岩嵜博論

岩嵜博論(いわさき・ひろのり)
IWASAKI Hironori

専門
ストラテジックデザイン、ビジネスデザイン
Strategic Design, Business Design
所属
クリエイティブイノベーション学科
Creative Innovation
職位
教授
Professor
略歴
2021年4月着任
1976年滋賀県生まれ
京都大学経営管理大学院 博士後期課程修了
学位:博士(経営科学)
研究テーマ
新製品・サービス開発、イノベーション開発、新規事業開発などにおけるデザイン方法論の活用。

国際基督教大学教養学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了後、博報堂において国内外の企業のマーケティング戦略立案やブランドコンサルティングに従事。イリノイ工科大学 Institute of Designに留学し Master of Design Methodsを取得。帰国後は博報堂ブランド・イノベーションデザイン局部長として、デザイン方法論を活用したイノベーション開発や新製品・サービス開発のコンサルティングをリード。その後、博報堂の新規事業開発部門であるミライの事業室にて、新規事業開発やスタートアップ投資に携わる。博報堂DYホールディングス戦略投資推進室や投資先スタートアップ企業の社外取締役を兼務した。在職中に京都大学経営管理大学院博士後期課程において博士(経営科学)を取得。主な受賞にRed Dot Award: Communication Design、D&AD Awards Design Transformation Categoryなど。著書に『機会発見―生活者起点で市場をつくる』(英治出版)、共著に『アイデアキャンプ―創造する時代の働き方』(NTT出版)など。

Hironori is a professor at Department of Creative Innovation, Musashino Art University in Tokyo, where he teaches business strategy and design practice. He is specialized in strategic design and business design. As a business designer, He has been leading innovation projects and new product / new business development projects for major companies in Japan for more than twenty years. He had been working on branding, innovation, new business development and startup investment during his tenure at Hakuhodo. He has been awarded many awards including Red Dot Award Communication Design and D&AD Awards Design Transformation Category. He received master’s degree from Institute of Design, Illinois Institute of Technology and PhD in Management Science from Kyoto University.


研究テーマ

1. ストラテジックデザイン
マーケティングやブランディング、事業開発などのビジネスと、デザインリサーチやサービスデザインなどのデザインの両方の経験を持つハイブリッドバックグラウンドを活かし、デザイン方法論のビジネスにおける活用を研究対象としている。
ストラテジックデザインとは、人間や文脈に対する深い共感を起点にビジネスの機会を探索し、戦略立案と実行を通じて企業の持続可能な成長をリードする方法論である。不確実で複雑化する社会において、改善型のビジネスアプローチだけでは持続的なビジネスの成長が困難になりつつある。デザインの方法論が持つ厄介な問題に向き合う力が未来のビジネスには求められている。
そのために、人間や文脈を深く理解するデザインリサーチや、未来シナリオを探索する未来洞察、多様なステークホルダーとの価値共創、社会的な存在意義を指針に社会的責任を果たす事業のあり方を模索するパーパスなど、持続的なビジネスのデザインを行うための方法論を研究対象としている。

2. ソーシャルイノベーション
日本社会は成長期から定常的な成熟期に入り、これまでの大都市や大企業中心の社会経済モデルから、地域や中小事業者も中心となり得る多様で多極的な社会に移行しつつある。このような新しい社会において、社会をよりよい姿に変革していくためのソーシャルイノベーションが求められている。
ソーシャルイノベーションを取り巻く世界は複雑で不確実なものだ。こうした状況に対してデザインの方法論の活用が期待されている。デザインはこれまでの一部の専門家だけが担うものからより広範囲の市民や生活者が活用し、あるべき社会を創造するための道具となりつつある。
デザインの方法論でソーシャルイノベーションを実現するための研究を行っている。具体的には、スマートシティなどのデジタル✕地域経済のデザイン、サーキュラーエコノミー/循環経済を実現する地域エコシステムのデザイン、リビングラボのような地域の資源を活用したインキュベーション基盤のデザインなどを研究対象としている。

