大田暁雄准教授が日本地図学会 学会賞《作品・出版賞》受賞

大田暁雄准教授(視覚伝達デザイン学科)が、日本地図学会 学会賞《作品・出版賞》を受賞しました。

出版物 大田暁雄著『世界を一枚の紙の上に 歴史を変えたダイアグラムと主題地図の誕生』(オーム社、2021年)
受賞理由 著者は、美大においてコンピュータメディアを中心としたグラフィック・デザインおよびダイアグラム・主題地図表現について教育・研究を行うとともに、デザイナー、プログラマーとしてその実践者でもある。本書は、副題に「歴史を変えたダイアグラムと主題地図の誕生」とあるように、19世紀初頭の地理学者のフンボルトによる垂直植生分布図の作成から、20世紀の第二次世界大戦前のオトレとノイラートによるアトラスの展示デザインに至るまで、図的表現方法の革新について多数の図例を参照しながら追ったものである。また、書名に「世界」とあるように、図的表現は、要素の描写からはじまるが、それらを整理して示すことにより上位レベルの俯瞰イメージ・世界観の創出を刺激できるということを示そうとしている。
近年、データの視覚化やインフォグラフィックスという分野が意識されるようになってきているが、与えられたデータを単に既存の表現パターンに当てはめて出力する自動化手法となっていることも多い。視覚表現手法の多くは、元を辿ってみるとコンピュータの普及以前から存在するものも多く、各々の表現方法はそれまでには認識出来なかった事をはじめて分かるようにしたという表現創出の格闘の結果でもある。
本書では、一貫して何故そのように表現するのかという視覚デザインを通した概念創出へのチャレンジという視点が流れており、地図という図的表現の可能性についてデザインという角度からあらためて指摘と勇気を与えてくれるものとなっている。よって、ここに作品・出版賞として推薦するものである。

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