2020年5月4日
武蔵野美術大学
学長 長澤忠徳
学費減免等の学生からの要望が広がっていること、また、入構禁止等で大学の施設が十分に使えない理由から、施設費等の減免や返還を求める声が学生や保護者から寄せられています。
そこで私立大学としての武蔵野美術大学の学費について説明いたします。
本学の「学費」は、主に入学金、授業料、実習費、維持費、施設費で構成されています。
「授業料」については、一授業科目の履修単価ではなく、学位取得に必要な4年間(大学院は2年間)の修業年限を念頭に置いて編成された教育プログラムを提供するための経費となっています。
また、「施設費」「維持費」は、施設や機器備品の整備・補修・維持・管理・拡充のための費用であり、例えば在学生の皆さんが使用している本学の施設は、先輩たちが納入してくださった施設費を積み立てて整備されています。また、入構が可能になった時に正常な状態で施設が使用できるためには、入構禁止期間中であっても教育施設・設備の補修・維持に継続的に費用がかかっています。そのことからも「施設費」は、ムサビという教育環境を守り発展させるためのものです。
「学費」については上記の通りですが、アトリエや工房等での造形制作が教育の特質である美術大学において、施設を利用できない在学生のみなさんが不満に感じられていることも深く理解しております。そのために本学では学事全体を見直し、学生のみなさん、とりわけ、卒業年度、修了年度の学生のみなさんの制作環境と時間をしっかり確保することを実現するため、年度内の日程をフルに活用した学事日程の変更を行ないました。そして、当初の全体予算を組み替えて、オンライン授業への対応や、緊急対応給付型奨学金の新設等の学修支援に取り組んでいます。
本学はこの激動・不確実・複雑・不透明な状況そのものを、新たな学びに変換していきたいと考えています。また、この未曾有の困難な状況が一時的な期間で終息せず、長い期間に及ぶことも想定し、学生のみなさんにしっかりと寄り添った支援を持続的に実施するため、これからも成しうる限りの学生支援措置を講じてまいります。