安藤愛莉Ando Eri

作品写真:2014年8月31日日曜日午前6時45分
作品写真:2014年8月31日日曜日午前6時45分
作品写真:2014年8月31日日曜日午前6時45分
作品写真:2014年8月31日日曜日午前6時45分

2014年8月31日日曜日午前6時45分6:45 a.m. SUN 31 August 2014

アニメーション、美術ボード|鉛筆、TMKポスター紙、ポスターカラー、半光沢紙、スチレンボードAnimation, storyboard|Pencil, drawing paper, poster color, photographic paper, styrene boardH3000 × W6000 × D900mm × 18点

自分で描いた空想の空間をモチーフに、約 5分間のアニメーションを制作しました。ある日描いた一枚の絵から、その絵の外の空間、建物の構造へと想像を膨らませました。
本編の時はデジタル化が進んで紙の存在が危うくなっている社会。朝、タブレット端末で、宇宙空間での植物栽培計画に関する記事を読みふける男の家に、最後の新聞が投函されます。2014年8月31日日曜日午前6時45分前後の記憶。

安藤愛莉

アニメーションの背景画家になりたいという明確な目標を持つ安藤は、視覚伝達デザイン学科での学びを最大限に活かした素晴しい卒業制作を生み出した。アニメーションが物語と絵と音の総合芸術であることをカタチにした。それは様々な教員とカリキュラム、共に切磋琢磨できる学友達との恊働が育てた理想的な四年間の集大成である。私はやりたい事をできるようにするために、七転八起を座右の銘として取り組むこの安藤の姿勢に共感する。

視覚伝達デザイン学科教授 陣内利博

魚谷彩子Uotani Ayako

作品写真:身体性と圧縮
作品写真:身体性と圧縮
作品写真:身体性と圧縮
作品写真:身体性と圧縮
作品写真:身体性と圧縮

身体性と圧縮physical ability and compression

アクリル、紙、切絵Acrylic board, paper, paper cutoutH384 × W277mm × 9点

私は圧縮をテーマにリサーチを進めてきました。その過程で身体性の拡張と圧縮の関係の面白さに着目し実制作を行いました。
身体性の拡張の先に見える圧縮された世界を自分の目で捉え直し、自らの手で切って表現する事で圧縮の世界と私の間に1対1の関係が生まれるのです。

魚谷彩子

この作品では、身体とはかけ離れた機械によって拡張しあるいは圧縮して得られた画像を、改めて手で切り込むことを試みている。信じられない程の細かさで、イメージを紙に切り込んでいく魚谷さんの手への拘りは、切り込むイメージに「身体性と圧縮」という表現上の制約を課することによって、元の画像には持ち得ない感覚を生じさせている。これは以前、「10000」という数字の持つ情報の圧縮力に対抗して、実際に一万の図像を描いてみせた経験が有り、その作品によって得られた共感の強さに、描くことの意味を見つけ出していたことによる。顕微鏡写真の切り絵、地図の切り絵、天体写真の切り絵の再現性は、もとの画像情報に対しては劣るものの、その表現力は強い共感を伴って我々の目に飛び込んでくる。

視覚伝達デザイン学科教授 新島実

各務将成Kakamu Masanari

作品写真:sardinerun —イワシの生命の旅—
作品写真:sardinerun —イワシの生命の旅—

sardinerun —イワシの生命の旅—sardinerun —Journey of life of sardine—

舞台|布、照明、スピーカー、クラシックバレエ、他|7min51secPerformance| Cloth, lighting, speaker, classical ballet, other

映像|1min30secVideo

写真|H728 × W1030mm × 10点Photo

"地球最大の魚群"とも称されるサーディンラン。
それは毎年、南極水域から南アフリカ東沿岸を流れる暖かい海流を目指してイワシの群れが一斉に北上する現象である。
そんな群れの表情・習性・生態を、イワシの群れをまとった衣装とバレエによる身体表現を組み合わせて舞台として表現した。

各務将成

イワシの群れの視覚化といったユニークな視点。さらにそこから具体的な表現に至るまでの、統合的な能力は優れて高く的確だ。パフォーマンスの演出、アートディレクションそしてデザインに至る全ての制作を一人でやり遂げている。特に水族館で見たイワシの群れの動きを、バレエダンサーのドレスの動きにダブらせ再現するというプランは、各務君のデザインに対する柔軟な姿勢が生んだものだ。ダンサーの動きと光の演出によってイワシが踊りだす、装置としてのこのドレスは作者の手作りである。アイデアを形に置き換える為の優れた表現能力がベースになってこの作品を魅力的なものにしている。

視覚伝達デザイン学科教授 新島実

西木晴香Saiki Haruka

作品写真:世界の「いただきます」—遊んで学べるままごと玩具—
作品写真:世界の「いただきます」—遊んで学べるままごと玩具—
作品写真:世界の「いただきます」—遊んで学べるままごと玩具—

