平岡紘

平岡紘(ひらおか・ひろし)
HIRAOKA Hiroshi

専門
哲学・倫理学
Philosophy and ethics
所属
教養文化・学芸員課程
Humanities and Sciences / Museum Careers
職位
准教授
Associate Professor
略歴
2024年4月着任
1982年埼玉県生まれ
パリ第四大学(ソルボンヌ)大学院ED5「概念と言語」哲学専攻博士課程修了
学位:博士(哲学)
研究テーマ
〈私〉とは何者か、〈私〉はどのように生きるべきかをめぐって、主に20世紀フランスの哲学を手がかりにして考察している。

教育研究業績

主として20世紀フランス哲学の研究を行っています。これまでは第二次大戦後フランスで活躍したユダヤ人哲学者エマニュエル・レヴィナスを対象としてきましたが、近年は研究の軸を20世紀フランスのユダヤ人哲学者ウラジミール・ジャンケレヴィッチに移しています。研究を導く関心を一言で言えば、〈私〉という存在のあり方です。人はみな、それぞれに「私は私である」と考えます。ではその〈私〉とは何者でしょうか。心でしょうか。身体でしょうか。あるいはもっと別のものでしょうか。考えてみると、きちんと答えるのは案外むずかしい問いです。そして生きている限り〈私〉はさまざまなことを見たり聞いたり触れたり、要するにさまざまな経験をします。そうした経験が〈私〉の生を織り上げているわけですが、それでは〈私〉の生はどのような仕方で、どのような形で織り上げられているのでしょうか。これは〈私〉はどのように生きているのかという問いであり、またどのように生きるべきなのかという問いでもあります。こうした問いに哲学的に答えることを目指して、これまでの哲学的思考と対話を重ねています。

近年の業績

My philosophical research focuses on the ego. What do we mean every time we use words like “I” or “me”? Who am I? How do I act in my life? How should I act for a better life? In order to answer these philosophical and moral questions, which at first sight seem easy to answer but are in fact difficult to do so, I have studied 20th-century French philosophy, especially the works of E. Levinas and French phenomenology. Currently, I am delving into the ethics of virtues developed by V. Jankélévitch.


著書

『レヴィナス読本』

『レヴィナス読本』
レヴィナス協会編
法政大学出版局、2022年(共編著)

第二次大戦後フランスで活躍したユダヤ人哲学者エマニュエル・レヴィナスの思想に関心をもつ人に、オーソドックスでありながらも今後10年使えるガイドブックを、という趣旨のもとで編んだ入門書です。内容は全四部構成で、以下のとおりです。
第I部:レヴィナスの来歴など伝記的事実の紹介
第II部:レヴィナスの概念や事項の解説
第III部:レヴィナスの著作のほぼすべてについての内容紹介
第IV部:哲学だけでなく福祉や医療など哲学以外の様々な領域・テーマについてレヴィナスからいかなる論点を引き出しうるかの考察

学術論文

「レヴィナスと顔の現象学――フランス現象学の一側面――」、『哲学雑誌』第137巻第810号、哲学会、2023年10月、pp. 115-133.
「〈私〉の唯一性――「私」と固有名の関わりから――」、『ひとおもい』第3号、東信堂、2021年9月、pp. 64-82.
« « Le langage conditionne la pensée » : Le son et le signe chez Levinas », Tetsugaku: International Journal of the Philosophical Association of Japan, Volume 4, 日本哲学会、2020年5月、pp. 208-223.

研究発表

「レヴィナスとアンリにおける身体の問題」、日本ミシェル・アンリ哲学会第十五回研究大会シンポジウム「アンリとレヴィナス──『読本』同時刊行を記念して」、日本ミシェル・アンリ哲学会(レヴィナス協会共催)、神戸女学院大学、2023年6月10日。
「ジャンケレヴィッチ『第一哲学』における直観概念」、哲学会第61回研究発表大会、東京大学本郷キャンパス、2022年10月29日。