岡田美奈子Okada Minako

現象の工作Phenomena

ビニール、紙、ボンド、他Vinyl, paper, glue, otherH200 × W200 × D200mm未満 × 14点

乾いたボンドをぺりぺりと剥がすと、それは半透明のまま形を保つ不思議なオブジェになった。
紙に針でプスリと穴をあけた。明るい方にかざすとそこから光が漏れた。
「現象の工作」は、わたしが日常で見つけた現象を展示するという試みです。
子供のように観察し、感じたままに形にすることで生まれた小さな風景の魅力がそこにはあります。工作でしか表現できない面白さを伝えたいという気持ちがあります。

岡田美奈子

「現象の工作」は、まるで子供が家族とテレビを見ながらその辺にあるもので何かをつくっているような感覚がある。しかし岡田美奈子は子供ではない。
しかし、作家としての工作への着手はまるで子供のように早く、着想に迷いや疑いを持たず、ただ自分が感じたことをそのままかたちにしている。
使う材料がボンドやペットボトルを切り刻んだもの、ゴム手袋に絵の具を使ったものなど日用品がベースになっている。岡田は毎回レビューの度に新しい作品を持ってきた。担当教員としては毎回「これは何?」と尋ねないとわからないものだらけだったが、「これはボンドをチューブから出してつくったエッフェル塔」だとか「切り刻んだペットボトルが魚の群れのキラキラのようだと思った」とかいう、「え~~~?」というような答えに素直に驚いた。確かにそう見えるし、そのように作りたかったという着想に濁りがなかった。エッフェル塔に関しては、建ち上がったボンド製の塔がゆっくり垂れ下がっていく様が面白いのだというのだ。ゴムのシートに塗った絵の具が引っ張ることで細かくひび割れる様には驚いた。
何を感じ何を作りたいのかは謎であるが、その思考や発想の謎がアートの源泉になっていることに間違いない。

基礎デザイン学科教授 深澤直人

角谷郁恵Kakutani Ikue

石を組むcomposition of stones

紙、木材Paper, woodH2400 × W1480mm × 4点

石と石、余白との間に張りつめた空気が満ちている。桂離宮の庭の幾重にも連なる景色の層の中から琴線を震わせる皮膜を掬いとり、真白な空間に構築する。紙に色を重ねながら石を作ることは石の年輪を刻むようだった。
石は時間を内包している。制作する中で桂離宮というテクストを通じ自然を模写していることに気がついた。桂の持つ「空間」と、石が経験した「時間」。これらの「時空」に敬意を払い、自らの身体により写しとることで未だ対峙したことのない「間」に出会えた。
事物に宿る生命に寄り添い昇華していく模写という手法だからこそ「石」たちの清らかな呼吸を聴くことができたのだろう。

角谷郁恵

紙の上に何度も色を置き、祈るように制作してきた幾百の「石」。本物に見まごう飛び石は実際に触れるまで紙であるとは思えない出来映えだ。桂離宮に通い、実際に自分が踏みしめた飛び石を一つ一つ丹念に描写するその姿勢はすさまじい。表題の「石を組む」は「文字を組む」からの発想、白い平面に構成されたレリーフ作品を「タイポグラフィ」だと作者はいう。たしかに文字が存在しないからこそ、寡黙な「石」たちの「作庭された意図」の饒舌な気配が横溢としている。

基礎デザイン学科教授 板東孝明