佐藤琢巳Sato Takumi

作品写真:虚
作品写真:虚
作品写真:虚

hollow

インスタレーション|和紙Installation art|WashiH3500 × W7000 × D7000mm

樹木の表面から刷り取った樹皮の表情。
その瞬間、その存在を和紙に落とし込んだ。
そして和紙を貼り合わせてつくった天井から生えた空っぽの木。
そこに確かに在るのだ。

青木裕美

展示空間のど真ん中に、重力を無視して天井からぶら下がる巨大な被膜。圧倒的な量感が見る者に迫ってくるはずなのだが、樹木の表面を刷り取った薄い和紙を貼り合わせた VOID(=空虚な構造)は、捉えようとするわれわれの知覚から巧みにすり抜け、網膜のはざまを彷徨い続ける。さまざまな自己規定から逃れて、拡散するそのイメージの着地点は作者自身にとっても未知の領域のようだ。多くの人は、思わず触ろうとするであろう。また、内側に入りたいといった衝動に駆られるかもしれない。抱いたその感覚に抗わず、“世界”を誠実に刷り取ろうとしている佐藤琢巳の“版画”を、五感を総動員して“体験”していただきたい。

油絵学科教授 高浜利也

深沢昌子Fukazawa Masako

作品写真:kyabetsu

kyabetsu

画布、シルクスクリーンCanvas, silkscreen printingH1600 × W1320mm

hakusai

画布、シルクスクリーンCanvas, silkscreen printingH1600 × W1320mm

retasu

画布、シルクスクリーンCanvas, silkscreen printingH1600 × W1320mm

作品写真:hakusai
作品写真:retasu

葉物野菜の断面をモチーフとして制作していくなかで、それらが一見、野菜とは思えない姿に見えるといった不思議な感覚を覚えました。それはモチーフの、断面の姿そのものによるだけのものでなく、版を刷り重ねたときに偶然性によって現れる色やマチエールにもよるもので、そうした要素と、自分の中にある感情など様々なものが、うねりのかたちの中に入り混じっていきました。

深沢昌子

絵画と呼ぶには、あまりにモノとしての存在感が過剰だ。深沢昌子の 3点の連作版画を最初に見た時の印象である。キャベツや白菜といった葉物野菜の断面をモチーフに、その形状のパターンや動きを構成しながら、シルクスクリーンで幾重にも刷り重ねられた絵肌は、具象、抽象といった棲み分けを軽々と越えて、緊張感に満ちた密度の高い画面の獲得に成功している。そこで繰り広げられ、オールオーバーに膨張し続けるイメージは、平面であるはずの版画を別物に押し上げようとしているふうに思えてならない。凛とした美しい佇まいと、無限連鎖するエネルギー。スキージを通して伝わる作者の息遣いが、版という他者と共鳴しながら新しい絵画の出現を予兆させるのである。

油絵学科教授 高浜利也