志田陽子教授の判例評論が朝日新聞社『ジャーナリズム』に掲載されました

志田陽子教授(教養文化・学芸員課程研究室)の判例評論が朝日新聞社『ジャーナリズム』2023年1月号に掲載されました。

***
『ジャーナリズム』2023年1月号 52-59ページ掲載
「−伊藤詩織さん中傷投稿に「いいね」東京高裁判決− 苦しみの訴えが開く人権の扉 表現の自由の公平な配分とは」

志田陽子教授より
ツイッター上で、女性ジャーナリストを中傷する投稿25件に「いいね」を押したことでジャーナリストの名誉感情を傷つけたとして、現職議員が名誉感情侵害に問われていた裁判の控訴審判決が、2022年10月20日、東京高裁で出されました。判決は、請求を棄却した一審・東京地裁判決を変更し、名誉棄損の成立を認めるものでした。
この判決をめぐって、ツイッター上では、うっかり「いいね」を押しただけで不法行為とされるのか、SNS参加者の表現活動を萎縮させるものではないか、と危惧する声も上がっていますが、そこは丁寧に判決を見る必要があります。
今、SNSにおける誹謗中傷問題が社会的にクローズアップされ、法学的には非常に高度な技術的議論が展開されています。一部には、表現の「自由」を重く見る議論を、被害者や弱者の悩みを軽視して加害者の「自由」ばかりを擁護する議論としてみるような論調も散見されます。こうした中では、「表現の自由」というイシューがもつ意義を常に確認し、その地図の中にそれぞれの問題を位置づけることが必要です。このような視点から、10月20日に出された判決の意義について考察する論説の依頼を専門誌『ジャーナリズム』から受け、10,000字の評論を寄稿しました。

関連記事