佐々木慧Sasaki Satoshi

Earth to air

丸太、鉄、ガラス、岩石、藁、真鍮、箔、他Log, iron, glass, stone, straw, brass, foil, otherH5000 × W5000 × D200mm

今のあまりに複雑化した社会。何事も見通しが悪くなり、自分の道というものを失っている。そして、一部の人間による案内で周りを見るのはあまりにつまらなくはないか?
自然というものは、尺度を変えずに生きている。我々がいくら手を加えたところで、我々の時間感覚、尺度、価値観に影響などされない。
我々は元々そういう尺度の中にいた。今一度、複雑化し過ぎた場を疑い、元の我々に回帰し、周りを見直してみてはどうだろうか?

クラフトデザインコース(金工)
佐々木慧

太古の時代、人は自然に畏敬の念を抱き、万物に宿る精霊を崇拝した。自然物を身につけることで、精霊との結びつきや加護を願ったことがジュエリーの始まりと考えられる。
その原点に立ち戻り、自然物の素材感をありのままに伝えるべく巨大化したネックレスは、現代社会における複雑化し過ぎた、モノの尺度や価値観に警鐘を鳴らすメタファーである。いつの時代も価値の象徴であり続けてきたジュエリーとはいったい何なのか?その真髄に迫る意欲作である。

工芸工業デザイン学科教授 鈴木洋

大嶋洋二郎Oshima Yojiro

fusion

ハードメープル、アルミHard maple, aluminiumH1000 × W1660 × D540mm

素材と形状からアプローチをかけた快適性に特化した二輪車。適度な柔軟性を持つ素材「木材」を選び、二輪車を構成するそれぞれのパーツに工夫を凝らした。

クラフトデザインコース(木工)
大嶋洋二郎

この作品は、人の暮らしの中でポピュラーな自転車を木材で作ろうというものです。工業製品は金属、樹脂全盛の時代にあえて木を使い素材の魅力を自転車の姿で表現すること、また木材の強度加工方法を研究し自然素材の可能性を追求したところを評価しました。紅葉がきれいで木質も気品のあるカエデの木を使い、薄く割き重ね合わせて強度を出し、実用にも耐える工夫がみられます。

工芸工業デザイン学科教授 十時啓悦

占部紗也香Urabe Sayaka

空っぽempty

陶土、ロクロ成形、手びねり、炭化焼成Potter’s clay, forming shapes on a turning wheel,hand forming, coal firing

掘り起こして、拾い集めて、わたしは25個の「空っぽの器」をつくりました。

これはわたしの記憶の断片であり、隙間です。

クラフトデザインコース(陶磁)
占部紗也香

この作品は縄文土器と同じくらいの温度で焼かれた土器です。陶磁器は中が詰まった塊よりも、中をくり抜いて空っぽにすると、熱がまんべんなく伝わり上手く焼けます。器は中が空っぽの時に役に立ちます。壺は穴の中が空っぽです。この小さな造形物は使う物ではありませんが、どこかにいろいろな空っぽの部分があります。手元に置いておきたくなる魅力的な物がいくつも出来てきました。これからさらに、おもしろくなる可能性を秘めています。

工芸工業デザイン学科教授 小松誠

澤珠実Sawa Tamami

トピアリーTopiary

ガラス、フュージング、接着Glass, fusing, gluingH730 × W330 × D500mm

トピアリーというのは刈り込みなどによって作られた、植物を用いた造形物のことです。
自然に生えている植物よりも際立つ表層の葉の密度に惹かれ制作をしてきました。
葉をモチーフとした菱形のパーツはガラスの集合体と化すことによりあらたなテクスチャーを生みます。

クラフトデザインコース(ガラス)
澤珠実

「トピアリー」とは、樹木や低木を刈り込んで動物や人、幾何学的な図形などに仕上げる造形物のことです。ヨーロッパの王宮や貴族の館、庭園などに多く見られます。
この作品はそんなトピアリーのかたち、特に際立つ表層の葉の密度に惹かれて制作したものです。
油土で欲しいかたちを模索しながら何度も試行錯誤を繰り返し、原型を作ります。その原型にそって耐火石膏を流し石膏型を起こします。3mmの工業用の板ガラスを使い、葉をモチーフとした無数の菱形のパーツを型の中に並べて電気炉の中で溶着させます。(約760℃)
密集した表層は、凹凸の少ない新たなテクスチュアを生み、種子のようなふくらみを持たせ、やわらかな曲線で作品を組み合わせています。
自然の力強さと内包するエネルギーを感じさせるいい作品になりました。

