ポール・スミス奨学金は、ノッティンガム出身の世界的デザインアイコン、ポール・スミス氏が出資し、優秀で才能ある学生にノッティンガム・トレント大学の修士課程で学ぶ機会を与え、若き才能を育成することを目指すことを目的に実施されました。奨学金留学生のレポートを紹介します。(当該奨学金は2017年度をもって終了しました)

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岸柚伽 / 第8回受給生

空間演出デザイン学科 2016年3月卒業 ノッティンガムトレント大学修士課程 MA Textile Design Innovation 2016年-2017年

写真:岸柚伽

修士課程での学びとは

NTUの修士課程では一つのプロジェクトを一年間で進めていきます。毎週一回のsupervisor(担当教員)との面談に加え、コースリーダーとの面談も月1回程度で行われ、その都度過程を共有しプロジェクトの進行方向を明確化します。学部での学習と異なる点はプロジェクトを進行していく上で研究課程を自ら考察し、どんな手法・素材を使うのか、そこからどんなoutcome(結果)を期待するか、そしてどの部分をどのように改善出来るか、これらを繰り返していき論理的に一つ一つのアクションを説明し記録することが求められます。

ムサビとNTUを比べてみて

コースはKnit Design, Fashion Design, Textile Designの3つで構成されていて専攻の垣根のようなものはほとんど無くスタジオ内はとてもフラットな環境です。設備も驚くほど充実していて各工房に技術面での補助をしてくれるスタッフが在中していたりと制作環境に不自由さは全く感じません。NTUの修士課程はPractice-basedではありますがやはりプロジェクトを通して考察し、人とコミュニケーションをとりそれを反映していく事が重要だと感じます。社会的な側面からのアプローチも必要になってきます。
ムサビでは少しのコンテクストだけで制作を進めていたばかりに独りよがりになったり、作品や過程を言語化し他人に伝達する思考能力はすごく低かったと思います。なのでこちらの学習内容はすごく有意義な経験になっています。

日本とのギャップについて

コミュニケーションの取り方や立ち振る舞いの姿勢など多くの面で日本と似ている印象を受けます。同じ島国だからでしょうか。街は綺麗に整備されているし、過去に住んでいたアメリカと比較しても生活する上でのトラブルや衝突はとても少ないです。ファッションの観点でいうと豹柄・縞馬柄は勿論ボールドな色を身に纏う人が多く、テキスタイルを学ぶ上で視覚的な要素から刺激を貰っています。

語学力とコミュニケーションについて

留学経験もあり言語の違いにストレスを感じることは少ないです。NTUの指定するIELTSのスコアは事前に満たしていたので語学コースは受けませんでしたがイギリス特有のアクセントやスペル、単語の微妙な違いに最初は戸惑いました。学習面ではプロジェクトを進めるにあたってコミュニケーションやプレゼンテーションに語学力は必須です。大学自体は留学生の割合も高く、英語が第一言語でない学生へのサポートはとても手厚く充実しています。