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3月11日の大震災やその後の原発事故など、今日の日本は差し迫った困難な問題を抱えています。そうした社会状況におけるデザインの在り方がテーマとなった、社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)の東北地域大会で、視覚伝達デザイン学科3年次授業「環境デザインI-B(Design for Social Innovation)」の13名を代表し、赤坂由乃さん・上岡都葉沙さんが震災復興に転用できると思われる海外のデザイン事例や実際に授業で行っている活動を発表しました。
発表された活動のひとつに『思い絵プロジェクト』というものがあります。3月の地震あるいは津波によって、多くの方々が大切な物や風景を失ってしまいました。被災された方にそうしたものを思い出として綴ってもらい、美大生たちがそのエピソードを一枚の絵にしてお返しするというのがこのプロジェクトです。
この『思い絵プロジェクト』を含め、「環境デザインI-B(Design for Social Innovation)」では今後も様々な活動が計画されています。ご興味のある方は下記ウェブサイト『DOCAN』までアクセス下さい。
「環境デザインI-B(Design for Social Innovation)」
担当教員: キュー・リーメイ・ジュリア(Leimei Julia Chiu)、植木淳朗
DOCAN: http://docan.co.cc/?lang=ja
「社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)」
私には何が出来るかー3月11日以後、多くの人々はこのように考えたと思います。この問いに対し「環境デザインI-B(Design for Social Innovation)」の学生たちは、ボランティア等で実際に被災地を訪れることで震災後の現状と向き合い、同時に震災復興に活用可能な海外の事例を学んでいきながら自分たちのプロジェクトを始動させていきました。東京という離れた土地から復興活動に取り組むのは決して容易なことではありませんが、こうした体験的かつ分析的なプロセスを経ている彼女たちの活動は、「私には何が出来るか」と考える人々にとって示唆に富むものであると思います。今回の大会にはJAGDA会員の方だけでなく東北の学生も多数参加されていましたが、今後復興を担うそうした若い世代の人々にとっても大きな刺激となったはずです。大変素晴らしいプレゼンテーションでした。
取材・記録: 長尾周平(視覚伝達デザイン学科2010年度卒業)