「武蔵野美術大学研究紀要」は、1963年に刊行されて以来、教員の研究活動を紹介する冊子として、年1回刊行されています。研究論文のほか、共同研究や展覧会等の報告を研究報告として、作品の図版やその作品に関するノートを制作ノートとして掲載しています。

55号(2024年度)

執筆者 論文タイトル
青沼裕之 スポーツの美の固有性について ―ルカーチ美学における芸術美との比較検討から―
藤田尊潮 サン=テグジュペリの小説『戦う操縦士』の決定稿はどれか ―初版フランス語版と英語版の変遷と推敲の過程を追う―
金子伸二 長谷川堯「日本の表現派」3つの版の比較
木田拓也 日本における南宋官窯の受容についての初歩的な考察 ―「琯瑤」をめぐって―
楠根圭子 アントン・マリア・ヴァッサッロ作《マルチェッロ・マストリッリの幻視と殉教》 ―イエズス会における殉教者の表象をめぐって―
新倉慎右 ヴァザーリの『美術家列伝』における彫刻観とその背景 ―彫刻家のモデル利用に関する記述の齟齬にみるヴァザーリの意図―
春原史寛 日本のポップカルチャー・コンテンツにおける「エルフ」表象の展開に関する一考察 ―1970年代以降から現代に至るイメージの変遷をめぐって― 
髙谷智子 素材の物質性がもたらすアニメーションの独自性について
大石紗都子 「古事記」受容から見た吾峠呼世晴『鬼滅の刃』 ―伝承の非連続性と共同体性をめぐって―
稲口俊太 安井仲治《(凝視)》のネガの特定について
佐々木一晋 残余空間に依拠するサイト・スペシフィック・アートの社会展開に関する実践的考察
佐々木幸弥 授業「音響文化研究」実践報告
矢萩理久 彫刻的経験とは何か ―四方対象と有機体の哲学を通して―
間島秀徳 間島秀徳展 天地無常(茨城県天心記念五浦美術館)を終えて
佐藤淳一 事態に翻訳された概念 ―Zoological Landscape Series―

54号(2023年度)

執筆者 論文タイトル
青沼裕之 スポーツ技術美試論 ―中井正一の美学に学ぶ―
藤田尊潮 小説の「視点」と「語り」の問題 ―ジュリアン・グリーンの小説『アドリエンヌ・ムジュラ』とフランソワ・モーリアックの小説『テレーズ・デスケルウ』をめぐって―
今村純子 月と星 ―シモーヌ・ヴェイユと稲垣足穂
貝原千馨枝、柴田邦臣 伝承館・博物館のコンテンツによる類型化 ―震災と地域の伝承から―
古賀稔章 タイポグラフィと幾何学 ―ジョウゼフ・モクソン『印刷文字の三つのオーダーの規則』の思想的文脈―
圓山憲子 整数を法とするRT関数、CWL不変量およびSW関数の合同
村井友樹 スポーツ用品・施設の公認制度の形成について ―日本水上競技連盟による水着とプールの公認に着目して―
大石紗都子 吾峠呼世晴『鬼滅の刃』に関する考察 ―「文学研究」を活かす試み―
鈴木タケル、一川大輔、奥田功夫、北徹朗 ドライバーショットにおける主観的努力度に対する客観的計測値の変化 ―ゴルファーのつもりと実際の結果に着目してー
高橋恵 「座学」を超えて ―Skill別「英文法」授業の可能性
豊田唯 バルデス・レアル、「死の画家」の実像
加藤幸治、大石啓明 中国民間美術コレクションの再調査とデジタル技術を活用した民具展示
林有維 国立女性美術館(ワシントンD.C.)における教育普及プログラムの多様性
飯島学 埼玉の三匹獅子舞からみる今日の民俗芸能伝承の有り様と発展
岩田壮平、川名晴郎 産学連携企画:アサヌマコーポレーション株式会社×武蔵野美術大学日本画学科 ―「コスメ顔料」の特性及び日本画材との混合利用について
小林敦 miniMADImax / SLIT ― かたちをつくるしくみをつくる
栗林隆、岩田壮平、川名晴郎、秋葉麻由子 日本画学科による「ドクメンタ15」への参加 その取り組み経過とこれから
荻山幸子 日本とスペインのアーティストたちのCOVID-19禍 ―日本・スペイン・ベルギーの人々の行動を手掛かりに―
佐々木一晋 地域指向型アートプロジェクトにおけるデザイン・アートワークの地域展開に関する実践的考察 ―国際野外アート展(トロールの森2022)の出展作品を事例としてー
山崎連基 映像の固有性をめぐる考察

53号(2022年度)

