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鈴木杏 / 第5回受給生

デザイン情報学科 2013年3月卒業ノッティンガム・トレント大学修士課程 Fashion, Marketing&Communicationコース2013年-2014年

写真:鈴木杏

クリスマスホームパーティーにて

修士課程での学びとは

NTUでの修士課程は、その大多数が留学生で構成されていています。私の在籍するFashion Marketing and Communicationコースはほぼアジア人で構成されており、英国の文化だけでなく他国の文化も学べてとても刺激的な日々を過ごしております。
こちらの授業は最初の週に自分が研究したい内容のプレゼンテーションを行うと、それらを元に先生側で専任の指導教員(スーパーバイザー)を選んでくれます。現在はそのスーパーバイザーの方と共に隔週に1回研究の進行具合を報告してアドバイスを頂いて進めています。研究の進め方は卒業制作と酷似していてすべて自分次第、自己責任です。その点はムサビ時代と変わらないペースで取り組めるので有難いです。その傍らで技術補助的な役割として週に4日ほど聴講や実技の講義があります。講義は基本的にマーケティングの基礎知識やファッションに関する講義や実技(トレンド調査など)、またアドビ系ソフトの講座などもあります。あくまでも基礎的な内容が多いので、大学時代にそれらを学んでいた場合は担当教員と相談の上別途の課題や講義を受講することも可能なので、そういったフレックスな対応は英国ならではなのかなと感じております。

ムサビとNTUを比べてみて

ムサビ時代を振り返ってみても、あまりNTUとは大きな差を感じませんでした。自分が作りたいものに関してしっかりした根拠が必要であったり、プレゼンテーションを毎回行わないといけなかったり、グループ課題が多かったり、私が所属していたデザイン情報学科の進め方とあまり変わらなく感じました。
一方でこちらでの勉強はとにかくしっかりとした根拠や問題定義が必要であることを痛感しました。ただ面白いから作りたいという気持ちだけではダメで、きちんとした根拠を提示したうえで自身が見つけた独自の問題定義を行い、先生たちを説得しないといけない点が難しく感じました。
また、こちらは学科ごとの垣根がとても低いと思います。自分の研究に必要であれば多学科の講義にも相談次第で受講することができる他、専用の機械も使用することもできます。多学科の学生同士の共同制作も行いやすい環境だと思います。

日本とのギャップについて

私は特にギャップというものを感じることがなく日々を過ごしております。しいて言えば、イギリスは良くも悪くもマイペースな社会だなと思います。何かを頼むと待つのは当たり前、予約を取らないと話を取り合っていただけないこともしばしあります。ですが、郷に入れば郷に従えという気持ちで常に挑んでいるのでそういうものかなと思い日々生活しております。ただ、お願いしていたことを頼んでいても忘れてしまうことが多いのでそこは根気強くお願いするようにはしています。
他にはこちらの人は皆おしゃべり好きだなと感じました。たまたまレストランで隣の席になったり、買い物のレジで並んだりするとよく話しかけられたりします。その時は、口下手ながらもできる限り会話を楽しむようにしています。

語学力とコミュニケーションについて

私は渡航前の語学力がIELTS6.0だったので、大学院に入学する前に6週間の語学コースに入学しました。スピーキングやヒアリングには特に苦労することがありませんでしたが、私が在籍しているFashion Marketing and Communicationコースで一番重要なライティングが全くできず、語学コース時代はとても苦労をしました。現在も大学側が用意してくださっている留学生向けの語学強化クラスのサポートを受けながら英語を学んでおります。
他にも独学として最近は大好きな英国ドラマを繰り返し視聴したり、興味ある書籍を買って読んだりしています。語学は学ぼうと思うと続かないものですが、了見を広めるために、好きなものをもっとよく知るために理解しようとすると長く続くと思います。
実際のコミュニケーションに関してですが、もともと英国のアクセントのほうが聞き取りやすいので特に苦労はしませんでした。ただ、私個人はアジア系の訛りが聞き取りにくく大半がアジア系の学生で占めている現在のコースでは時々会話するのに苦労しています。もし、ある程度英語に自信がある方でしたら英国訛りだけではなく国別の訛りにも慣れるといいかもしれません。最近はそのような訛りに対応したアプリなどもあるので試してみてください。

最後に、私は在学中資金面から現役での大学院留学を諦めていました。その際新たにこちらの奨学金が交付され、チャンスだと思いすべてを賭けて今この地で勉強をしています。留学することへのハードルは数年前よりも比較的低くなっていますが、それでもまだ語学の壁や資金の壁、はたまたほかの理由が立ちふさがって中々最初の一歩を踏みづらいかもしれません。それでも強い志がある限り、そのような困難は必ず打破できます。また、一人で悩まず、時には人の手も借りてみるのも大切なことだと留学してから気付きました。私は今たくさんの人々に支えられて生きています。世界はとても広く、私にはまだまだ知らない事柄で満ち溢れています。それでも、残りの留学期間前を見続けてしっかりと己の志を貫きたいと思います。