世界の「いただきます」—遊んで学べるままごと玩具—"Itadakimasu" in the world —can play, can learn, toys for playing house—

布、糸、木材、他Cloth, thread, wood, otherH300 × W300 × D300mm未満 × 11点

『ままごと(= 飯事)』は、言語やコミュニケーション能力の発達に関わる幼児期の大切な遊びのひとつ。
そんなままごと遊びが大好きな子どもたちにむけた、世界の料理や食文化を「見て・触って・遊びながら知る」オイシイ玩具を制作しました。
子どもの手に合うサイズ・丈夫で安全・単純な仕掛けや質感にこだわったこれらの玩具は、10カ国以上の"巻く・包む・のせる"などの『手を使うことで作られる料理』を選んでいます。

西木晴香

西木さんがかつて従姉妹と熱中したお店屋さんごっこは、子ども心にも完成度の高い遊びだった。それがきっかけのひとつとなった。平安時代から現在までの食文化の移り変わりとままごと道具の変化についてのリサーチ。知育玩具の形態・機能・材質の検証。小学校低学年の子どもに向けた「料理」をテーマにしたワークショップの企画と実践。これら多角的な視点からこの卒業制作に取り組んだ。この作品はままごと遊びの適齢期である5歳前後の幼児を対象に絞り込んでいる。身体を使い目で現実から入り込むというごっこ遊びの実感を大切に考え、手の動作とサイズ、質感と色彩、子どもにとっての本物らしさ、にこだわっている点に注目してほしい。また、実際にこの作品で遊ぶ子どもたちは夢中のあまり真剣な表情をしている。子どもの遊ぶ手、友だちとのかかわりと会話、その遊びの世界を撮影し編集した写真と映像もすばらしい。だれもが手にとって遊びたくなる作品だ。

視覚伝達デザイン学科教授 齋藤啓子

猿山美幸Sayama Miyuki

作品写真:柬伝新聞
作品写真:柬伝新聞
作品写真:柬伝新聞
作品写真:柬伝新聞

柬伝新聞Kanden Shimbun

Paperブランケット判サイズ(H545×W406mm) × 24面

『カンボジア国民の3分の1が亡くなった、
ポル・ポトによる大虐殺とその影響をまとめた新聞。

虐殺跡地を巡った一人旅で、元 S21収容所とキリングフィールドを訪れた。
涙が溢れ、動悸は激しくなった。
幸運にも生存者の方にお話を伺うことが出来た。
「ここでみたこと、感じたことを日本で伝えてほしい」

全ては知ることから始まる。
過去を知ることは未来を創ることにきっと繋がる。
憎しみからは何も生まれないことを感じてほしい。

猿山美幸

猿山さんは最初、ダイアグラムを作りたいんですといってゼミに入ってきた。 3年生のダイアグラム授業の作品も非常に優れたものだった。しかし、前から興味がある「カンボジア」を卒業制作のテーマにしようと考えたとき、そのアウトプットの方法を悩み、最終的に出た答えが「新聞」だった。彼女の作品のすごい点は三つある。一つ目は作業量。全て自分で文章を書いている。二つ目はデザイン力。新聞というモチーフをうまく使い、自分が言いたいことをしっかりと言っている。三つ目は完成力。最初に言ったことをすべて完成させている。

視覚伝達デザイン学科教授 古堅真彦

関亜弥子Seki Ayako

作品写真:佇まう本 —プライベートプレスの実践—
作品写真:佇まう本 —プライベートプレスの実践—
作品写真:佇まう本 —プライベートプレスの実践—
作品写真:佇まう本 —プライベートプレスの実践—

佇まう本 —プライベートプレスの実践—Taste of Book —practice of private press —

紙、布Paper, clothH210 × W152mm H210 × W140mm × 2点

本には個性があります。紙の手ざわり・におい・語る文字。大量生産の中で振るい落とされてしまった本の「佇まい」は私たちの読書体験を豊かにしてくれるはずです。19世紀の産業革命時に主にイギリスで興ったプライベートプレス運動の思想を手本とし、書体制作から本を形作る全ての要素において理想を追求した書物を制作しました。これから益々紙の本に求められるであろう、物体としての表現の可能性を再提示します。

関亜弥子

本をデザインすることの楽しさが凝縮された秀作だ。一見すると何もしてないように見える作品だが、宮澤賢治の魅力的な言葉を、自らがデザインした書体を使用して組み上げている。敬愛するテキストを、良質な書体を用いて紙面上に再現するという、プライベートプレスの中心課題に意欲的に挑んだ作品だ。この難しい課題を解決する為に関さんは、書体開発から始めている。築地三号明朝体に宿る形象と結構のノイズを消すことなくデザインに応用しているが、この方向性はこれまでの書体デザインの考え方とはまるで異なる可能性を示唆している。そしてこの書体をベースにデザインされた3冊の書物の美しさは、宮澤賢治の言葉の背後に隠されているが、手に取ることによって造本に対する関さんの拘りの深さを感じることが出来る。

