菊池彩水Kikuchi Ayana

作品写真:PLEASE TAG
作品写真:PLEASE TAG
作品写真:PLEASE TAG

PLEASE TAG

タグ|アクリル、布、ラベルシールTag|Acrylic resin, cloth, labelH205 × W55 × D8mm × 45点

映像、WEBVideo4min48sec

障害者の方も病気の方も怪我の方も妊婦の方もそうじゃなくても。
彼らにとって共通して必要なこととは何なのでしょうか。
それは、周囲に自分の状態を知らせることだけではなく
「困っているので、このようにしてください。」とお願いをすることでした。
PLEASE TAGの役割はシンプルです。
どう助けてほしいかを本人がメッセージにして書き、表示する。
「お願いします」のコミュニケーションを助けます。

菊池彩水

都市化され匿名化された視覚優位の社会では、人を見た目で判断してしまう。菊池さんは外見からはわかりにくい障害がある当事者としてこのバリアをずっと感じていた。障害者の就学就労が広がる一方で既存のマークの課題は何だろう、難病患者の会に参加し意見を交わした。彼女は「自分でメッセージを書く」というシンプルな仮説から試作品をつくり、twitterなどで発信。すると予想を上回るほどの当事者からの切実な反響があった。それらの声を活かしたプロダクトの改良とウェブサイトのデザインをすすめた。その結果、PLEASE TAGは障害の種類を選ばない。当事者の意識や態度を変えることになる。彼女のもとにはこれを使いたいという声がいまもたくさん届いている。

視覚伝達デザイン学科教授 齋藤啓子

北岡誠吾Kitaoka Seigo

作品写真:書物の美はまだか -佐久間貞一の眼差しと美-
作品写真:書物の美はまだか -佐久間貞一の眼差しと美-
作品写真:書物の美はまだか -佐久間貞一の眼差しと美-

書物の美はまだか -佐久間貞一の眼差しと美-The Beauty of the Book, Unarrived-Sakuma Teiichi’s Point of View-

本|紙、布、革Book|Paper, cloth, leatherH426 × W303mm

佐久間貞一は、秀英舎(現在の大日本印刷株式会社)の創立者として知られているが、彼は印刷業の他に、製紙業、造本、活字鋳造、出版等、多岐にわたる活動をしている。日本の文脈の中で見ると佐久間貞一はブックデザインの礎を築き上げたとも見て取れる。しかし、私がデザインを勉強していく中で佐久間貞一はそのようには取り上げられて来なかった。そこで私は、この書物の中に、佐久間貞一のものづくりにおける思想、また実際に関わった物事を閉じ込めた。もう一度、日本の文脈の中で書物の美は何かということを問う。

北岡誠吾

佐久間貞一、秀英舎、秀英体をテーマとすることには勇気がいる。なぜなら、そのどれもが既に研究し尽くされたとされているからだ。北岡が佐久間貞一に向けた問いかけはいたってシンプル。佐久間は、なぜ秀英舎を創業し、自ら活字を拾い、板紙を開発し、工場法を唱えたのか……。北岡はその問いを解く鍵が、佐久間の言葉のなかにあることを見出した。テーマであり書名『書物の美はまだか』は、北岡が自分自身に向けた言葉でもあった。

視覚伝達デザイン学科教授 白井敬尚

庄司竜郎Shoji Tatsuro

作品写真:ATOMIC ELEMENTS reconsideration BAUHAUS,HfG Ulm
作品写真:ATOMIC ELEMENTS reconsideration BAUHAUS,HfG Ulm
作品写真:ATOMIC ELEMENTS reconsideration BAUHAUS,HfG Ulm
作品写真:ATOMIC ELEMENTS reconsideration BAUHAUS,HfG Ulm

ATOMIC ELEMENTS reconsideration BAUHAUS,HfG Ulm-はじまりのカタチ バウハウス・ウルム造形大学再考-

形態展開図Atomic ElementsH297 × W210mm × 27点

模型|紙、木材、アクリル樹脂、ラッカースプレーModel|Paper, wood, acrylic resin、lacquerH200 × W200 × D100mm × 45点

年表Chronological tableH470 × W325mm

ATOMIC ELEMENTS は、幾何形態をベースに、身体・道具・素材といった複数の要素を多角的な視点で掛け合わせ、形態を展開していくプロジェクトである。本作は、「バウハウス」と「ウルム造形大学」に共通するカリキュラム[基礎課程]に着目し、双方に流れる思想を調査・分析・再考していった結果導き出された。結果よりも形態の展開プロセス自体を目的とし、技術とデザインの連携を推進すると共に、身体性を欠くことなく制作していくこと、デザインにおける領域を横断しながら制作していくことを目標とした。

庄司竜郎

20世紀いっぱいかけて磨き上げられたモダンデザイン。この時代を生きた世代にとって、この領域は手垢にまみれた領域のように映る。しかし、平成生まれの学生にとっては、未知であるばかりでなく、可能性に満ち溢れた領域でもあるのだ。デッサウの石畳を歩き、ウルムの教室の扉を開ける……。アルバースの基礎造形、アイヒャーの組版。庄司の卒業制作は、身体と思考、技芸と美学の記録である。