執筆者 論文タイトル
青木耕平 1990年代のカート・ヴォネガット ―『タイムクエイク』をポスト冷戦言説から読む―
荒川歩 美大型創造性尺度の作成とその評価
日詰明男 円錐コンパスの一般化と連分数 ―円錐コンピューター―
木田拓也 中尾万三による中国の越州窯の探索 ―青磁の源流を探った日本人―
新倉慎右 《ヘラクレスとアンタイオス》の素描におけるミケランジェロの政治性の再解釈 ―ロレンツォ・イル・マニフィコとの関係と、フィレンツェにおけるヘラクレス図像の利用を通して―
大石紗都子 堀辰雄『羽ばたきEin Märchen』と鳩山郁子漫画 ―コミカライズの可能性―
斎藤國靖 近代絵画(マネ・ゴッホ・ピカソ)における線の復活
里見悦郎 虚血循環環境下の運動処方が身体に及ぼす影響について ―四肢に圧迫帯を装着した運動処方の治療効果に関する考察―
春原史寛 デザイン・アート領域の「イラストレーション」とポップカルチャーとしての「イラスト」 ―1960年代から2000年代にかけてのイラストレーション・イラストの概念・イメージ変遷―
豊田唯 フランシスコ・デ・エレーラ(子)と17世紀後半のセビーリャ派絵画
荻山幸子 日本とスペインのアーティストたちのCOVID-19禍での取り組みとその後 ―サルスエラと日本のフラメンコを中心に―
高橋恵 “Elicit”を考える ― CELTA取得を通して―
横谷奈歩 尾道の二つの地域から浮かぶ戦後の風景と、その残し方
郡祐太郎 食べられるファッション
間島秀徳 FUSION展(大倉集古館)を終えて
山崎連基 映像の連続性をめぐる考察

52号(2021年度)

執筆者 論文タイトル
藤田尊潮 翻訳を通して考えるフランソワ・モーリアック『愛の沙漠』と『テレーズ・デスケルゥ』における「自然」のイメージについて
堀川修平 ジェンダー・セクシュアリティに着目した「総合的な学習」の指導法 ―性教育を担った教師の課題意識と授業実践案に着目して―
紙屋牧子 マキノ雅弘監督『次郎長三国志 第九部 荒神山』(1954年)の異様さについて ―「冤罪」の表象と松川事件との共振性―
笠間悠貴 風景の外部―渡辺兼人「既視の街」について
勝俣涼 彫刻とメランコリー ―マーク・マンダースにおける時間の凍結―
松本隆、宮﨑甲、三枝一将 千葉県館山市那古寺蔵 銅造千手観音菩薩立像(重要文化財)の造像法研究 ―調査記録と脇手構造の解析―
新倉慎右 ミケランジェロの群像彫刻作品における多視点性 ―複数の多視点性と「全視点」彫刻への到達―
里見悦郎 ギラン・バレー症候群患者の安定期リハビリテーション療法について ―高齢期末梢神経障害患者の筋委縮を改善する臨床試験―
菅谷優 映画『ソーシャルメディアの“掃除屋”たち』について ―システムの「粘膜」たちへ―
水師裕、木野将人、田村知子、高橋望 貧困の文脈における「超然消費」概念化の試み
春原史寛 日本における博物館展示論の研究・普及の史的展開についての一考察 ―美術館展示の独自性に注目して―
谷口陽子 ミシガン大学日本研究所の米国人研究者における占領期日本の「衛生環境」への関心と日本へのまなざし
豊田唯 フアン・デ・エスピナルと18世紀後半のセビーリャ派絵画
横田太郎 レオナルド・ブルーニ『口さがない怠け者に対する弁論』と人文学 ―ニッコロ・ニッコリに対置される理想的文人像―
江口響子 3次元CGでの基本立体による造形表現 ―見立ての工夫と初学者のための学習法の検討―
JOU(城之尾薫) クラブハウスの文化創造 ―オンライン社会と芸術文化の未来―
小林昭世 江戸時代色彩意識:茶と灰
熊谷慶 立体形状の握り評価による心理量と感性要素の検証
黒川弘毅 清水多嘉示共同研究の経緯
黒川弘毅 “武蔵野美術大学創立90周年記念 清水多嘉示資料展 ―石膏原型の全てと戦後資料(第Ⅲ期)”と“国際カンファレンス:東アジアにおけるブールデル・インパクト”―
荻山幸子 COVID-19禍におけるスペイン舞踊とフラメンコ界の変化と現状 ―サルスエラと日本のフラメンコを中心に―
横谷奈歩 埋もれゆく歴史と記憶を掘り起こす ―三つの事例を通じて―
長谷川さち 七つの星
柏木優希 自己の介在を減らした先に残る作家性
森山明子 絵画を読み解く「一作一冊」シリーズ
椋本真理子 モチーフの変遷をたどる
永井天陽 「ものたね帳」から
中村葵 自作について ―「ヒューマンの鰓」を中心に―
冨井大裕 ステイトメントを再読する
山本一弥 境界の衣 ―コミッションワークについて―