が今生きていること」を喜劇として表現したこと。
2. 簡単な感情に浸ることなく、「生きているのか」「生かされているのか」という大きな命題を、大いなる喜劇として表現したこと。
3. 「今、ここでしか表現できないこと」と「圧倒的」という言葉に挑んだ長い長い制作時間が、最高の喜劇として実を結び終幕したこと。
4. すでに彼女は裁断機で紙を切るプロとして食っていけること。

空間演出デザイン学科教授 池田ともゆき

高砂結衣Takasago Yui

作品写真:Similar Character
作品写真:Similar Character
作品写真:Similar Character
作品写真:Similar Character
作品写真:Similar Character
作品写真:Similar Character

Similar Character

本|紙Book | PaperH364 × W257 ×4点

ポスターPosterH1030 × W728 ×7点

映像Video | 1min 41sec1分41秒

これは英語の O オー なのか
数字の 0 ゼロ なのか
大文字の I アイ なのか
小文字の l エル なのか
少し似ている文字、記号たちを様々なフォントごとに並べてみたら大きな差があるものや見分けが難しいものがあることに気がついた。
これらの図形として似ている文字たちをSimilar Character|類似文字と呼ぶことにし、その類似文字を繋ぐように図案を制作した。
この本は類似文字を7組取り上げ、30種類のフォントごとに図案を制作し、まとめている。淡々と並べられた図案はまた新たな何かに見えてくるかもしれない。

高砂結衣

“類似”という現象、そして先人の作り上げた既存フォントが持つコンテクスト。高砂はこうしたかすかなルールをマテリアルに、自由に絵を描こうとしている。
空間演出デザイン学科で学んだ空間軸/時間軸の概念を平面と融合させ、作り上げたグラフィックワーク、そしてアウトプット媒体として製作したブックとポスターの丁寧な仕事には、大いに好感が持てた。
表現の在り方を探すその姿勢は、まるで人類が作り上げた象形文字誕生のプロセスを逆さまから歩き始めたようにも見え、とてもユーモラスである。

空間演出デザイン学科教授 片山正通

内藤陽太Naito Yota

作品写真:木生

木生Revive

インスタレーション|割り箸Installation art | Disposable chopsticks

自然の木であった頃の周りに絡み付いていく様を割り箸の姿で表現した。

内藤陽太

内藤陽太は割り箸に向かい合った。割り箸の素性、役割、そして構造に興味を持ち、割り箸を割る寸前の応力を生かす構造体を無数に実験した。その経験を素に、強固な建築に儚い割り箸が寄生する様を造形した。繊細な線の連なりが建築の5階まで絡みつき、割り箸の素である「木」が蘇生した姿を醸し出した。

空間演出デザイン学科教授 小泉誠

籏智裕駿Hatachi Yujun

作品写真:Soundscape Morphologies II
作品写真:Soundscape Morphologies II

Soundscape Morphologies II

インスタレーション|鉄、メッシュ、ピエゾマイク、エフェクター、スピーカー|溶接、縫製Installation art | Steel pipe, mesh, piezo microphone, effect pedal, speaker | Welding, hand stitchingH3500 × W2700 × D6000mm

人は空間をどう認識するか?と言う疑問から始まった作品。空間を認識する時人は深さ明るさなどの空間のディテールを視覚的な情報として感覚を支配されている。この作品では聴覚の様相である音を使って空間を探索する。始まりと終わりがある時間の様相でもある音、そして形がフレキシブルなストレッチメッシュを使って静的な空間との融合が可能になることで音と空間のインタラクティブシンセサイザーになった。

籏智裕駿

空間と音の関係性を表現するこの作品は、視覚による期待と体験できる音はステージであり楽器でもある装置となった。ストレッチ素材のテンションが人の動きと連動して音の性質やボリュームを操作し、金属とファブリックの素材の掛け合わせも同時に視覚聴覚触覚にインプットし使われ方の多様性を興味深く想像させる。装置として荒削り感は濃いが、その存在との相性はむしろ適格であり行為が面白さが見る側も体験する側にも高揚感をあたえている。

