海のグレートジャーニー展 日本列島にたどり着いた人類の足跡。インドネシアから石垣島4,400km。

日程 2011年7月11日(月)~2011年9月30日(金)
7月25日(月)~8月26日(金)平日:9:00-19:00/9月5日(月)~9月30日(金)平日:9:00-20:00/土曜日:9:00-17:00 *日曜日・祝日、8月28日(日)~9月4日(日)休館
場所 武蔵野美術大学図書館

*外部の方は図書館入口で「海のグレートジャーニー展」を見に来たと伝えると入場できます。

入館料:無料

主 催:関野吉晴研究室

本学関野吉晴教授(文化人類学/人類史)が、佐藤洋平(2007年油絵学科卒業)と前田次郎(2008年基礎デザイン学科卒業)、その他本学の学生、卒業生及びインドネシアのマンダール人とともに、日本列島にたどり着いた人類の足跡を旅した記録を紹介する展覧会を、武蔵野美術大学 図書館にて開催しています。

「海のグレートジャーニー展」について

現在、12号館前に二隻のカヌー、「縄文号」と「パクール号」が展示してあります。それらのカヌーが「どのように作られ」「どのような航海をしてきたのか」を、ここ図書館での「海のグレートジャーニー展」をご覧になっていただくと、お分りになると思います。

「どのように作られたか」

海のグレートジャーニー展

2007年秋、今回のカヌー作りを始めるにあたって、ムサビの大教室に学生、卒業生に集まってもらいました。200名ほど集まった若者に、「インドネシアから日本列島まで、海を航海してやって来た初期人類がいるはずだ。そのためのカヌーを手作りにして、日本まで航海してくるつもりだけど、そのカヌーを一緒に作って見ないかい」と呼びかけました。

そのカヌー制作のコンセプトは「自然からすべての素材をとって来て、自分たちで作る」というものでした。ムサビは造形学部に11学科があるモノづくりの大学です。しかし、そのような経験をしたことがないので、若者たちはコンセプトに共感してくれ、熱気が感じられました。

早速始めたのは、九十九里海岸での砂鉄集めでした。たたら製鉄をして、インドネシアで木を切り、穿つ道具を自分たちで作るためです。120kgの砂鉄を集め、岩手で杉浦銀二さんの指導のもとで200kgの炭を焼きました。永田和宏さんの指導で、ムサビの金工の工房でたたら製鉄をして、奈良の刀鍛治河内國平さんと野鍛冶の大川治さんの協力で、斧、ナタ、チョウナ、ノミが完成しました。それをインドネシアに持っていき、大木を伐り、二隻のカヌーを作りました。

インドネシアではスラウェシ島のマンダール人に協力してもらい、半年がかりでカヌーが完成しました。船体、帆、アウトリガー、ロープ、紐、塗装すべてに、自然からとってきたものを利用しました。

図書館の正面大階段にたたら製鉄を経て作り、インドネシアでカヌー作りに使った工具、縄や縄を撚った道具、帆の素材と完成した帆を吊り上げ、張ってあります。またカヌー作りのパネルを展示しています。

「どのような航海をしてきたのか」

インドネシアのスラウェシ島から沖縄の石垣島までおよそ4,400kmを3年がかりで航海しました。1年で終えるつもりでしたが、風任せ、潮任せの旅でカヌーは思うように進みませんでした。

島々に寄って、薪、水を補給しながら航海を続けました。素焼きの窯で、薪に火をつけて、釣った魚や米を料理して胃袋を満たしました。

今回の旅では島影と星を頼りに、コンパス、GPSやチャート(海図)を使いませんでした。五感だけを利用してナビゲーションした太古の人々に思いを馳せながら航海をしたかったからです。

航海を始めてから10日間で120kmしか進めなかった時は暗い気持になりましたが、我慢強く、待ち、漕ぎ、帆走して、最後に台湾を出た時には2日で300km近く走りました。改めて自然は恵みを与えてくれるが、恐ろしいものでもあり、思いどおりにはならないものだと実感しました。

航海と航海の時に出会った人々の写真パネルが大階段の周囲と、受付横の空間に展示してあるので、ご覧ください。
関野吉晴

海のグレートジャーニー展ダイジェスト

*図書館の開館スケジュール・開館時間等詳細は以下をご確認下さい。

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