工芸工業デザイン学科教授 大村俊二

下垣内岳Shimogaito Gaku

無意識の意識Unconscious consciousness

シリアス染料、漂白剤、シルクスクリーンSirius dye ink, bleach, silk screenH11000 × W3350 × D30mm

人はなぜ芸術を求めるのだろうか
人はなぜ芸術を語るのだろうか
芸術には歴史があり、その軌跡とともに常に人々の価値観を変えてきた
そしてその価値観がさらに芸術を新たなものへと昇華させてゆく
芸術の特色はその当時の時代背景が色濃く反映されその時代背景は作家から作品へと投影される
それは現代社会においても同じことが言えるのではないだろうか
では利便性が向上し創造する意味が希薄化しているようにも感じる今現在、私はなぜ創造するのだろうか
「無意識の意識」とは創造する意味性を求めたものだ
それは限りなく無意識のうちに創造されたアイデンティティのないものに対し意識的に働きかけることによってその存在意義を確立させるといったものである
染料と漂白剤のドロッピングによって生まれた無意識的な画面に風景写真を刷り込むことによってその存在意義は確立され、無意識は意識的に変化してゆく

クラフトデザインコース(テキスタイル)
下垣内岳

絵画的な構成要素と緻密な表現が、染織の技法である脱色という効果を得てより重厚な画面となった。
絵画と染織布の融合として魅力のある作品となった。

工芸工業デザイン学科教授 田中秀穂

星野佑馬Hoshino Yuma

TRAM BUS

プラスチック、アクリル、ウレタン、MDFPlastic, acrylic material, urethane, MDFH315 × W1450 × D187mm

駅前などに従来からある商店街は、魅力的なショッピングモールです。
しかし狭い路地に密集するそれらの店へのアクセスは、公共交通機関や駐車場が近くに存在しない場合が多く不便です。
また、近年は大きな駐車場を備え自家用車でのアクセスが容易な、郊外の大型ショッピングモールを相手に苦戦を強いられています。
トラムバスは、住宅地から狭い路地の商店街へダイレクトに運行し、商店街へのアクセスを向上させるため、全長11.6、全幅1.5、全高2.5メートルと、今までの公共交通にはないコンパクトなサイズで、狭い路地でもスムースにアクセスが可能です。
これにより商店街の利便性が飛躍的に向上し、街の更なる発展が期待できます。

インダストリアルデザインコース
星野佑馬

商店街の活性化という身近な課題を主題に、比較的、軽いインフラを前提とした新しい小型サイズのEV公共モビリティーである。広大なモールや空港内などの閉鎖空間での使用も視野に入れている。一見、トラムの様な箱形状であるが、非常に小型なサイズであり、また、タイヤの配置や、容易に乗車降車ができる広いアクセスドアなど、いわば、「動く歩道」に近い概念を基に提案した新しいモビリティーであり、優れたデザインである。

工芸工業デザイン学科教授 稲田真一

小林さやかKobayashi Sayaka

halfway

スチール、ホワイトバーチ、フェルト、PPSteel, white birch, felt, PPH760 × W360 × D360mm × 2点

ひとの動きによって身体環境は変化し生活環境はつくりだされている。
身体を生活環境そのものと考えたときにそれを拘束するのではなく追従するように支えるものがあればより自然な形の生活や動作につながるのではないだろうか。
立居の延長線上にある姿勢、固定されない能動的なバランス、空間の有機性の3点を中心に、動作や空間の途中にある自然なかたちをデザインした。

インテリアデザインコース
小林さやか

座る行為の流れに主眼をおき、立位と座位の人間工学的知見を広め、とくに立位の研究から取り組んだことは、テーマの内容を深めた。立位姿勢の動的変化に対応する基本機能とそのメカニズムの探求は、極めて高度なデザインの土台をつくりあげた。それをもとに意匠的美しさへと繋げ、作品の1点は機能が直接的に分かりやすいものに、もう1点は座面の造形性を高めたものにして比較させたことは、実現可能性の広がりを感じさせ、結果高く評価した。また、自ら制作した部分が多いことも好感がもてる。

工芸工業デザイン学科教授 寺原芳彦