金兵奈美Kanahyo Nami

紙 × 印刷 × 加工の可能性 —印刷会社と人々を繋ぐプラットフォームの提案—Potential of paper × printing × finishing —The proposal of the platform which connects printing companies and users—

インタラクション、本|PC、紙Interaction, book|PC, paperH297 × W210mm H55 × W91mm × 28点

電子書籍のように紙媒体のデジタル化が進む一方で、再び注目を集めている凸版印刷やシルク印刷などの「印刷」や箔押しなどの「加工技術」に焦点を当てました。特殊印刷や加工に興味のある人は多いけれど、敷居が高い、印刷所の知識がないなどの理由から実際に利用する人はそう多くありません。
そういった人々と印刷会社を繋ぎたいと考え、双方を結びつける、Webを使った新しいサービスの提案を行いました。

金兵奈美

デジタル化技術の普及は、印刷プロセスにも大きな変化をもたらしている。
しかし、一方で、さまざまな加工技術を駆使したユニークな印刷表現の価値を実現しようとする傾向も高まりをみせる。この提案は、特殊印刷や箔押し加工等を含む印刷のバラエティーを、印刷会社の協力を得て、具体的なサンプルとともに提供するもので、これから活躍する若きグラフィックデザイナーの身近な支援ツールとして、非常に意義のある取り組みである。

デザイン情報学科教授 長澤忠徳

執印あゆみShuin Ayumi

束ねる世界 —日常のモノを束[たば]の視点からモデル化する—The world of bundle —A study of the basic forms of bundle—

本、模型|紙、アクリルBook, model|paper, acrylic boardH297 × W210mm H350 × W150mm × 7点

「束ねる」という行為は1つの形態の成立に至るまでのプロセスでしかありません。
私たちはしばしば「束ねる」行為のあと、さらに結ぶ、編む、包むといった加工を施します。私はあえて曖昧な位置にある「束ねる」行為についての定義研究、記号化、モデル化を行ない、「束ねる」を新たな視点で捉え、モノに対する構造と文化的な価値の関係を研究制作しました。
そしてこの研究を通して、全ての行為において文化、概念、機能が存在するということに向き合うことを目的とします。

執印あゆみ

複数のモノが「一塊」になった状態、あるいは、「一塊」にする行為から、その原初ともいえる「束」あるいは「束ねる」ことについて、その構造、形態、機能、行為について丹念に調査分析を行い、その概念世界を独自の手法で記号化、モデル化した取り組みである。このユニークな形態研究は、「束」という形態に向き合い、モノの形態のみならず、「束ねる」すべての行為に関わる文化的な意味の解明にも挑んだデザイン基礎研究の秀作である。

デザイン情報学科教授 長澤忠徳

高橋純Takahashi Jun

SLEEP, STYLE, SCOPE —いろんな生き物 いろんなねむり—SLEEP, STYLE, SCOPE —Many forms of life, Many styles of sleep—

プレゼンテーション、本|アクリル、紙、布Presentation, book|acrylic cube, paper, clothH40 × W40 × D40mm × 36点 H148 × W210mm

生き物たちのねむり方は実に多様。生き方の数だけ、ねむり方があります。
『SLEEP, STYLE, SCOPE』は、角度によって見え方が変わるアクリル素材のキューブを通して、生き物たちの多様な「ねむりスタイル」を表現する試みです。1年は12ヶ月。月の上旬、中旬、下旬ごとに1つ、ねむりを知ってみよう、というコンセプトから、36種の『SLEEP, STYLE, SCOPE』が生まれました。ギフトとしても展開できるような、ねむりと出逢う“SCOPE”です。

高橋純

海中で、樹上で、草むらで、眠る動物の姿態をくまなく眺めることはできない。そうした生き物36体をアクリルキューブに閉じ込めることで、一旬(10日)ごとに、年間楽しむことのできるオブジェとなった。眠りのスタイルのリサーチ、六面体に展開する方式の自在さ、アクリルに直接印刷したかのような完成度の高さが好ましい。展示ではバナーやリーフレットにも細心の注意を払った。生き物と造形に対する高橋純の真摯な眼差しのきらめきが見てとれる。

デザイン情報学教授 森山明子

西田早織Nishida Saori

鷽の実 —あしき嘘を良き誠へとかえる鷽——The bullfinch which exchange a bad lie with a good truth—

プレゼンテーション、本|紙Presentation, book|paperH257 × W150mm

天満宮では一年に一度「鷽替え」と呼ばれる神事が行われます。鳥の鷽をかたどった木や土、紙で作られた鷽を交換することによって、悪しき「嘘」を良き「誠」へとかえることができると信じられています。現在でも手づくりで作られている鷽は、一体一体たくさんの人の想いと技術がつまっています。そこには日本人の「替える」美学が残っていました。そんな鷽を郷土玩具として、民俗学として、そして神事として、様々な視点から触れて頂ければ幸いです。

西田早織

神事である「鷽替え」が残る天満宮のすべてを調査の対象とし、その何カ所かを実際に訪れて、一冊の書物に編んだ労作である。大全と呼ぶことのできるテーマ設定、踏査と取材を敢行した行動力、収集した鷽をすべて複数の角度から撮影したことによる資料性の高さを評価する。縦長の判型が鷽にふさわしく、執筆もデザインも丁寧だ。西田早織によって、木や紙や土で一体ずつ形づくられる鷽が一堂に会し、チャーミングな姿で現代に甦ったのである。

デザイン情報学科教授 森山明子