正井秀俊(まさい・ひでとし)
MASAI Hidetoshi
- 専門
- 数学。低次元トポロジー、幾何学的群論、タイヒミュラー空間論など。
Mathematics, low-dimensional topology, geometric group theory, Teichmüller theory - 所属
- 教養文化・学芸員課程
Humanities and Sciences / Museum Careers - 職位
- 准教授
Associate Professor - 略歴
- 2024年4月着任
1986年北海道生まれ
東京工業大学 情報理工学研究科 数理・計算科学専攻 博士後期課程修了
学位:博士 - 研究テーマ
- 2次元と3次元の空間の相互理解。
教育研究業績
著書:「群と幾何をみる」無限の彼方から(数学セミナーライブラリー)。単著。日本評論社。2023/10/2。
内容紹介:
近年注目を集める幾何学的群論の入門書。幾何学的群論は、代数的な対象である群を、幾何を使って調べる分野。本書は従来の幾何学的群論の教科書とは違い、トポロジーの話題から始めることで、遥か遠くから空間を粗く眺めて本質をとらえるという幾何学的群論のアイデアを明確に伝える。重要な対象である「グロモフ双曲群」の解説はもちろんのこと、低次元トポロジーと幾何学的群論の相性の良さを裏付ける「写像類群」も後半で取り上げる。著者のいきいきとした筆致により、本分野の魅力を存分に感じることができる。
雑誌『数学セミナー』の好評連載を収める新シリーズ「数学セミナーライブラリー」第1弾!
https://www.web-nippyo.jp/33780/
The main focus of my research is mathematics, particularly low-dimensional topology, geometric group theory, and Teichmüller theory. At MAU, drawing upon my experience in mathematical research, I will teach:
i) The fundamental concepts of mathematics, including elementary functions, derivatives, integrals, and linear algebra.
ii) Accessible introductions to modern mathematical topics such as topology, non-Euclidean geometry, and geometric group theory.
By learning these subjects, the goal is to broaden your understanding and perspective of the world via mathematical viewpoints.
雑誌連載
雑誌『現代数学』にて「アメリカでフリスビー・アメリカでトポロジー」連載中(2023年10月号〜)
まえがき:
日常がいつもの形を取り戻しつつあり”人と人が同じ空間にいる意義”みたいなものを語りたくなるご時世である。しかし、いまそれを語ることは腹ペコのときに食べたおにぎりのおいしさを語るに似ている。美味いに決まっている。幸運にも、ここに記す『アメリカでフリスビー、アメリカでトポロジー』は2013年のできごとを、2018年〜2019年頃に書き起こしたものである。2013年、東京工業大学の博士課程3年生だった僕は、アメリカはブラウン大学の運営するシェアハウスで共同生活を送りながら、世界中から研究者が集まるイベントに参加していた。博士取得後、紆余曲折を経て2018年に幸運にも東工大に教員として戻った際に、アメリカでの経験を文章にしたくなり執筆を始めた。ほぼ毎日30分、1000字程度ずつ書いた。文章というのは書けば進むし、書かないと進まないという当たり前の事実を「研究」と比較して楽しんでいた。10万字ほど書き溜め、自分で読み返したり、友人に読んでもらったりしたが、その後は⻑い間引き出しで眠っていた文章である。この度『現代数学』で連載のお話を頂き、読み返してみると、”お腹を空かせているわけではない人によるおにぎり談義”であり、このタイミングで世に出してみるのは面白そうだと感じている。日本の学生は、すでにお腹がいっぱいで、”幸せすぎて”、挑戦をしない、海外に出ないと言われて久しい。ある種の飢餓感が挑戦を後押しし、結果として日本が発展したのは事実だろう。ただ、だからといって”飢えてないこと”を目の敵にしなくても良い。僕らはきっと幸せになりたかったはずなのだから。僕が留学当時、幸せだったかは読んでみてのお楽しみにして頂くが、まぁ飢えてはいなかった。それでもあの時、海外にでて日本人が自分一人の環境で多様な人々と出会い、研究し、生活し、生き抜いた日々は、みなさんとどうしても共有したいと思えるほどに、良いものだった。少しでも”楽しそう”とか、”挑戦したい”などの感情が読者に生まれたらいいなと願っている。
最近の論文(数学の論文の著者はアルファベット順に並んでいる)
- Hidetoshi Masai and Greg McShane, "Isospectral Configurations in Euclidean and Hyperbolic Geometry", arXiv:2308.12109.
- Hidetoshi Masai, "Compactification and distance on Teichmüller space via renormalized volume", arXiv:2108.06059, to appear in Journal of the Mathematical Society of Japan.
- Joseph Maher, Hidetoshi Masai, Saul Schleimer, Quotients of the curve complex. Groups Geom. Dyn. (2024), pp. 1--27
- Kazuhiro Ichihara, InDae Jong, Hidetoshi Masai, "Complete exceptional surgeries on two-bridge links", arXiv:1909.11319, to appear. Kodai Mathematical Journal.
- Hidetoshi Masai and Greg McShane, "On systoles and ortho spectrum rigidity", Mathematische Annalen volume 385, pages 939-959 (2023).
- Hidetoshi Masai, "On continuity of drifts of the mapping class group", Math. Res. Lett. Volume 28, Number 3, 823--847, 2021.