筆致の様相 ー 抑制と発揚 ー

日程 2025年1月10日(金)~2025年1月21日(火)
12:00-19:00 *休廊:水曜日
場所 ART TRACE Gallery(東京都墨田区緑2-13-19 秋山ビル1F)

大友洋司さん、渡辺伸さん(共に1984年油絵学科卒業)が参加する展覧会のお知らせ。

筆致の様相 ー 抑制と発揚 ー

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再現的なイメージや物語を放棄した絵画は、その拠り所を支持体や絵の具の物質的特性としながら、表面を活性化させることで、新たな絵画空間の出現を希求してきた。一方、画面に立ち向かう画家が最も腐心することの一つは、色の選択ともいえるが、同時に発色と相まって絵の具をどのように塗布するのかという筆致の様相ではないだろうか。そして筆致を思考と行為の痕跡とすることで、絵画の自律性を確保しようとしてきた。

振り返れば抽象表現主義は、後に筆致の有無でアクションペインテイングとカラーフィールドペインテイングに区分されることになる。しかし、今日ではそのような区分はさして意味をもたない。むしろ、絵画が有する豊かさは、画面に現れた不確かな様相に、おぞましさを感じたり、遠い過去の記憶に目覚めたり、諸感覚が統合した未知の感覚に出会えたりする多面的な世界が内包されていることにある。

いうまでもなく、筆致は支持体と絵の具を結びつけ、同時に画家の行為の結果として、画面に動きやリズムを生成する。また画家の直感は、内面性や身体性の統合、さらには画家が体験するリアルな時間を視覚化する。 四人の作品に共通していえることは、刷毛やスキージーなどで積極的に絵の具を重層させ、造形的な諸要素に強度と揺らぎを織りなすことで新たな絵画空間を構築しようとしていることであり、絵画の物質性とイメージの視覚性を分かちがたく結びつけていることである。

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