竹内めぐみTakeuchi Megumi

作品写真:連

ren

ベニヤ板、岩絵具、木炭Plywood, mineral pigments, charcoalH1800 × W3600mm

溶けて、固まって、風化して、時と共に姿を変えてきた奇岩の山。
初めて見た時、圧倒された。
その山と対峙した時に感じた、感情のようなものを描きたいと思った。

竹内めぐみ

「連」は作者の故郷である群馬の妙義山を描いた作品である。一見中国の山と見まがうような荒々しい妙義の山容を、作者は写生と取材を通して、自身の造形と線描による力強い絵画世界として表現している。連なる山々はモノクロームの色彩と有機的な曲線で描かれ、その空間はいわゆる伝統的遠近法とは皆無である。そうした表現により風景は抽象性を高め、無限の宇宙の広がりを感じるようである。中国絵画の宋元画を彷彿とさせながらも、作者の故郷を思う自然観が滲みでている秀作である。

日本画学科教授 内田あぐり

田中佑政Tanaka Yusei

作品写真:自己視点上

自己視点上self-viewpoints

パネル、アクリル絵具Panel, acrylic paintH2400 × W3600mm

自分の目で暗闇を見ると何もない世界が差し迫ってくる感覚があります。薄明かりの中での闇の部分は真っ暗闇より、より不確かでつかめない感覚が不安にさせます。自己意識の存在の不確かさと似ている気がします。

田中佑政

以前に自分の体を見下ろして足と手だけを描いた田中佑政が、今度は床に寝そべって見上げて見えるものだけを描いたのがこの作品だ。それも夜陰の天井である。観る者も作者と同様に眼も慣れてくるのか、天井の螢光燈らしきものを発見する。右隅に見える球形はテーブルの裏面らしい。猫でもない限り普段テーブルの裏など見ることはない。私たちが日常で置き去りにしている視界を、彼は特別に騒ぎ立てることなく見せてくれる。自分の顔を肉眼で見たこともないのに自分を知ったつもりになっている私たちに覚醒を促すかのようだ。

日本画学科教授 山本直彰

中西瑛理香Nakanishi Erika

作品写真:あなた

あなたYou

麻紙、墨、水干、岩絵具、箔Mashi hemp paper, ink, dyed mud pigments, mineral pigments, gold leafH1800 × W2850mm

生命の出会いや別れにせつなさを感じます。たとえ、親であっても、恋人であっても置かれている環境や社会に管理されている「他者」であり続ける限り、自分からはいつかは離れていくかもしれません。近しいはずなのに、限りなく遠い「あなた」との距離感を胎内をイメージした優しい空間に描きました。

中西瑛理香

描かれているモチーフは木立、馬、波、人形、鳥、魚など古典から現代の絵画に至るまで様々に描かれてきた題材である。それらを組み合わせて幻想的に構成し人々が好みそうなイメージを造り上げると、ただの万人受けするだけの絵になりそうな危うさを感じるのであるが、中西はその題材を個人的な興味と自己の記憶から取り上げ、物語を紡ぐように造り上げた。大衆の絵画への欲望と個人的な欲望を無意識に内在したかのような画面は即興的に描かれたイメージと構成、筆触によって予定調和にならない生きた表情を生み出し、観る側が様々な物語を読みとることができる多義的な表現となった。欲望に呑み込まれそうなギリギリの危うさにその魅力が感じられる。

日本画学科教授 尾長良範