空間演出デザイン学科教授 五十嵐久枝

林陸也Hayashi Rikuya

作品写真:Black and Blue
作品写真:Black and Blue
作品写真:Black and Blue
作品写真:Black and Blue

Black and Blue

ファッションショー|布、スピーカー、ほかFashion show | Fabric, people and sound, other | 7min7分

それは季節、だったかもしれないし、時代、と呼んでも差し支えない。もしくは恋や夢と書いた方がしっくりくるのだろうか。しかし、そのどれもわずかに的を外している気もする。
いずれにせよ、今まさに終わろうとしているそれ、つまり終わろうとしている季節、時代、恋、夢、のようなもの。について語るほど難しいことはない。
なぜならそれらは一種の熱病のようなものである。当の本人から見れば非常に濃密な期間であっても、周囲から見れば、薄ぼんやりした記憶しか残っていない、なんてことが往々にしてある。
かといって、僕が描こうとしている「それ」は麻疹や恋患いのように、誰もが一度は、といった類の経験でもない。これがおそらく、前出の言葉だけでは射抜けなかった原因であろう。
夜の多摩川にも、ハーレムの八階建てのオンボロアパートにも、新宿の高層ビルの一室にも、そして、今ここにも確かに僕は存在していたのだから。
僕にとって「学生生活」を一言で呼び表すのはそれほどに難しく、代わりに僕はそれを「青春」と呼んだ。
あなたにとってもそれが「青春」であると期待しながら。
最後に、今回の作品に携わってくれた友人や後輩たち、僕の作品を見てくださった皆様、いつも僕の為に美しいアートワークをデザインしてくださっている渡部糸女氏、今まで多大な支援を続けてくださった家族に心から御礼申し上げたい。そして、僕が大好きな人たちや音楽や芸術に敬意を。
この作品が、あなたたちとの合作であることを誇りたい。
ちなみに、あなたが目撃した作品のタイトルは「Black and Blue」、喪を意味する「Black=黒」と青春の「Blue=青」そして英語で「Black and Blue」は体に残った痣を意味する。
8人の美しいモデルと、それを引き立てるお洋服たちとともに、僕たちの旬をどうか楽しんで頂きたい。そして僕たちとあなたが同じく過ごした青春を慈しんで頂ければ幸いである。
そもそも、これで本当に青春は終わっちゃうの?

林陸也

ファッションを学ぶうえでパフォーミングアートを優位に捉える事が多くなり、現実的なファッションと対峙する事が減る傾向にあると思われる環境で、林陸也の表現する衣服はエレガンスとワイルドを融合させ、ファッションが機能する場面は日常であるという事を再確認させてくれる役割も担った優秀な作品でした。

空間演出デザイン学科教授 津村耕佑

藤原慧茉Fujiwara Ema

作品写真:光景
作品写真:光景
作品写真:光景
作品写真:光景

光景a scene

インスタレーション|ミクストメディアInstallation art | Mixed mediaH1350 × W4800mm H1100 × W1500mm H1200 × W1820 × D300mm

ただの点や線が連なって 大きなかたまりになった時
それはどんな眺めになるだろうか
その点や線たちは ある光景の中の
空を舞う雪や 街を行き交う人々のような
存在になることはできるだろうか

藤原慧茉

藤原さんの作品はすべて点からはじまっていた。点がすべてのはじまりであり基点であることがすべてに繋がっていることを確かめるように、点による集合体を作り続けた。パターンによるさまざまなバリエーションが生み出されても、それは美しいパターンに留まり求めるものではなかった。そこから抜け出せず捨てきれず、また繰り返すうちにふとした重なりやズレがボリュームと距離の関係性からほんの僅かな空間化した表現へと辿り着く。諦めずに試し続けたパターンが生み出す平面の空間性。有機質と無機質が重ね合わさり安らかな情景に触れることになる。

空間演出デザイン学科教授 五十嵐久枝