3. 政策デザイン
複雑化する社会において公共政策領域におけるイノベーションが求められている。官僚制に代表されるような画一的な政策を効率的に大量供給するこれまでの行政のあり方から、状況に適応した政策を臨機応変かつ動的に実行する次世代ガバナンスのあり方が求められている。
このような状況においてデザインが貢献できる領域が拡大している。世界ではデザインの方法論を活用した政策立案と実行の実践と研究が広く行われている。武蔵野美術大学ソーシャルクリエイティブ研究所・政策デザインラボでは、政策デザイン領域における研究と議論を多様な関係者とともに重ねてきた。
デザインの方法論を活用し地域の課題を解決する政策デザインの方法論と実践を研究対象としている。自治体との産学連携活動などを通じて政策デザインの可能性を探索し、未来の社会デザインにつながるデザイン方法論を研究している。

教育活動

ビジネスとデザインのハイブリッド人材の育成
ビジネスとデザインのハイブリッドバックグラウンドを持つ教員として、ビジネスとデザインを往復する教育活動を行っている。
ビジネス系科目の中ではマーケティングやブランディングなどを、デザイン系科目ではデザインリサーチや未来デザインなどを担当している。ビジネスの方法論をデザインに活用する一方で、デザインの方法論をビジネスに活用することで、両者を融合する教育活動を行っている。
こうした教育活動を通じて、デザインとビジネスの双方を理解する次世代型ビジネスリーダーの育成を目指している。

実践と理論の往復によるメタデザイン人材の育成
ビジネスのケーススタディや産学連携系科目を通じた実践をフィールドにした学びに加えて、これらの実践を概念で捉えるための理論的な学びを交差させることで、実践で起こっていることをメタ的に理解し、他の実践に転用することができるメタデザイン人材の育成を行っている。
20世紀は、計量的な手法でビジネスをマネジメントすればよかった。社会が複雑化する21世紀はこれらに加えて、創造性などのこれまでブラックボックスとしてマネジメントの対象外だった領域を含めたマネジメントが必要になる。
創造性をマネジメントのツールとして活用し、新しいビジネスをリードする人材を育成するために、実践と理論の往復によって獲得する概念構築力・メタ認知力の育成を重視している。

主な著書

  • 岩嵜博論、佐々木康裕『パーパス 「意義化」する経済とその先』NewsPicksパブリッシング、2021年
  • 岩嵜博論『機会発見――生活者起点で市場をつくる』英治出版、2016年
  • 田中浩也、門田和雄、久保田晃弘、城一裕、渡辺ゆうか、津田和俊、岩嵜博論、すすたわり、水野大二郎、太田知也、松井茂『FABに何が可能か 「つくりながら生きる」21世紀の野生の思考』フィルムアート社、2013年
  • 中西泰人、岩嵜博論、佐藤益大『アイデアキャンプ―創造する時代の働き方』NTT出版、2011年

受賞等

  • D&AD Awards Design Transformation Category: Graphite Pencil(2020年)
  • ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS 総務大臣賞/ACCグランプリ(2019年)
  • Spikes Asia: Gold (Creative eCommerce)(2019年)
  • ADFEST: Silver (eCommerce)(2019年)
  • Red Dot Award: Communication Design(2016年)

委員等

  • Cannes Lions Creative eCommerce部門 審査員(2021年)
  • 経済産業省 サービスデザイン研究会 委員(2019年)
  • 経済産業省「消費者理解に基づく消費経済市場の活性化」研究会 委員(2017年)
  • 総務省情報通信研究所「ファブ社会」の基盤設計に関する検討会 構成員(2014年)
  • 総務省情報通信研究所「ファブ社会」の展望に関する検討会 構成員(2013年)
  • FAB9 (The 9th International FAB Lab Conference) 運営委員(2013年)
  • EPIC (Ethnographic Practice in Industry Conference) Tokyo Local Committee(2010年)