日本アニメーション学会、研究・教育委員会主催シンポジウムのお知らせ「商業アニメーションにおける表現規制とその背景について考える 第3回」

日程 2011年11月6日(日)
13:00-17:00
場所 新宿サテライト教室

〒163-0609 東京都新宿区西新宿1-25-1新宿センタービル9F

交通アクセス:JR・小田急・京王線新宿駅西口より徒歩5分

○開催主旨:

昨年12月に東京都議会で可決された「東京都青少年健全育成条例」改正案が今年7月から施行された後、10月7日には単純所持規制を含む「児童ポルノ規制条例」が京都府で可決されました。京都府の条例ではアニメキャラなど、実在しない人物の性表現については規制対象外とされていますが、このようなまんが・アニメーションにおける性表現とその規制についての問題は、なおアクチュアルなテーマとして考察する意義があるといえるでしょう。

日本アニメーション学会では教育・研究委員会の主催で、この問題について研究するためのシンポジウムを昨年から開催してきました。そして第3回となる今回では、本学会の横田正夫会長に心理学の見知から、「アニメーションの性的表現の影響の問題」を解説していただくことになりました。また都条例改正案が先に社会的に論議されたなかで、率先して問題提起を行われた明治大学の藤本由香里准教授にも、「都条例改正案の何が問題だったのか?」というテーマで講演していただけることになりました。

共に「商業アニメーションにおける表現規制とその背景について考える」うえでの貴重なアプローチとなるはずのこれらの研究発表に対して、会員の皆様にはぜひとも奮ってシンポジウム御参加くださいますようお願いします。また会員以外の方も会員の同伴者に限って参加が可能ですので、今回の発表内容に関心のある非会員の方がおられましたら、共に御案内いただけますようお願いします。

司会進行:原田央男

○発表者

●横田正夫(日本アニメーション学会会長・日本大学文理学部心理学科教授)

http://www.psych.chs.nihon-u.ac.jp/yokota/top.html



「アニメーションの性的表現について、その影響を心理学的に研究することは、困難を伴う。こどもを対象にして検討するには、倫理的に問題があろうし、大人を対象に行うとしても、同様な問題が生じるので、実験的検討にはそぐわない。しかし、性的表現で主に問題になるのは、性的暴力と考えられる。暴力については、ある程度の知見が、映像メディアにおいて蓄積されておりその一部に性的暴力も取り上げられている。臨床的には性的暴力は、かなりの注目を集めていることも確かである。そうして研究実践を、アニメーションの分野に広げて考察することは可能であろう。そうした間接的な検討からアニメーションにおける性的表現の影響を考えてみたい。」

●藤本由香里(日本マンガ学会理事・明治大学国際日本学部准教授)

http://www.meiji.ac.jp/nippon/teachingstaff.html#fujimoto



○プログラム(予定)
PM1:00〜1:30・「表現規制をめぐる条例の現在・前回までの概要と最近の状況報告」(古城文康)
PM1:30〜2:00・「アニメーションにおける性的表現の心理的検討」(横田正夫)
PM2:00〜2:30・シンポジウム
PM2:30〜3:00(休憩)
PM3:00〜4:20・「都条例改正案の何が問題だったのか?」(藤本由香里)
PM4:20〜5:00・シンポジウム

■*参加人数把握のため、参加希望者は11月5日(土)までに、以下のメールアドレスに指定の書式で送信してください。
  • 宛先 kojo.jsas@gmail.com 日本アニメーション学会 古城 宛
  • 書式「件名:JSASシンポジウム11/6参加希望
  • 本文:参加者名 (会員名)、所属団体、緊急連絡先」
  • *非会員の参加希望者については会員が取りまとめて申し込むようお願いします。



○シンポジウム第1回・第2回の内容概略

第1回(2010年11月21日)においては「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」が施行された1999年に遡り、そこから現在に至るマンガとアニメーションの表現規制の経緯が報告されました。さらに台湾とマレーシア出身の研究者から、それぞれの国における日本のマンガとアニメーションの普及の現状や表現規制の歴史などが報告され、インターナショナルな視点からこの問題を考察。また参加者全員によるディスカッションにおいて、北米・カナダでは表現規制とリテラシーとの綱引きがあるとの報告や、英国では映像制作者が児童の映像や音声を扱う場合の注意が教育で徹底されているとの指摘などが飛び交い、活発な議論が交わされました。

第2回(2010年12月18日)では、「ハルヒ in USA 日本アニメ国際化の研究(NTT出版)」の著者である経済産業省の三原龍太郎様をお呼びして、北米では日本のアニメーションがどのように受け入れられているのか、また成人向けコンテンツをどのようにゾーニングしているのかを報告していただきました。シンポジウムでは海外でのアニメ・コンテンツの収益の問題や、ヤング市場において日本のコミック・アニメの訴求力がある反面で反発や規制があることも見えてきました。

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