色彩構成Ⅰ・空間構成Ⅰ 1年次開講

『線の中の小宇宙を見てみる』

紙│H297 × W210mm(蛇腹折り)

受験で凝り固まった頭の中が一新されるほど衝撃を受けた

さまざまな道具や身体を使い、自由に線をドローイングする第一課題で発見したことを、蛇腹状の本で表現する課題です。私のテーマは「線の中の小宇宙」。二次元的な線に感じた三次元的な奥行きや、繊細で儚いイメージを表現したくて、ページをめくる度にクローズアップしてテクスチャーが明らかになり、さらにその奥へ空間が広がっていくような構成にしました。たくさんのドローイングから魅力的な部分を見つける作業は楽しかった反面、それを分類、編集して、コピーを何度も繰り返して微妙に拡大・縮小させたり、反転させたりする作業は苦労しました。ただ、「線」について深く考えさせられ、受験で凝り固まっていた頭の中が一新されるほど衝撃を受けた授業でした。
1年次は自分の感覚を研ぎ澄ますような授業がとても多いです。デザインを成立させるためにはリサーチやコンセプトづくりが何よりも大事なのだと気付けたし、講評を受ける度に「こんな考え方もあるんだ!」と圧倒させられています。
(1年|佐田唯香さん)

構成演習 2年次開講

『Black box of yogurt』(左上から時計回りに外観・色・カゼイン・味)

ポスター|H841 × W594mm ×4点

色やかたちに置き換えるルールを示したキャプション(一部)

牛乳がヨーグルトになるまでに起こる変化をこの目で見たかった

料理を1つ選んで文献調査やフィールドワークをしたうえで、新たな発見を編集、構成する課題です。とにかく観察や調査を繰り返すことと、その結果にふさわしいメディアで表現することが重視されました。私は牛乳がヨーグルトになるまでの約9時間の間に何が起きているのかをこの目で見たいと思い、1時間刻みから始めて、最終的には5分刻みで観察、記録した108個のヨーグルトを4枚のポスターで表現しました。各ポスターは「外観」「色」「味」「カゼイン」の変化を表しています。観る人の興味を惹けるようにポスターは視覚だけで見せることにこだわり、フォーマットのルールはキャプションに、具体的なリサーチや観察記録は解説書にまとめました。講評では客観的事実の「外見」「色」と、自分の感覚を表した「味」、感覚に基づいて変換した「カゼイン」を同列に扱う難しさを指摘されました。表現に置き換える際のルールをいかに設定するかが、作品の説得力を増すのだと気付けた課題です。
(2年|山口遥輝さん)

ライティングスペースデザイン 3年次開講

『隙目の形』

製本│紙|H303 × W423 × D12mm

やりたいことを突き詰めればどんなテーマでもかたちにできる

自分の興味からテーマを設定してリサーチし、それに適したメディアで表現する授業です。私が気になったのは「隙間」。先生と話し合ったり資料を調べたりしながら、隙間と対になるものや隙間の種類について考える中で着目したのが、網目の“目”の隙間でした。それを魅力的に見せるために、隙間にはホコリのようにモノが堆積しやすいことを手がかりにして、さまざまなサイズの網目をつくって石膏の粉を振りかけ、隙間のかたちを表現したのがこの作品です。
粉を何層も振りかけ、山のように立体感を帯びた隙間を写真で固定し、1冊は全体像、もう1冊はクローズアップと粉を振りかける高さの違いを記録した2冊の写真集にまとめました。我ながら変なテーマだったと思いますが、やりたいことを突き詰めると何かしらのかたちにできるという発見がありました。この課題をきっかけに、自分は曖昧で固定されていない不確かなものが好きなんだなと、今はアニメーションに挑戦してみています。
(3年|小山実織さん)

環境デザインⅡA 3年次開講

上段・左中段・左下段:2021年11~12月にブリヂストンイノベーションギャラリーで開催された「異才たちのアート展」の展示風景。コンセプトは「障がいがある方々の生活を知ってもらうこと」。
参加作家の作品をはじめ、「小平マップ」や作家に感想を送れるポストを設置し、作家の日常生活や作品のインタビュー動画も上映

下段右:市内の公共施設や交通機関に出稿したポスター

メールのやり取り1つから貴重な経験となった共同研究

視デが長年関わっている障害者アートの展覧会を企画する授業で、16回目となった今回は「共生社会」をテーマに株式会社ブリヂストンとの共同研究として取り組みました。授業の前半は共生社会実現について考えるワークショップを行い、後半は東京・小平市の福祉作業所や支援施設でのフィールドリサーチを経たうえで、具体的な展示企画を練っていきました。学生12名が展示、広報、動画撮影・編集の担当に分かれ、私は全体的なアートディレクションを担当しました。今回の展示の目玉は「小平マップ」。作家や来場者が“小平の思い出”をマップに貼り付け、それを通して「同じ街で生活している仲間」だと体感してもらうものです。企業の方や作家さんなど学外の人と関わり合いながらの制作は、メールのやり取り1つから貴重な経験になりました。デザインやコミュニケーションのスキルをもっと磨き、今後もさまざまな人と協働できるプロジェクトに参加、貢献したいと気持ちを新たにできました。
(3年|岡部諒さん)