本学教員の研究活動を一層推進させることを目的として、教員が特定の研究課題について自主的にプロジェクト・チームを編成し共同で行っている研究や、教育方法の工夫改善を中心とした教育改革の取組に対し、大学は審査を行った上で研究費を助成しています。

共同研究・教育改革助成一覧

2020年度

共同研究

研究代表者 研究課題 概要
遠藤竜太 平版印刷術における原初的技法を記録保存するための調査・研究 220年ほど前に発明された平版印刷術は、オフセット印刷へと進化を遂げたが、一方でその元となった原初的な石版技術は継承されずに失われつつある。本研究は、数多くの美術作品を生み出してきたその原初的な石版画の技法を記録し、さらに現代の美術表現において新たな活用の可能性を提示することを目的とする。
小林昭世 向井周太郎コンクリートポエトリーアーカイヴ研究 本学美術館図書館に向井周太郎名誉教授より寄贈されたコンクリートポエトリー(具体詩)作品群を研究対象とする。個々の作品の制作記録に背景等の作品に対する文脈情報を加え、アーカイヴの充実に寄与することを目的とする。制作背景に関する情報は、20世紀の文芸運動、批評運動、美術思想などにより、現代デザイン史研究を総合的に補完することが期待される。
加藤幸治 美術大学における民俗資料の活用をめぐる基礎的研究 本学所蔵の民俗資料は国内最大級の規模を誇り、学史的にも重要なコレクションである。本研究では、資料の核として位置付けられる「旧日本民族文化博物館コレクション」の全体像を把握し、美大ならではの教育・研究への利活用の可能性について検討し提言をまとめることを目的とする。

教育改革

計画代表者 計画名称 概要
冨井大裕 展示と冊子制作による制作者と執筆者の育成計画Ⅳ(2020)
(府中市美術館/大学院彫刻コース/大学院芸術文化政策コース連携)
本学大学院修士課程彫刻コースと芸術文化政策コースの連携で2004年から継続的に行われてきた、公開展示と冊子制作による学科を横断する大学院カリキュラム。個々の作品と批評の発表の場としてだけでなく、表現とそれが行われる場所=制度についての批評、考察の機会として展覧会と冊子を積極的に活用する。「表現をするということ。その公共性から見える世界をどの様に記述(制作/批評/行為)するか」この問いへのアプローチを通じて、自立した作品制作研究を目指す学生と批評活動等の文筆者を目指す学生を育成する。
若杉浩一 高度デザイン人財教育を目指した芸術教育の地域イノベーション展開と学びの社会実装プロジェクト 高度循環資源(竹)をテーマに、アジア各地の情報収集や、人材の招聘により国内の専門家、地域行政、産業、子供達そして本学学生との交流を行い、継続的な活動として実践するための、リレーションデザイン手法を開発する。
高橋陽一 教職コミュニケーション能力を主眼とする総合学習と特別支援教育の授業改革 2019(令和元)年10月23日に開催された美術と福祉プログラム(介護等体験)の外部評価委員会において提携する小平市の6つの社会福祉施設から異口同音に、教員を志望する学生としての障害者・高齢者との対話力や施設職員との信頼関係の醸成が課題として提起された。この課題を「教職コミュニケーション能力」の獲得として捉えて、美術教員養成に位置づけて「特別支援教育」と「総合的な学習の時間の指導法」の授業内容の改革に取り組むものである。

2019年度

共同研究

研究代表者 研究課題 概要
荒川歩 美大的創造的思考力の計測と教育技法の開発 創造性の理解と測定については従来多くの研究が為されてきたがどれも成功したとはいえない。しかし、そもそも一般に研究される創造性は、流暢性、柔軟性、独自性として定義されることがあることから示されるように、美大で期待され、養成される能力とは異なるように感じられる。そこで、本研究では、(1)美大的な意味での創造的思考能力を把握し、(2)それを測定する技法を開発する、さらには(3)どのような教育・経験がこの能力の発展に寄与するかを検討することを目標とする。
小薮大輔 玉川上水、生き物たちのリンク
~芸術と科学と映像のコラボレーション~
過去3年間の共同研究「地球永住計画」の玉川上水調査で得た成果をベースに、玉川上水のタヌキを中心に、スカベンジャーの糞虫、シデムシその他の昆虫、草木その他の生きもののリンクを映像化する。
松葉一清 横浜市における都市デザインと「パブリックアート」に関する総合的研究 地方自治体として先進的な都市造りを実践した横浜市のパブリックアートを調査対象に、都市計画と屋外芸術の関わりを研究する。同時に、現存する作品の体系的データベースを構築し、維持管理の課題を抽出するとともに、21世紀におけるパブリックアートのありかたを考察する。
高橋陽一 帝国美術学校教員たちの専門的美術教育への視野 本研究は、帝国美術学校の全教員の履歴等のデータと資料を収集することで、帝国美術学校の教育目的と教育内容を明らかにするものである。本学100年史編纂をはじめ、学内外の美術研究・歴史研究に寄与することをめざす。
三澤一実 「朝鑑賞」の検証と鑑賞を核にした新たな教育プログラムの開発 旅するムサビから派生した朝鑑賞は所沢市の中学校で3年前に始まった。成果は教員の指導能力向上、生徒の学習に向かう力、表現力の向上等が認められ中学校の様子が大きく変わってきた。本研究では「朝鑑賞」の分析と普及、鑑賞を核にした新たな教育プログラムの開発に取り組む。

