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1960年代半ば以降70年代にかけて、

 世界的規模で生じた政治、社会、文化の変革を求める動きがありました。背景には、戦後形成された社会や文化に対する疑念が働いていたのです。演劇、映画、音楽、グラフィックデザインの分野でも、既成の枠を打ち破る新しい傾向が台頭しましたが、なかでも、アングラ演劇と総称された小劇場運動は、大きな盛り上がりを見せ、小劇場の活動は、若い世代に圧倒的に支持されました。小劇場運動の求心的エネルギーは、結果的に多くの若いエネルギーを巻き込んでいくことになりますが、グラフィックの分野も例外ではありませんでした。小劇場のために制作されたポスターは、単なる告知的機能を越えて演劇と一体的関係を持ち、共有するイメージを社会に対するメッセージとして視覚化しようとしていました。これらのポスターは、小劇場運動同様、文化運動としての側面を持っていたのです。

しかし、振り返ってみるとグラフィックデザインの分野では、小演劇運動のグラフィックも表現の一スタイルとして表層的に取り扱われている場合が多いのですが、ポスターは、その時代との関係性や生活や社会との関係でも評価されるべきでしょう。60年代、70年代の小演劇運動のためのポスターも、その様な視点で見ていったときに意味があります。ポスターが時代の鏡であり、その時代の文化的なコンテクストだとすれば、ポスターの見方はもっと変わっていいはずです。

ここでは、運動としてのデザインを再評価していくとともに、この時代にさまざまな形で提示された問題を具体的な資料に基づいて明らかにしていき、60年代、70年代のデザイン運動を検証したいと考えています。そのことが、今日コンピュータテクノロジーによって変容しつつある社会、文化状況との関係の中で、改めてデザインの問題を考える契機になると思われるからです。