9月16日(金)、油絵学科版画専攻の学生を対象に、特別講義「国立印刷局 ビュラン彫刻実演会」が開催され、国立印刷局の銀行券部製品設計グループ彫刻部門に所属し、凹版の原版の彫刻を担当する方々を講師にお招きし、講義と彫刻実演および体験指導をしていただきました。
概要 | 国立印刷局の凹版の原版作製に使用するビュラン彫刻に関する講義、凹版彫刻の実演と実技指導を行う。
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講師 | 銀行券部製品設計グループ彫刻部門 徳田氏、佐野氏、三枝氏、福田氏、元良氏 |
講義内容
前半は約80名の学生が参加し、国立印刷局が取り扱う製品(パスポート、切手など)の紹介や、製品の製造において重要となる偽造防止技術について講義が行われ、肖像部分などの模様をビュランという彫刻刀で銅板に画線を刻み込む凹版彫刻について、後半の実演指導への導入となる解説をしていただきました。
また、講師の方々が現職に就かれた経緯をうかがいました。
後半は版画工房へ移動し、凹版彫刻の技法ついて実演・指導をしていただきました。
実際の現場では1日に何回も行うというビュランを研ぐ作業や、銅版に彫刻する流れを実演しながら解説していただいた後、約20名の学生がビュランを研ぐ体験をしました。講師の方々の丁寧なアドバイスに、学生も熱心に質問をしながら作業を進め、自分で研いだビュランを使って実際に銅版を彫ることで、高い技術力と時間を要する作業であることを実感しました。なお、特別講義の様子は、国立印刷局の大津俊哉理事長が視察され、本学関係者と意見交換も行われました。
今回の特別講義は、高度な技術と徹底した製造管理を要する製造現場で活躍されている講師の方々による講義や実技指導を通して刺激を受けた、大変貴重な機会となりました。
担当教員 高浜利也教授(油絵学科版画専攻)のコメント
学生たちにとって版画専攻で学ぶ銅版画、とりわけエングレーヴィングの技法が、国立印刷局での凹版彫刻に用いられていると知ったことは大きな驚きであったと同時に、グラフィックアーツとして版画の様々な特性が社会の中で実際に機能していることを体感することが出来るまたとない機会となりました。
また、幾人かの工芸官の方々から、国立印刷局に入局前は美術大学で版画を学んでいたことも伝えられたことで、今回の特別講義は技法研究としてはもちろん、版画を学ぶ学生たちのキャリア教育としての側面、効果もあったように思われます。
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