教育改革

計画代表者 計画名称 概要
冨井大裕 展示と冊子制作による制作者と執筆者の育成計画III(2019)
(府中市美術館/大学院彫刻コース/大学院芸術文化政策コース連携)
本学大学院修士課程彫刻コースと芸術文化政策コースの連携で2004年から継続的に行われてきた学科を横断する大学院カリキュラム。作品の制作過程から展示までを、彫刻コース学生が芸術文化政策コース学生に公開。双方議論の場を作り、批評の場としての冊子を共同制作することにより、自立した作品制作研究を目指す学生と批評活動等の文筆者を目指す学生を育成する。
高橋陽一 特別支援教育と総合的な学習の時間の指導法を焦点とした新しい教職課程の改革 再課程認定による新しい教職課程が2019年度より始まり、教科書『特別支援教育とアート』と『総合学習とアート』活用による学習成果検証テストなど、「美術と福祉プログラム」による造形ワークショップの可能性を踏まえて新科目「特別支援教育」と「総合的な学習の時間の指導法」により学生の力量形成を目指すものである。成果は『造形と教育』第13号と第14号で公表する。

2018年度

共同研究

研究代表者 研究課題 概要
伊藤真一 フィリピンソルソゴン地域における持続可能なハンディクラフトデザイン研究 開発途上国における持続可能な産業振興の研究。フィリピン共和国の地方都市、ソルソゴン州の小規模手工芸生産者の製品群を対象として原材料入手、生産、流通、の持続的なサイクルが可能となる製品デザインとその価値を伝達するデザイン手法を研究する。
黒川弘毅 清水多嘉示の美術教育と武蔵野美術学校Ⅱ 清水多嘉示が残した資料のうち、戦後期の武蔵野美術学校時代に焦点を当て、その制作活動と美術教育を含む広範な社会活動への関与を検証する。本学が創立90周年を迎える2019年に、本学美術館において「清水多嘉示資料展」第3期を開催する。
戸田裕介 20世紀後半の彫刻概念の再構築
―「量塊」に対する「被覆」を中心に―
本研究は、主に20世紀後半以降の日本の彫刻について、量塊性に依拠する造形にその成立基盤を置くものとは異なる、構造を被覆する表面によって成立する彫刻の系譜を確認するものである。それを出発点に、より広範な彫刻の構造と表面の関係や表面そのものの意味と機能を再考し、新たな彫刻的認識の導出を目指す。

教育改革

計画代表者 計画名称 概要
伊藤誠 展示と冊子制作による制作者と執筆者の育成計画II(2018)
(府中市美術館/大学院彫刻コース/大学院芸術文化政策コース連携)
制作者、研究者を育成するためのプログラムとして、作品制作、批評、アートマネージメントといった専門性の高い学生が相互に批評し合う場を作り、美術館に対してより積極的な鑑賞の場を提示することを目指した。本年はゲストの作家を迎えた展示構成となった。会期中に府中市内の小学生を対象とした大学院生によるワークショップを行った。
三代純平 留学生のキャリア・デザインのための教材開発 近年、本学の留学生は急増し、2019年度現在、約500人が在籍している。
日本国内での就職をめざす者も多いため、留学生そして美大生という特殊性を併せ持った就職対策をサポートする教材が必要である。
そこで本研究では、美大の留学生が日本の就職活動について学ぶことができる、自己分析、ES作成、面接、ポートフォリオ等の情報と記述型のワークシート及び卒業生の体験談から構成される教材を開発する。

2017年度

共同研究

研究代表者 研究課題 概要
内田あぐり 日本画の伝統素材「膠」に関する調査研究 日本画の伝統素材「膠」の途絶えた製造技術を解明し、膠が日本の造形文化に与えた影響を調査する。日本画と台湾の膠彩画に共通する表現技法の比較・検討を行い、帝国美術学校の卒業生の作品を中心に近代日本画をアジアの視点から捉え、現代日本画の概念や今後のあり方を再考する。
川口起美雄 15世紀~17世紀から現在に至る西洋古典絵画技法の解釈とその展開のための基礎的研究 ルネッサンス期に確立した絵画技法の基本は500年に渡って、その時代により、又、風土生得的に形を換え乍ら現在へと繋がっています。本研究では15~17世紀のテンペラ技法、混合技法、油彩の諸技法の実際を提示し、その理解の上に学生自らが表現の再構築へと向かう事をめざしています。
朴亨國 金原省吾の教育とその成果について 本研究は、帝国美術学校から武蔵野美術学校に至る本学の歴史の中で金原省吾(1890~1958)が実践した教育の実像を闡明し、金原の謦咳に接した学生たちの卒業後の教育と制作の活動において、その成果を具体的に検証することを目的とする。