視覚伝達デザイン学科教授 白井敬尚

見里朝希Misato Tomoki

作品写真:あたしだけをみて
作品写真:あたしだけをみて
作品写真:あたしだけをみて

あたしだけをみてLook at me only

映像|羊毛フェルト、コマ撮りアニメーションVideo|Wool felt, stop motion animation7min30sec

ガールフレンドと付き合い始めた頃のドキドキした気持ちや、彼女の魅力をいつの間にか忘れ、「モルモット」ばかり可愛がる日々を送る主人公。そんな中、お花の美女に出会う。モルモットに嫉妬するガールフレンドに比べ、モルモットの良さを理解してくれるお花の美女に惹かれていくが…。一人称視点によるカメラワークで送る、人形コマ撮りアニメーション。

見里朝希

この作品はフェルト人形が日常生活の舞台で生き生きと動いて、男女の物語を語る素晴らしいアニメーションである。作者の丁寧な人間観察と真摯なモノ造りから生み出された人形の豊かな表情にはアニマが宿っている。さらに観客は人と人との関係よりもモノや情報に振り回される現代社会の問題への警鐘を聞くことになるだろう。「学び」とは「真似ぶ」を語源とすると言われている。見里君は自ら学ぶことにこの4年間で覚醒した。この作品は見里ワールドの始まりだ。

視覚伝達デザイン学科教授 陣内利博

三井瑛乃Mitsui Akino

作品写真:河童人考察
作品写真:河童人考察
作品写真:河童人考察

河童人考察consideration of kappa-jin

BookH297 × W420mm H210 × W297mm

「河童と日本人には、ただならない関係がある。」この仮定から始まり、「河童とは故郷であり、河童人とは故郷を想う者のことである。」この結論に至るまでの考察である。
河童人とは、河童と関係を持つ者のこと。河童人の生い立ち、特に故郷・幼少期の記憶は彼ら自身を構成するのと同時に、彼らを河童人たらしめる重大な要素でもある。作者の三井自身も含め河童人は、河童と故郷に呪縛される、だがそれは存外心地の良いものだ。

三井瑛乃

三井さんは幼い頃から河童に興味を持ち、本制作においてまず日本文化史に登場する河童の調査から始めた。そこには彼女のいうところの「河童人」なる人々が沢山いたのだ。今回彼女が描いたのはその一部、小川芋銭、柳田國男、芥川龍之介、水木しげるらであり、彼女自身も自らが河童人であることを覚醒するに至っている。彼女は今回、河童そのものを描かずに「河童人考察」と彼らが河童人となったエピソードを絵本にした2冊の書物を作った。彼女の調査力、編集力、想像力、表現力が凝縮された楽しい本である。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策

矢入幸一Yairi Koichi

作品写真:余白の再構築
作品写真:余白の再構築
作品写真:余白の再構築
作品写真:余白の再構築
作品写真:余白の再構築

余白の再構築Reconstruction of the blank space

ポスター|紙Poster|PaperH1030 × W728mm ×18点 H728 × W515mm ×6点

BookH257 × W182mm

平面作品における余白や間はセンスによってコントロールされている。
僕はそう思っていた。
僕はカンディンスキーの“点線面”という本を読み、
その書物を自分の言葉で再編し、書物内に書かれている余白の関係を検証し、独自の余白論を制作した。
その余白論を基軸に、第一段階としてカンディンスキー、マレーヴィチ、モホリナジの三人の絵画を解体し、グラフィック作品に再構築した。
そして第二段階としてそれぞれの作品の余白の骨組みを抽出し、その骨組みにメッセージを組み合わせたオリジナルのグラフィック作品を制作し、最後に各作家の図形や色使いのくせなどを把握するためにダイヤグラムを制作した。

矢入幸一

三年次の広告の授業でアイデアとコミュニケーションを学んだ矢入くんは、平面作品を制作する過程で「余白」はセンスによってコントロールされているのか、ロジックによってコントロールは可能なのか、との疑問を抱き卒業制作に挑んだ。この研究作品の素晴らしさはカンディンスキー、マレービッチ、モホリナジの絵画の「余白」の関係を段階的に解体・再構築した方法のみならず、自ら「余白」の解釈としてグラフィック作品をデザインし、結実した点にある。黒一色にした展示空間の企画構成も特筆に価する。

視覚伝達デザイン学科教授 本田和男

脇有香里Waki Yukari

作品写真:うつろいゆく藍
作品写真:うつろいゆく藍
作品写真:うつろいゆく藍
作品写真:うつろいゆく藍
作品写真:うつろいゆく藍
作品写真:うつろいゆく藍

うつろいゆく藍Ephemeral indigo

BookH250 × W200mm ×20点

年表|蛇腹綴じChronological table|Bellows foldH420 × W3810 × D200mm

古くから人々に愛されてきた藍。なぜ人は藍に惹かれるのか。藍と向き合う中でその魅力は「うつろい」にあると感じ、二つの視点で藍のうつろいを表現するため年表と本を制作した。歴史という大きな時の流れの中で、立ち位置が変動していく藍。藍染めという短い時間の中で、微細ながらも刻々とうつりかわる色たち。うつろいとは時の流れであり、変化である。藍には知られざる奥行きがあり、儚く、そして美しい。

脇有香里

脇さんは藍染めの現象の中に不思議な色のうつろいを見た。私達の日常の色彩経験も実際は固定化されたものではなく常にうつろう。彼女は人類史の中で「藍」がどのように生まれて来たかというマクロ的な視点と、藍染めのさい手許で起こるミクロ的時間の中に生じる微妙な変化とを並列することで、その「うつろい」の可視化を試みた。あくまでも実証的で即物的な記述でありながら、最終的にその作品は藍を通して色彩のうつろいを現す視覚詩となった。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策