河内遥Kawachi Haruka

空腹の旅Starved Journey

石版、額装Lithograph, framed71.5 × 100.2cm 87.5 × 111.6cm 87.8 × 100.7cm 26.0 × 39.0cm

人は、生まれた時から少しづつ姿を変化させ、周りの環境からたくさんの物を身にまとう。
時には それが異物であり、他人から受け入れられないものもあるが それを自分だけの才能や個性と考えてみてはどうだろうか。
少しずつ奇妙になっていく姿をみても、満足できず空腹な感情を抱えたまま旅をつづけていく。

河内遥

謎に満ちた絵である。
人が何かに変容しているのだが、どの姿を見ても不思議で飽きる事が無い。
風刺画のようでもあるが、それだけに括れない想像力。あれこれ意味を探ろうとも、簡単には解読を許さない。
私が確かに解るのは、豊かなインクの表情があり、明澄な刷りであること。
そして、それが今ではほとんど見ない石版画ならではの表現だということくらいだ。
しかし、この謎の多い河内の世界に強く惹かれる。解らない楽しさ。驚きと発見。心がザワザワする感覚。絵の魅力とは本来こういうものではないだろうか。そして、さらに言えば、未知の何かをひたむきに追い求める行為。まさに創造は「空腹の旅」なのである。

油絵学科教授 遠藤竜太

塚本暁宣Tsukamoto Akinobu

I Remember This Sky

パネル、和紙Paneling, washi160.0 × 480.0cm

僕自身が美術を通して出来ることは自分のバックグランドと絵画を結びつけることだと思います。
そのバックグランドとは、僕が日本に生まれ日本で育ったという事に対して感じる感謝や嫌悪感、怒り、むなしさです。
そこにこだわったのはリアルに現代と直結しているような作品を作りたかったからです、それ自体は混沌とした感情ですが、その想いが作品に浸透し自分自身のオリジナリティを作り出せればと思います。

塚本暁宣

福島第一原発の1号機から4号機までの建屋がモチーフとなっている。政治的なメッセージを声高に叫ぶことが作者の意図ではないにもかかわらず、美しいものに潜む恐怖や狂気を、作品としてあくまで美しく、静謐さを保ちながら表出させることで、逆説的に事態の深刻さや本質を暴き出しているかのようだ。同時に、シルクスクリーンの特質でもあるレイヤーの存在と、そこから派生する隠蔽が鑑賞者をより深く物語の奥底に誘い込む。

油絵学科教授 高浜利也