櫻井美佳Sakurai Mika

できれば、そこで見ていて。Watch me if you can.

高知麻紙、岩絵具、水干絵具、アクリル絵具、パステルKochi mashi hemp paper, mineral pigments, dyed mud pigments, acrylic paint, pastel H2400 × W2900mm

マジョリティから疎外され、差別や偏見の対象となり、社会的に弱者とみなされるマイノリティ。
私はあえてそれを、花にもなれない、人間にもなれない、「花人間」という異質な存在として表わした。

普段は姿を隠し生きている花人間が、少しずつ正体を現していく。

「花人間」は確かに存在する。

櫻井美佳

大画面に描かれている、瑞々しい豊かな色彩があふれた花々。わずかに人影が存在する。花の中から現れ出でようとする人間そのものが、本作品のテーマである。
社会的に疎外され、弱い立場にあるマイノリティの人間の姿を、人間にも花にもなれない「花人間」という異質な存在として表現し描いている。異質が故に生まれてきたことをなげいてはいけないと「花人間」がありのままの姿になって、社会の厳しさ、差別、偏見と闘い、勇気を持ち社会に表出しようとする様を、彼女の幻視で絵画化した作品である。
クオリティの高さを感じさせ、未来を予感させる魅力がある。今後の創作活動を心から期待させる秀作である。

日本画学科教授 三浦耐子

椎名絢Shiina Aya

女とふとんa woman and a futon

パネル、和紙、岩絵具Panel, washi, mineral pigments H2200 × W3600mm

元遊郭の古い旅館に、女とふとんを描きました。
時間を経て人の心や場所にたまっていく「澱」のようなものに魅力を感じます。女の生きてきた人生をさまざまに想像しながら観ていただけたらと思います。

椎名絢

開かれた屏風の前でこの古い旅館の玄関に立たされる。 そこには寝床を離れたばかりの歳を重ねた女性が坐っている。一方、正面の壁には未知の光が射し込んでいる。観音開きの形式をさらに透視図法で遠方へと導きながら、古びた日常が観る者の心理を逆撫でる。観る者に宿の入口を開けたことを後悔させるかのようだ。しかし、その意志に反して我々はこの宿に泊まることになるだろう。
椎名は、この数年取材している古宿と自分の母を女性の象徴として組み、褪せた色を淡く何度も塗り重ね、臭覚をも刺激してくるような不思議な作品を描きあげた。
蒲団だけが生々しく横たわっていることにただのレトロ趣味をこえた絵画のプライドを見ることができる。

日本画学科教授 山本直彰

清水奈穗美Shimizu nahomi

パレードParade

高知麻紙、岩絵具、水干絵具、パステルKochi mashi hemp paper, mineral pigments, dyed mud pigments, pastel H2000 × W3600mm

花を撒いてパレードが進んでいきます。
行列の中には、我を忘れて踊る人、身重で動けない人、俯く人、倒れている人。

それぞれの状況に関係なく大きな流れに組み込まれていってしまう人間の生き方の悲しさを、祭りの情景に重ねて表現しました。

清水奈穗美

限りある生を生きる人間の死生観をテーマに描いた一連の作品は、徐々に埋め尽くされ浮遊する散華に導かれ、生と死、陰と陽、虚と実、人間の彷徨する旅の暗示のようでもある。
低層部の段階で和紙に暗闇色を染み込ませ、薄色の層を重ねたベールで被われたような美しい色調が、この人間の逃れることのできない円環の宿命に輪郭を滲ませ、刹那の光沢を放っている。

日本画学科教授 西田俊英