造形演習Ⅰ 1年次開講

造形実習Ⅰの作品をまとめたポートフォリオの表紙と名刺課題

人間の視覚特性を学び、デザインリテラシーを高める

中学生の頃からプログラミングとデザインを両軸にアプリなどのプロダクトを制作しています。高校生の時に「アイカサ」という傘のシェアリングサービスのUIデザインを担当して、デザインの価値を実務から理解できたことをきっかけに、真剣にデザインを学んでみたくなってクリエイティブイノベーション学科を志望しました。
造形演習Ⅰはさまざまな表現に欠かせないデザインリテラシーを学ぶ授業で、アナログ、デジタルの双方で作業しながら錯視や色の対比効果など人間の視覚特性を学んでいきます。独学で感覚に頼る部分が多かった私には新鮮な発見が多く、グラフィックやプロダクトにも興味が出てきたし、デザインの選択肢も増えたと感じます。今は大学の授業と並行してスタートアップのデジタルプロダクトデザイナーとして働いていますが、ムサビの学びを生かしてデザインの価値を実感的に届けられるデザイナーになりたいと思うとともに、表現の可能性をより検証し、追求したいと思います。
(1年|中本八尋さん)

フィールドリサーチ演習Ⅱ 2年次開講

『家族で外食に行く潜在的な意味の研究と新たな外食サービスの提案』。フィールドリサーチ演習では論文の執筆方法も学び、各学生が研究結果や考察、企画提案を論文にまとめる

分析結果を丁寧に読み解くことが、アイデアを発想する手がかりになる

フィールドリサーチ演習は2年間かけて取り組む必修科目で、1年次はアンケート調査の設計や実施の仕方、分散分析や因子分析といった統計技法を使って調査結果を分析する方法を学び、小平市と協働して地域が抱える問題解決の企画提案に取り組みました。数量的な分析スキルを獲得する1年次を経て、2年次はIPAやSCATなど質的分析法を学んだうえで、「家族で外食に行く潜在的な意味の研究と新たな外食サービス」の企画提案を行いました。
調査では同級生にインタビューを行ったのですが、インタビューの言語記録を地道に分析していると、アンケートや単なる会話では見えてこない対象者の思考やニーズが現れてくるようで、量的分析とは違った面白さを感じました。分析結果をもとに提案したのが、家族でゆったりと過ごせるようなラーメン屋さん。丁寧な分析がアイデアを発想する重要な手がかりとなることや、新たなイノベーションを導き出す可能性を秘めていることを実感できました。
(2年|新名さくらさん)

クリエイティブテクノロジー演習 3年次開講

『Vibrate unknown』

木、単管パイプ(鉄)、PC、スピーカー|H1700 × W1100 × D400mm

クリエイティブイノベーション学科とソーシャルクリエイティブ研究所が主催した「クリエイティブテクノロジーフォーラム2021」では動画として作品発表

プロトタイピングのプロセスも実体験できたグループワーク

基礎課程では情報表現演習という必修科目でProcessingやArduinoのプログラミングや電子工作の基本を学びます。クリエイティブテクノロジー演習はその学びを応用して、テクノロジーを使ったインタラクティブな作品を制作する選択科目で、「市ヶ谷キャンパスの学生生活をより豊かにすること」をテーマにグループワークに取り組みました。
私たちが制作したサウンドインスタレーションは、市ヶ谷キャンパスからキーボードでテキストを入力すると、鷹の台キャンパスに設置したスピーカーから大音量の音声として発せられるというもの。私たち自身のモラトリアムな感情を起点に、モヤモヤした気持ちや鬱憤が遠隔地で拡散されてその場に影響を与えることで、世界とのゆるやかなつながりを感じたり、自らの存在意義を肯定できるような体験をつくり出すことを目指しました。制作中はプロトタイプの提出も必須で、ユーザーの反応を観察し、そこで得られた気付きや手応えを制作に生かすプロセスも実体験できました。
(3年|山田滉将さん)

産学プロジェクト実践演習 3年次開講

廃校の利活用提案。地域で獲れる仔稚魚を顕微鏡にセットしたり、図鑑や虫かごなどを教室に集めて自由に遊びを創造できる空間を提案

大分県日出町に滞在し地域資源の再価値化に取り組む

基礎課程で獲得したものの見方や表現を、社会で応用するための実践的な学びが産学実践演習です。クリエイティブリーダーシップコースの大学院生も加わって約2ヶ月間、企業や自治体、NPOとプロジェクトに取り組みます。私が参加したのは大分県日出町の地域資源の再価値化に取り組むプロジェクト。6人のチームで2週間以上現地に滞在し、自治体や第一次産業の従事者の方々を訪問し、地域の魅力や抱えている課題などを聞き取り調査しました。
初年度の取り組みでフィールドリサーチ色が強い滞在となりましたが、調査で発見したことや気付きをもとに各学生が企画提案し、私は廃校となった旧南端小中学校に残されたさまざまなモノを教室に集めて利活用するアフタースクールや秘密基地のような“場の開放”を提案しました。子どもの興味や関心、好奇心から主体的に遊びを創造できるような空間づくりにこだわり、子どもたちが想像以上にその場を楽しんでくれたことはうれしい驚きでした。
(3年|槻木とわさん)