薄羽涼彌Usuha Ryoya

作品写真:めがでてふくらんで
作品写真:めがでてふくらんで

めがでてふくらんでbudding, swelling

映像|3DCGVideo7min20sec

抽象3DCGアニメーション。魅力的なキャラクターや喜怒哀楽の物語はありませんが、画と音の運動があります。事前に設けた意図に縛られず、自分にも予想のつかないイメージの跳躍が起きるよう、最後まで試行錯誤しながらシーンを連ねていきました。どこからか風が吹いてすべてが揺れている現実の光景を心に留めながら、コンピューターグラフィックスによる映像でこそ可能な表現、想像力、時間感覚を模索しました。

薄羽涼彌

進化をテーマにCGによって抽象化されたモチーフ(手)を展開する作品。重力、反発力、破壊のパラメーターなど物理法則を反映させた変化の流れは、ある種のリアリティーとして作品の魅力となっています。過程で示される行為のメタファーに普遍性すら感じ、タイトなサウンド構成も映像に合っています。
コンピューターグラフィックスにおける操作性の進化が、表現者にとっての可能性を示す作品となっています。

映像学科客員教授 石茂雄

谷田部透湖Yatabe Toko

作品写真:木の葉化石の夏
作品写真:木の葉化石の夏

木の葉化石の夏Summer of Fossil Leaves

手描きアニメーション|紙、鉛筆、アクリル絵具等Animation|Paper, pencil, acrylic paint11min10sec

この作品には、化石に夢中になる2人の少年が登場します。
それは私自身が子どもの頃化石を採って遊んだ記憶によるものです。
そんな楽しかった子ども時代に思いを馳せながら、また、”忘れられてしまうこと、忘れてしまいそうなこと”に拘りながら、半年間かけて制作しました。

谷田部透湖

化石探しが好きな少年が、ある夏不思議な少年に出会う物語。
見慣れたアニメーション作品に見えますが、作者自身が長年にわたって習作(作品)を重ねた過程の線であり表情であり動きが隙なく構成されています。
少年期に体験する友との交遊、不和、罪悪感などナイーブな感覚を丁寧な作画と感情表現によって完成度の高い作品に仕上がっています。

映像学科客員教授 石茂雄

木戸大地Kido Daichi

作品写真:フォーエバーに帰ります
作品写真:フォーエバーに帰ります

フォーエバーに帰りますReturn to Forever

映画|HDVHD video43min30sec Movie

浜辺で車を盗んだ、幼なじみの二人がたどり着いたとあるホテル。何気なく泊まったそのホテルで二人は数々の奇妙な出来事に襲われる。次々とわき上がる疑問。そして、彼らはひょんなことからこのホテルに閉じ込められる。不安にかられる後輩の大野と顔色一つ変えない先輩の堂尾。閉じ込められた二人は、お互いの過去をののしり合う。二人の密室での不条理な会話劇。

木戸大地

この作品は、話そのものは取るに足りないものであろう。それにもかかわらず、終わりまで見続けてしまい、更に、この幸せな時間に出会いたくて、何度でも見ることができる。それは、この作品が全体にわたって、かなり上質なオフビート感覚(観客の期待する答えを微妙に外している感覚)に支えられているからである。この感覚を生み出す前提として、43分の全体は 291ものカットで割られており、その中心となるダイアローグ(台詞)カットの台詞尻と台詞頭のフレーム数の調整によって、独特の間 が配され、カットとカットは反語的関係に置かれている。物語の設定がアンリアルであるにもかかわらず、二人の主人公の台詞にはリアリティがあり、攻撃的でありながら、自嘲気味でもある台詞作りは絶妙である。

映像学科教授 板屋緑

中島史音Nakajima Shion

作品写真:Waltz
作品写真:Waltz

Waltz

ストップモーションアニメーションStop motion animation19min04sec

小学生のころに発想したキャラクターや世界観をもとに制作した人形アニメーションです。登場人物の人形や、セット、小物類はミニチュアサイズのものを手作りし、ある境遇の違う二人のロボットの出会いを描いています。発展をとげる現代社会で人間がどこかに置き去りにしようとしているものを、ロボットたちを通して表現したいと考え、制作しました。

中島史音

ストップモーション・アニメーション作品。企業から逃げてきたロボットの女の子を雑貨屋ロボットがかくまう事でおきる心の交流の物語。丁寧に作られたセットのディティール、オリジナルキャラクター達の感情を伝える動きと表情技法もセリフの無い物語を感じさせません。作者の暖かい手触りを感じる作品です。

映像学科客員教授 石茂雄

大槻唯我Ohtsuki Yuiga

作品写真:傾がずの原
作品写真:傾がずの原
作品写真:傾がずの原

傾がずの原Barrow Of Equilibrium

写真|Type-C PrintPhotoH356 × W432mm × 15点

千年を超えて、死と生の均衡を保ち続ける丘。
依然として逃れることのできない死の宿命は私を苛みつづける。国を生んだイザナミノミコトは地下に避った。彼女が葬られたという比婆の山に思いを馳せ、前方後円墳をめぐる。
死と生の源である大地に還されることに憧れ、死を孕む場に近づく。滾滾として尽きない命の循環の中を、劫初より私たちはめぐり存在してきたのだろう。古墳に鬱蒼と生茂る青丹や常磐の樹々のように。

大槻唯我

日常目にするような平凡な風景、その写真のフレームの中心に、一見してそれと認識することが困難なのだが「古墳」が配置されている。
オーソドックスなその眼着は、「今」見ている風景が、過去から、そして現在を通過していく時間的なレイヤーの存在を感じとる事ができ、静止したその画面から、時間軸の存在を感知させる。
核心に充ちた制作である。

映像学科教授 山崎博