相原優子

小澤智子(おざわ・ともこ)
OZAWA Tomoko

専門
近現代における移動の歴史、英語の教育
Mobility Studies, history
所属
言語文化
Language and Culture
職位
教授
Professor
略歴
2007年4月着任
1977年埼玉県生まれ
津田塾大学大学院文学研究科 後期博士課程満期退学
博士(文学)
研究テーマ
19世紀の横浜外国人居留地を起点とした人びとの移動と文化史、占領期の移動と文化史。

Tomoko Ozawa is a historian whose research explores the transpacific movements of people, things, and ideas in the field of area studies, in particular American Studies and Japan Studies. She focuses on the histories of individual mobility in relation to social constructions of gender, race/ethnicity, and social class, or the deconstruction of nationalism. Her recent works concentrate on the historical development of the “Japanese” tea trade in the Yokohama settlement and American consumption of tea in forms of “Japanese tea parties” in the late 19th century as well as the historical representation of people’s mobility in print media. She enjoys supporting students develop their language skills and enhance cultural understanding.


論文

  • “Charles Wirgman’s Moving Images: Mobility Portrayed in Yokohama.” Journal of the Japanese Overseas Migration Museum 15 (April 2021): 1-26.
  • 「アメリカの新聞報道が語るワカマツ・コロニー」JICA横浜海外移住資料館『研究紀要』第12号(2018年3月):23-48頁。

書籍

  • 板津木綿子編著『食と移動の文化史――主体性・空間・表象をめぐる抗い』彩流社、2021年3月(共著)
    第1章「『日本茶』の環太平洋史――横浜での製茶貿易とアメリカでの消費」(21-84頁)、第5章「料理書『日本料理と作法』――恵泉女学園への留学生による『日本文化』の表出」(259-306頁)、「コラム――横浜の風刺画誌『ジャパン・パンチ』にみる飲食物」(85-91頁)、「コラム――ホワイトハウスの『台所事情』」(137-147頁)
  • 海外移住150周年研究プロジェクト編『遥かなる「ワカマツ・コロニー」――トランスパシフィックな移動と記憶』彩流社、2019年12月(共著)
    第2章「新聞報道にみる初期の移動――横浜からハワイ・サンフランシスコへ」(59-135頁、注13-36頁)
  • Japaneseness across the Pacific and Beyond, Tokyo: Sairyūsha, 2019(編著)

口頭発表など

  • 「幕末・明治初期のジャパニーズネス」移民研究会2020年1月例会
  • 「東京へ留学中の日系女生徒がつくった料理本(1941年)」移民研究会2019年12月20日例会
  • 「新刊紹介 河原典氏・木下昭編著『移民が紡ぐ日本――交錯する文化のはざまで』」、日本移民学会『移民研究年報』第25号(2019年6月):157頁

研究について

ひとは、どのような理由や条件で「移動」・「移住」するのか。ひとの移動・移住は、個人や社会にどのような影響を及ぼすのか。このような疑問に対して、さまざまな史料を検証しながら事例を分析し、移動・移住にかかわる理論に光をあてる研究調査は、おもしろい。移動にかかわる研究調査では、個人的な動機のみならず、その時代の社会情勢、地域性などの要因を考慮に入れる。近年、移動・移住に関する研究は、歴史学、社会学、経済学、政治学、文学、教育学、ジェンダー研究をはじめとする多様な分野の交差のなかで発展している。
この研究分野に関心を抱いたきっかけには、わたし自身がオーストラリアとアメリカ合衆国と日本で育った個人的な経験が影響しているかもしれない。国内外での生活を通じて文化や価値観の多様性に魅せられ、わたしは移動・移住の研究に惹かれたのだと思う。国境あるいはそのほかの境界線を越えるとき、ひとの帰属意識やひとをめぐる社会的な規範はいかに変わり、なにが変わらず残るのかなどに注目しつつ、今後も、研究を進めたい。

Japaneseness across the Pacific and Beyond
Tokyo: Sairyūsha, 2019

本書は、人種・エスニシティとしての「ジャパニーズネス(日本人性)」がどのように歴史的に形成され、政治的に活用され、文化的に変容してきたのかを切り口とする実証研究の論文集である。本書では、20世紀前半の日本、アメリカ、カナダを舞台に、教育、社会運動、政策、文化活動をはじめ日常生活に浸透する人種・エスニシティ、ジェンダーなどの社会的な要因とその影響を明らかにする。

授業について

担当する授業では、語学に親しみながらコミュニケーション能力をバランスよく高め、多様な文化や考え方についての理解を深められるような課題を設定している。授業の内容は、学生がさまざまな情報に触れながら自立した批判力を養ってもらえるよう工夫を重ねている。武蔵野美術大学で学んだ学生が世界を視野に入れてますます自由に活躍できるよう、教育に力を入れている。
英作文の授業では、書く、書いた文章を見直す、文章を清書するという地道な練習を繰り返す。語彙を増やし、適切な表現を使いこなすためには、実践的に書くことが大事である。中級の英作文の授業では、上級レベルの論文執筆(英語)の前段階として、完成度の高い「パラグラフ」(一つの段落)が容易に書けるようになることを目標としている。さらに学生は、アカデミックな英作文のみならず、手紙、宣伝、プロフィールなどを書く練習を重ねる。学生が適切な表現を使い分ける方法を学ぶ機会を提供している。
英会話の授業では、学生がさらに自信を持って英語を使えるようになることを目指している。まず、特定の場面を設定したうえで、新しい語彙が定着するように英語で話す課題を繰り返す。そして、学生は自分の作品や考え方を説明するときに役立つ表現をさらに身につけられるように、プレゼンテーションなどの練習を繰り返す。学生が積極的に参加し、気軽に発言できる授業環境づくりを心がけている。
文化講義の授業では、特定の専門テーマ(移民研究、移動論、交流史、食文化史、ジェンダー論、人種・エスニシティ論など)について体系的に紹介しつつ、事例に注目する。そして学生が各種の一次資料や二次資料に触れ、それらを多角的に読み解くことにより歴史学的な考察を深められるような課題を設定している。