基礎実習Ⅰ(木工)1年次開講

『O stool』

栗材|H450 × W370 × D370mm

存在感や美しさを持ちつつ過度に主張しないデザインを目指した

―どんな授業・課題でしたか?
基礎実習の授業の1つで、スツールの構造から製図、木材の加工方法まで一連のデザインプロセスを学びました。

―制作した作品について教えてください。
椅子としての存在感や美しさを持ちつつ、過度に主張しないデザインを目指しました。華奢な佇まいになったため、木取りの際には木目に気を配り、足をつなげる円形の貫は6つのパーツを組み合わせてから丸く切り出すことで強度を高めています。高校生のときから木工家具をDIYしていましたが、わからないことを自分で調べるのには限界があり、先生や助手の方々から最適解を教えてもらえるこの環境に感動して、とにかく質問をしまくりました。課題のたびに成長と発見があります。
(1年|島崎烈さん)

インテリアデザインⅠ 2年次開講

『露/霞』

パルプ|H500 × W600 × D600mm

「現代人の住処」に対する気付きと奇妙な感情が出発点

―どんな授業・課題でしたか?
光、住処、椅子、テーブルウェアなど、インテリアを軸にさまざまなテーマに取り組む授業です。この作品は「現代人の住処の原型」を考える課題でグループ制作したものです。

―制作した作品について教えてください。
自宅のベッドの上でスマホをいじったり考え事をしているときのような自分の殻に閉じこもった状態を居心地の良い場所、つまり住処と仮定したときに、私たちはどこにでも住処を持ち込んでいるのではないかという気付きと、それに抱いた奇妙な感情が出発点です。抽象的なテーマで難しくも感じましたが、単に「住みやすい空間」をつくるのとは行き着くゴールが違う。物事の見え方が変わる感覚をつかむことができました。
(2年インテリアデザインコース|大谷日向子さん)

インダストリアルデザインⅤ 3年次開講

『FJ-RIDE FreedomJourney』

3Dプリント、モデリング|PLA樹脂、アクリル樹脂塗装|H365 × W700 × D210mm(1/3スケールモデル)

モーターサイクルの未来を切り拓くしなやかなモビリティの提案

―どんな授業・課題でしたか?
「2050年の未来体験のデザイン」をテーマにモビリティを提案する株式会社ブリヂストンとの産学連携授業で、同社の技術を応用することも条件でした。

―制作した作品について教えてください。
未来の自動運転社会では、都市周辺に多様な価値観の人々が集うコミュニティビレッジが形成されると予測し、自動運転の利点と自分本位の移動ができるモーターサイクルの利点を兼ね備えたしなやかなモビリティの提案です。幹線道路を自動走行時はホイールベースを伸ばして安定性を高め、生活道路を走行時は原付バイク相当に縮めて快適な移動を可能にします。企業のデザイナーの方々とアイデアの実現可能性も検証できる、貴重な時間でした。
(3年インダストリアルデザインコース|桶田幸士朗さん)

クラフトデザインⅣ 3年次開講

『絣の帯と浴衣』

シルクスクリーン、絣、浸染、12枚綜絖手織り|綿、麻

模型をいくつも制作して理想のデザインを検証した

―どんな授業・課題でしたか?
浴衣の反物と帯をつくる課題です。反物はシルクスクリーンで染めて、色は2色、白場を残すことが条件でした。

―制作した作品について教えてください。
浴衣はアガペやヤツデをモチーフに、アフリカのワックスプリントのような線の力強さを意識してデザインしました。パターン化された柄がこぢんまりとしないように、また浴衣特有の縦のラインを強調できるように、模型をいくつも制作して検証し、縫製も自分で行っています。白場が多い浴衣と対照的に帯は締まった印象にしたかったため、黒の絣糸の経糸に濃いグレーの緯糸を入れて格子状の模様をつくり、遠目では単色でも近くで見ると織り目が鮮明に現れてくる織り方にこだわりました。
(3年クラフトデザインコーステキスタイル専攻|井部花澄さん)

インテリアデザインⅥ 3年次開講

『souvenyl chair』

ビニール袋、ボール紙|H450 × W335 × D400mm

人それぞれの個性や地域性が現れる唯一無二のお土産のような椅子

―どんな授業・課題でしたか?
ムサビがコレクションしている世界の名作椅子の図面を実寸で作図し、そこから得られた知見を自分の表現に落とし込んで、椅子をつくる課題です。

―制作した作品について教えてください。
旅先や生活の中でもらうビニール袋を加熱加工してつくる、世界でたった1つの「お土産のような椅子」です。ビニール袋を再利用したプロダクトはよくありますが、新たな価値を加えたいと思い、旅の記憶を蓄積するというアイデアを思い付きました。旅のお供になり、お土産としてもプレゼントしやすいようにフレームは軽い素材を選び、大人が座っても耐えられる構造の検討を繰り返しました。TOKYO MIDTOWN AWARDのデザインコンペでグランプリもいただけた作品です。
(4年インテリアデザインコース|鶴田朱里さん)

クラフトデザインⅧ 4年次開講

『GUIDE TO SOMEWHERE』

吹きガラス、キルンキャスト|ガラス|H220 × W115 × D115mm

今しかできないことに挑戦した空想の世界を誘発するオブジェ

―どんな授業・課題でしたか?
アート、工芸、デザインの3領域のリサーチを通して、自分の制作がどの領域に位置付けられるかを明確にした上で、自分の表現を探り、ポートレイトとしてかたちにする課題です。

―制作した作品について教えてください。
大学にいる間にしかできないことに挑戦しようと、オブジェを表現媒体に選びました。物語を空想することが好きで、それを文章で表すところから始めて、空想の世界を誘発する装置であり、観る人によっては何か使い道のあるオブジェを目指しました。キルンワークや吹きガラスなど各技法を組み合わせていて、思い通りに成形することには苦労しましたが、卒業制作の方向性を固めるきっかけとなった課題です。
(4年クラフトデザインコースガラス専攻|佐藤ゆめみさん)