教育改革

計画代表者 計画名称 概要
伊藤誠 展示と冊子制作による制作者と執筆者の育成計画 制作者、研究者を育成するためのプログラムとして、作品制作、批評、アートマネージメントといった専門性の高い学生が相互に批評し合う場を作り、美術館に対してより積極的な鑑賞の場を提示し、府中市美術館の彫刻に対する鑑賞の場を広げることを目指した。会期中に府中市内の小学生(若松小学校)を対象とした大学院生による鑑賞ワークショップを行った。
是枝開 図書館を活用した美術教育実践展示の試み 通常展示に使用しない大学図書館の空間を活用した展示行為の可能性を考えていく。展示は教職課程の学生が、全国の優れた小中学校の授業作品を展示し、児童生徒の素直な作品から表現のヒントを得たり、また表現の原点を振り返ったりし、美術教育の理解を深める機会とする。
志田陽子 美術教育の一環としての法・社会倫理教育の改善 法学分野の知識提供方法について、学生と連携することで視聴覚的要素を取り入れる改善を行う。具体的には、「教職課程憲法」と「表現活動と法」の二分野の教科書出版、憲法の基本内容と背景歴史を解説するスライド・動画の作成において、美術・デザイン系の学生の力を借りて内容形成を行う。
高橋陽一 特別支援教育と総合的な学習の時間を担う美術教員養成のための「美術と福祉」授業改革 教職課程の介護等体験を近隣6つの社会福祉施設と提携して実施して20年目となる「美術と福祉プログラム」の授業内容の改善に取り組んだ。成果は『造形と教育』第11号で公表し、『特別支援教育とアート』と『総合学習とアート』(ともに武蔵野美術大学出版局)として刊行した。

2016年度

共同研究

研究代表者 研究課題 概要
井口博美 地方創生都市の将来構想デザインに関する調査研究  ~房総ライフデザインプロジェクト 本研究はソーシャルデザインの観点から、地域(千葉県いすみ市)との協力関係の元で美術大学の立場を活かしたアプローチ方法や有効なデザイン方法論について研究・実践し、地域創生に関わる「将来ビジョンづくり」のモデルケースとして発表・展開していくことを目的とする。
黒川弘毅 清水多嘉示の美術教育と武蔵野美術学校 清水多嘉示が残した作品・文書・写真・印刷物などの全資料をデジタル・アーカイブとして公開し、武蔵野美術学校時代に焦点を当てた「清水多嘉示資料展」第3期を本学美術館で開催して、戦後期における清水の制作活動と美術教育を含む広範な社会活動への関与と業績を検証する。
小林昭世 色彩デザインの国際化と教育の再検討 今日の色彩デザインの考え方と方法は、近年の工学、科学、ビジネスの進展を受けて、それぞれの国毎にまた業界毎に多様化している。この研究では、造形の中には色彩デザインの基盤があるとはいえ、色彩デザインの創造力をそれを実現するための仕組みとともに捉え返すことを目標にする。共同研究分担者は、小林昭世、吉田慎悟、白石学。
関野吉晴 地球永住計画/この星で生き続けるための物語 ~芸術と科学と地域のコラボレーション~ 火星移住のための調査研究は、この地球が命を育むのに如何に奇跡的な星かということの再認識でもありました。この奇跡の星を私たちが生き続けていくためにはどうしたらいいのか。この壮大な課題に科学者や芸術家、市民がともに向き合い、アートで表現します。
三澤一実 美術の学びを伝える「美術の学力見える化プロジェクト」の研究 義務教育においての図工美術の必要性や重要性、また美術教育で育つ学力を、授業記録を取りながら、どの様な学力が育つか分析し、その内容からポスターや映像を作成し日常的に校内に展示していく。保護者や一般の市民に理解できるプレゼンテーションを考える。

教育改革

計画代表者 計画名称 概要
原研哉 基礎デザイン学科50年の教育プログラム検証と将来の教育プログラム計画 基礎デザイン学科創設50周年を契機として、歴史を振り返るとともに、デザインの現在と未来を展望し、カリキュラムの改革についても検討した。具体的なプロジェクトとしては、東京ミッドタウンデザインハブにて、50年にわたる基礎デザイン学科卒業生の活動を展示し、専任教員それぞれの専門の現在と未来についてのパネルディスカッションを開催し、それらの記録集の刊行を行なった。
高橋陽一 アール・ブリュットを視野に入れた造形ワークショップの記録と表現 アール・ブリュットを社会と美術をつなぐことは世界的な趨勢として捉えるとともに、教職課程に特別支援教育や総合的な学習の時間の指導法を新たに求める改革を視野に入れて、通学9科目、通信3科目の合計12科目の授業を見直して改革を実施するものである。成果は『造形と教育』第10号で公表した。
三澤一実 地方滞在型制作(旅ムサステイ)の開発 旅するムサビから派生した本取り組みは、夏期休業中に地方に滞在し、住民や小中学校との交流を通して学生自身が制作や表現の意味を見つめ直し、制作に対する意欲や、コミュニケーション能力を伸ばし、美術表現を通して主体的に社会と関わる能力を育てていく教育方法の研究である。