視覚伝達デザイン学科教授 新島実

武田夏澄Takeda Kasumi

作品写真:Music Composition —オーケストラの解剖と視覚的表現—
作品写真:Music Composition —オーケストラの解剖と視覚的表現—
作品写真:Music Composition —オーケストラの解剖と視覚的表現—

Music Composition —オーケストラの解剖と視覚的表現—Music Composition —Analysis and Visualization of an Orchestra—

体験型映像|パソコン、プロジェクターInteractive movie|Personal computer, projector2min19sec

楽団による音楽の魅力は、多種類の楽器の組み合わせによって生まれる多彩な響きや、楽器と奏者の身体的な関係の面白さ、そして多数の人間が一度の瞬間にかけるエネルギーにあります。
この作品では、全楽器・パート奏者の「演奏映像」と「楽器構成ダイアグラム」によって楽団による音楽の構成の解剖と、視覚的な再構成を試みました。
指揮台に立って仮の指揮者として映像を操作する事で、楽団による音楽の魅力を観ることができます。

武田夏澄

音を視覚化する作品はこれまでにもいろいろと見てきたが、実際に演奏されている吹奏楽団の音を採取し、分解し、再構成することによって、吹奏楽の魅力を視覚化しようとした、このような作品の制作アプローチは初めてである。 29人の編成による吹奏楽団の演奏者を個別に実写し、同様にそれぞれのパートの音も個別に録音している。そのうえでデータを楽譜に沿って入力し一つの演奏として組み立てている。楽器の音には個別の色彩を与え、音量に同期させながら変形する円の形を重ね合わせることによって音楽を見せることに成功している。武田さん自身がオーケストラに所属し、演奏することの魅力を経験しているからこそ、このような作品を生み出すことが出来得た。デザイン対象への理解度が上質な作品を生み出す好例となっている。

視覚伝達デザイン学科教授 新島実

森田千誉Morita Chie

作品写真:Music in the Wind
作品写真:Music in the Wind
作品写真:Music in the Wind
作品写真:Music in the Wind

Music in the Wind

アニメーション|HDVAnimation3min

少女の心境の変化を風と鳥で表現しました。動きから、風の心地よさを感じられるアニメーションをめざしました。広い野原で伸びをしたい、走りまわりたいという気持ちや、普段の制作での迷い、決断などをもとに流れを作りました。

森田千誉

自ら空を飛びたいということは誰しもが抱く夢だろう。実写と異なるアニメーションの世界でも多くの作品で「飛ぶ」姿が描かれている。森田の作品がそれらと一線を画して見えるのは何故だろう。実は、彼女はスカイダイビングをする夢を持っている。少女と鳥と風の徹底した動きの表現にその夢の実現を重ねてみた時は、この映像が持つアクチュアリティ(現実感)が立ち上がる。まさにこれから巣立っていく学生の「風立ちぬ」が見えてこないだろうか。

視覚伝達デザイン学科教授 陣内利博

渡邉佳代子Watanabe Kayoko

作品写真:TSUGIMOJI
作品写真:TSUGIMOJI
作品写真:TSUGIMOJI
作品写真:TSUGIMOJI

TSUGIMOJI

木材WoodH40 × W250 × D200mm × 26点

日本の建築に見られる釘を使わずに木材同士を繋ぐ「継手」は職人さんの知恵と技術の賜物でした。
しかしながら、大量生産・大量消費の現在では継手を目にする機会は少なくなりつつあります。
「TSUGIMOJI」は継手の形の面白さ、カチッとはまる心地よさを生かしたアルファベットパズルです。
あそびながら、日本の伝統的な技術に少しでも興味を持ってもらいたいという想いを込めて制作しました。

渡邉佳代子

継手・仕口といった伝統的な大工技術への深い感動が渡邉さんの制作の動機であった。調査と試行錯誤の後、それをヴィジュアルのみで伝えることは不十分と判断した彼女は、この技術を用いた文字玩具を制作するという無謀とも思える計画をたてた。超絶技巧を必要とするので普通は諦める所である。しかし彼女は諦めずに複雑な形状を層に分割するなどの工夫を地道に積み重ね、木屑にまみれながら最終的には完成させることができた。結果としてグラフィックイメージでは絶対に伝えることが出来ない、伝統工芸の素晴らしさを触りながら実感し、大人も子供も楽しめる遊具となった。それらを解説した書籍も大変充実したものとなっている。なお制作にあたっては、本学十時啓悦教授に貴重なご助言を頂きました。記して感謝いたします。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策